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研修ノートシリーズ

小児科研修ノート 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:小児科研修ノート 改訂第2版

自治医科大学学長

永井 良三 (ながい りょうぞう) 総監修

国立成育医療研究センター総長・理事長

五十嵐 隆 (いがらし たかし) 責任編集

あきやま子どもクリニック院長

秋山 千枝子 (あきやま ちえこ) 編集

国立成育医療研究センター病院長

賀藤 均 (かとう ひとし) 編集

関西医科大学小児科教授

金子 一成 (かねこ かずなり) 編集

たはらクリニック院長

田原 卓浩 (たはら たかひろ) 編集

帝京大学医学部附属溝口病院小児科教授

渡辺 博(わたなべ ひろし) 編集

改訂第2版 A5判 並製 560頁 2014年07月15日発行

ISBN9784787820389

定価:7,480円(本体価格6,800円+税)
  

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小児科後期研修以降の臨床の場で必要とされる知識を,先達の経験談を織り交ぜながら,要点を絞って解説した.予防接種・乳幼児健診,多職種連携などの内容をより充実させ,また世界標準とされる医療安全,小児在宅医療などのトピックスも盛り込んだ.第一線の現場で活躍する小児科医,実際に小児科専門研修医の指導を担っている小児科医,各分野の専門家に執筆を依頼した,5年ぶりの全面改訂版である.

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目次

第1章 小児科研修医へのアドバイス
A これから小児科医になる人に
 1.IDEAを持ち続ける小児科医を目指して―若手小児科医へのメッセージ― 齋藤昭彦
 2.小児科医の役割 鈴木康之
 3.小児科専門医は子どもの総合医 田原卓浩
 4.children and youth with special health care needsと成人への移行問題 五十嵐 隆
B 小児科研修の概要
 1.後期研修病院の選びかた 藤代定志
 2.後期研修開始時に必要な諸手続き 郡 建男
 3.後期研修医のライフスタイル 神田枝理子
 4.自身の感染防御戦略 宮良高維
C 勉強のしかた
 1.小児科専門医の到達目標・手技 清水俊明
 2.教科書・必携書籍の解説 長谷川奉延
 3.文献検索・小児科関連ウェブサイト 藤澤泰子
 4.小児科関連の学会・専門医 尾内一信
 5.Pediatric Academic Societies(PAS)年次総会 宮入 烈
 6.症例報告の準備と学会発表のしかた 新島新一
 7.医学論文の書きかた 北中幸子
 8.EBM 三瀬順一
 9.小児科医にとって研究とはなにか 大竹 明
 10.大学院および医学博士について 張田 豊
 11.留学(研究) 三牧正和
 12.留学(臨床) 小林大介
 13.子どもを育てながら働くための工夫 水野葉子
D 人間関係
 1.挨拶(患者・家族・同僚・メディカルスタッフへ) 落合 仁
 2.小児科医と患者・親・家族 糸数智美
  チーム医療
 3.①チーム医療の重要性 宮田章子
 4.②医療チーム(メディカルスタッフ)との関係 本田真美
 5.③小児科医と他科の医師との関係―院内 西巻 滋
 6.④小児科医と他科の医師との関係―地域 永井幸夫
 7.⑤大学・病院医師と開業医との関係 野々山恵章
 8.⑥小児科医と特別支援学校(養護学校)教諭 永井利三郎
 9.小児科医とMR(医薬情報担当者)との関係 崎山 弘
 10.小児科研修医のストレス予防の知恵 藤沼康樹
 11.指導医(上司)との関係 中村圭李
E 小児科医と社会(地域)との結びつき
 1.小児プライマリ・ケア 神川 晃
 2.小児救急医療 伊藤隆一
 3.小児の先進医療 廣瀬伸一
 4.子ども虐待 溝口史剛
 5.育児支援 横田俊一郎
 6.電話相談 松田博雄
 7.小児科医と法律 平岩敬一
 8.小児医療の生命倫理 岡  明
 9.医療保険制度 大山昇一
 10.公費負担制度 小林茂俊
 11.小児科医と行政 大谷和正
 12.外国人への医療提供 井上信明
F 在宅医療
 1.今,なぜ小児の在宅医療が大切なのか 三浦清邦
 2.在宅医療の適応 中村知夫
 3.在宅医療に向けた準備 戸谷 剛
 4.訪問看護と訪問介護 西海真理
 5.在宅呼吸器ケア 土畠智幸

第2章 医療文書の書きかた 
 1.診断書 野村裕一
 2.紹介状 山岸敬幸
 3.紹介医師へのお返事 滝田順子
 4.英文診断書,紹介状,返事,予防接種証明書 木戸友幸
 5.小児慢性特定疾患 井田孔明
 6.死亡診断書 花田良二
 7.学校生活管理指導表 衞藤 隆
 8.母子健康手帳 金子淳子

第3章 研修で学ぶべき知識
A 基礎知識
 1.家族への説明と病名告知にあたっての注意 高橋義行
 2.ターミナルケアと臨終にあたっての注意 小澤美和
 3.蘇生や治療の中止の決断 天本正乃
 4.脳死判定 佐野俊二
 5.インフォームドコンセント・インフォムードアセント 七野浩之
 6.当直の業務 岩元二郎
B 感染症対策
 1.感染症サーベイランス 多屋馨子
 2.感染症類型と医療体制 森 雅亮
 3.感染症と登園・登校許可基準 中野貴司
 4.院内感染予防対策 伊藤健太
 5.母子感染予防対策 垣内五月
C 医療安全
 1.世界標準の医療安全 相馬孝博
 2.医療事故はなぜ起きるのか 原田賢治
 3.病院の医療安全管理室の役目 中島 勧
 4.医療安全対策に対する医師の心構え 長尾能雅
 5.インシデント,アクシデント報告 恩田清美
 6.医療事故と医療過誤―小児科の事故を中心として 菊池京子
D 予防医学
 1.日本小児科学会推奨の予防接種スケジュール・キャッチアップスケジュール
 2.予防接種―乳児対象 岡田賢司
 3.予防接種―1歳児対象 吉川哲史
 4.予防接種―2歳以降対象 前田明彦
 5.予防接種―実施 庵原俊昭
 6.予防接種―副反応 宮﨑千明
 7.予防接種―海外渡航時 村田敬寛
 8.傷害予防(Injury Prevention) 山中龍宏
 9.傷害速報(Injury Alert) 山中龍宏
 10.チャイルド・デス・レビュー=子どもの死亡登録と検証 森 臨太郎
E 健康医学
  乳幼児健診
 1.①2週間健診と1か月健診 佐藤紀子
 2.②3,4か月児健診 平岩幹男
 3.③6,7か月児健診 峯 真人
 4.④9,10か月児健診 横井茂夫
 5.⑤1歳児健診 水野克己
 6.⑥1歳6か月児健診 秋山千枝子
 7.⑦3歳児健診 吉永陽一郎
 8.⑧5歳児健診 小枝達也
 9.歯科健診 渡部 茂
 10.新生児マススクリーニング 山口清次
 11.園医の役割 遠藤郁夫
 12.学校医の役割 岩田祥吾
 13.学校検診―心臓 住友直方
 14.学校検診―腎臓 金子一成
 15.こころのケア 作田亮一
 16.タバコ(ニコチン依存症) 野田 隆
 17.ドラッグ 宮尾益知
 18.メディア 佐藤和夫

第4章 症候・手技・小児初期救急対策・新生児への初期対応 
A 症 候
 1.発 熱 小田洋一郎
 2.咳と鼻水 片岡 正
 3.喘 鳴 横山美貴
 4.発 疹 渋谷紀子
 5.けいれん 高橋 寛
 6.失 神 香取竜生
 7.嘔 吐 鍵本聖一
 8.下痢・便秘 友政 剛
 9.腹 痛 新井勝大
 10.頭 痛 寺嶋 宙
 11.身長が伸びない / 体重が増えない 橋本伸子
 12.夜 尿 大友義之
 13.学校に行けない 菊地祐子
B 手 技
 1.注射(静脈,筋肉,皮下,皮内) 木実谷貴久
 2.採血(毛細管,静脈血,動脈血) 加藤丈典
 3.導尿・採尿法 木全貴久
 4.腰椎穿刺と髄液検査 九鬼一郎
 5.骨髄穿刺・骨髄生検 安井直子
 6.胸腔穿刺と胸水検査 小濱守安
 7.胃チューブ(胃洗浄)・十二指腸チューブ 田附裕子
 8.中心静脈穿刺 笹野 寛
 9.末梢静脈穿刺(留置針) 吉村 健
 10.気管挿管 早渕康信
C 小児初期救急対策
 1.けいれん重積 椎原弘章
 2.意識障害 福島亮介
 3.腹痛・嘔吐・下血 伊東充宏
 4..呼吸がつらそう(呼吸困難) 久保 実
 5.胸 痛 宮本朋幸
 6.腸重積 北澤克彦
 7.脱 水 上村 治
 8.吸引(気道異物) 樋口昌孝
 9.誤 飲 神薗淳司
 10.ショック 駒井孝行
 11.喘息発作 南部光彦
 12.鼻出血 仲野敦子
 13.打撲(虐待含む) 辻  聡
 14.出血傾向・凝固障害 石黒 精
D 新生児への初期対応
 1.チアノーゼ・低酸素血症 小野 博
 2.新生児仮死 高橋尚人
 3.黄 疸 草川 功
 4.呼吸窮迫 田中靖彦
 5.なんとなく元気がない 伊藤裕司
 6.無呼吸発作 影山 操
 7.心雑音 渋谷和彦
 8.発 熱 大橋 敦
 9.嘔吐・吐血・下血 近藤雅楽子
 10.腹部膨満 臼田東平

索 引

◆Column
今ある医師としての自分の姿に正直に向き合おう 中村知夫
感染と発症は別 宮良高維
到達目標をクリアするためのコツ 清水俊明
頼れるウェブサイト 藤澤泰子
国際交流の場としてのPAS 宮入 烈
アキレスは亀に追いつけるのか? 張田 豊
もう何も驚かないぞ 松山 健
医師としての本質は手技の先にある 三瀬順一
chitchat 三牧正和
異国で医療を受ける気持ちになって 井上信明
プロフェッショナルを目指す 糸数智美
医師と他のメディカルスタッフの関係 本田真美
専門職連携 西巻 滋
耳鼻科医との協調 永井幸夫
持ちつ持たれつ(Win-Win)の関係 岩元二郎
学校とのコミュニケーションを大切に 永井利三郎
保険診療と自由診療 廣瀬伸一
虐 待 溝口史剛
知らないことは,ないことと同じ 松田博雄
MR(医療情報担当者)とプロパー 崎山 弘
対応できなかった医療ネグレクト 奥山眞紀子
自由診療 大山昇一
「障害」の表記について 大谷和正
重症心身障害とは? 三浦清邦
医療的ケア法制化 三浦清邦
「生活」のなかの医療 土畠智幸
研修医の特権を活かしてスキルアップ! 山岸敬幸
忙しい合間でも 滝田順子
結果良ければ… 木戸友幸
「学校保健」ポータルサイトの活用 衞藤 隆
「いいえ,あなたはがんじゃない」 高橋義行
私の座右の銘 大竹 明
「それでも小児科医か!」 岩元二郎
意思決定能力を欠いた患者の利益を保護するために 七野浩之
感染症法による届出の義務 森 雅亮
「出席停止」と「登園・登校許可」の考えかた 中野貴司
院内感染とは 伊藤健太
1例の報告が感染症対策の1歩 多屋馨子
人工呼吸器の電源スイッチを切るとどうなるか? 阪井裕一
安全管理が収益につながる 中島 勧
精巣捻転 吉永陽一郎
医療事故のショック体験 武谷 茂
麻疹secondary vaccine failure(SVF)の臨床像 吉川哲史
日本脳炎ワクチンの接種漏れ対策 前田明彦
子宮頸がんワクチンの積極的勧奨差し控え 前田明彦
副反応と有害事象 宮﨑千明
筆者の乳幼児の皮下注射法 庵原俊昭
変えられるものを見つけ,変えられるものを変えるのが予防である 山中龍宏
一編の詳細な事例報告がJISを制定する 山中龍宏
諸外国と比べてわが国の新生児死亡率・幼児死亡率は高い? 低い? 森 臨太郎
ビタミンK2シロップは誰が飲むの? 田原卓浩
患者さんの訴えにはメッセージがある 横田俊一郎
サンドイッチ忠告法 吉永陽一郎
TMSコンサルテーションセンター 山口清次
保育保健の専門医とは 遠藤郁夫
医は科学か芸術か 岩田祥吾
小児科医としてのこころの診療 作田亮一
子どもと学校 菊地祐子
DOHaD学説 野田 隆
自身もスマホリテラシーを! 佐藤和夫
高体温・うつ熱 小田洋一郎
節分の豆!? 久保 実
入院当夜は要注意 横山美貴
モニターは元気ですが… 富田 英
押さえかたのコツ 木実谷貴久
痛くない注射を目指そう 木実谷貴久
プレッシャーに耐えるのも専門医 加藤丈典
膀胱穿刺は必要か? 木全貴久
常に確認を! 田附裕子
超音波診断装置における24G静脈留置針の見えかた 笹野 寛
点滴漏れによる皮膚障害 吉村 健
急がば回れ 福島亮介
赤ちゃんは話せない.全身を診よう! 伊東充宏
伝えておきたい誤診例 北澤克彦
気をつけましょう 樋口昌孝
ボタン電池(disk battery)の知識と特徴的なX線像 神薗淳司
呼吸理学療法 南部光彦
わらにもすがろう 猪股裕紀洋
臨床現場からの意見 辻  聡
産科医療補償制度 高橋尚人
家族の立場 草川 功
「なんとなくおかしい」と感じるのは,危険信号! 田中太平
正期産児の無呼吸 影山 操
金言・名言 池上博彦
乳児良性直腸出血 近藤雅楽子
新生児期からの根強い便秘に要注意 臼田東平

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序文

シリーズ総監修の序

 「研修ノート」は,下記「研修医ノート」シリーズを全面的に刷新し,新シリーズとして刊行するものである.
 旧シリーズ「研修医ノート」は内科研修医のためのテキストとして1993年に出版された.その後,循環器,産婦人科,小児科,呼吸器,消化器,皮膚科など,診療科別に「研修医ノート」が相次いで刊行された.いずれも一般のマニュアルとは異なり,「手技の基礎」だけではなく「医師としての心得」や「患者とのコミュニケーション」などの基本,あるいは「書類の書き方」,「保険制度」など,重要な事項でありながら平素は学ぶ機会の少ない事項を取り上げ,卒後間もない若手医師のための指導書として好評を博してきた.
 しかしながら,時代の変化により研修医に要求される内容は大きく変化してきた.“医療崩壊”が社会問題となるなかで,研修教育の充実はますます重要となりつつある.さらに医療への信頼回復や医療安全のためには,患者やスタッフとのコミュニケーションの改善が必須であることはいうまでもない.
 このような状況に鑑み,「研修医ノート」シリーズのあり方を再検討し,「研修ノート」の名のもとに,新シリーズとして刊行することとした.読者対象は後期研修医とし,専門分野の決定後に直面するさまざまな問題に対する考え方と対応を示すことにより,医師として歩んでいくうえでの“道標”となることを目的としている.
 本シリーズでは,全人的教育に必要な「医の基本」を記述すること,最新の知見を十分に反映し,若い読者向けに視覚的情報を増やしつつも,分量はコンパクトとした.編集・執筆に当たっては,後期研修医の実態に即して,必要かつ不可欠な内容を盛り込んでいただくようお願いした.“全国の若手医師の必読書”として,本シリーズが,長く読み継がれることを願っている.
 終わりにご執筆いただいた諸先生に心より感謝を申し上げます.

2014年2月吉日

自治医科大学学長
永井良三



編集の序

 わが国の臨床研修制度が新しくなってすでに8年が経過した.さらに,医師不足状況を解消するために行った医学部学生定員数の増員により,現在のわが国では毎年9,000名以上の医師が新たに生まれようとしている.厳しい労働環境ゆえに外科や産科と同様に小児科の医師のなり手が減少することが一時危惧されたが,幸いにして毎年500名前後の医師が小児科医として新たに参画してくれている.その結果,日本小児科学会の会員数は増加し,現在では21,000名を超えた.ただし,近年は新たに生まれてくる約半数の小児科医は大学医局に所属せずに自分の進路を自ら決めていること,女性医師の割合が約4割に増加したことが以前と異なっている点である.
 かけがえのない子どもとその養育者のために働く小児科を自己の職業として選択した小児科専門研修医は,わが国と世界の未来のために人生を捧げてくれた貴重な人材である.彼らが小児科専門医として自信をもって日々の診療などの仕事に従事し,様々な場で心身ともに元気に活躍してくれることを私はこころから願う.さらに,女性医師がライフスタイルに応じて仕事を続けることができるように労働環境整備を推進することが重要であるが,女性医師自らもがんばっていただきたい.
 本書は,はじめ小児科専門研修医が研修中にぜひとも身につけてもらいたい小児医療・小児保健に関する必要最小限の情報を,できるだけわかりやすく,ていねいなかたちで提供することを目的に2009年に刊行された.爾来,時代の変化とともに小児を取り巻くわが国の環境と小児医療・小児保健は変貌している.こうした変化に適切に対応するために,今回5年ぶりに本書を改訂する.
 第一線の現場で活躍する小児科医や実際に小児科専門研修医の指導を担っている小児科医に本書の執筆を依頼した.本書には臨床現場で培った貴重な指導医の経験と若手小児科医に対する暖かな指導医の姿勢が貫かれており,小児科専門研修医だけでなく指導医にとっても有益な情報があふれている.実力と自信を備えた小児科専門医の育成に本書が大きく貢献することを祈る.

2014年3月吉日

国立成育医療研究センター総長・理事長
五十嵐 隆