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おさえておきたい すぐに使える
子どもの救急手技マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:子どもの救急手技マニュアル

東京都立小児総合医療センター救命救急科

井上 信明(いのうえ のぶあき) 編集

初版 A5正判 あじろ 202頁 2014年10月30日発行

ISBN9784787821140

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定価:6,050円(本体価格5,500円+税)
  

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小児救急の現場では,小児や救急にそれぞれ不慣れな成人ER医や小児科医が苦慮するシーンも数多い.本書は救急手技のなかでも「小児と成人との違い」に焦点をあて,子ども独自の身体的特徴やコミュニケーション,準備物品のポイント,難航したときのコツ…などを,介助にあたる小児救急看護認定看護師からのひとことも加え,写真やイラストでわかりやすく紹介した.サッと開ける便利な見開きチャート付き,現場必携の1冊だ.

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目次

(*): 介助につく看護師からのひとこと”を含む項目

序 文
執筆者一覧
参考図書

1 一般的処置
 A 子どもの抑制の仕方(*)
 B 薬剤を用いない不安寛解方法(*)
 C バイタルサインの測定(*)
 D 筋肉注射,皮下注射

2 蘇生処置
I.呼吸器系
 A 経鼻・経口エアウェイ挿入
 B 用手気道確保,バッグマスク換気
 C 酸素投与・吸引
 D 経口気管挿管(RSI)
 E 気道異物除去
II.循環器系
 A 末梢静脈路確保(*)
 B 骨髄路確保
 C 胸骨圧迫
 D 電気ショック

3 外傷蘇生処置
 A 頸椎保護
 B 胸腔穿刺,胸腔ドレナージ

4 鎮静/鎮痛
 A 局所麻酔法
 B 神経ブロック
 C 鎮静の原則

5 裂創/挫創/熱傷
 A 創傷処置の基本(*)
 B 縫合方法,縫合糸の選択
 C その他の閉創方法

6 新生児
 A 新生児蘇生
 B 臍帯静脈路確保

7 眼科・耳鼻科・歯科的手技
I.眼科系
 A 救急で使用する眼科的診療手技
II.耳鼻科系
 A 鼻出血への対処
 B 鼻骨骨折,鼻中隔血腫への対処
 C 耳鏡の扱い方
 D 異物への対処
 E 扁桃周囲膿瘍の穿刺
 F 気管切開チューブの入れ替え
III.歯科系
 A 救急で使用する歯科的診療手技

8 消化器系手技
 A 食道胃物除去
 B 鼠径ヘルニア嵌頓
 C 直腸脱

9 泌尿器系手技
 A 嵌頓包茎
 B 包皮ファスナー外傷
 C 女児外性器の診察の仕方(*)
 D 導尿(*)

10 整形外科系手技
 A 骨折診療の基本
 B 骨折整復の基本
 C 固定術の基本(*)
 D 松葉杖の扱い方
 E 肘内障整復

11 マイナー外傷
 A 爪に関する診療手技
 B hair tourniquetの除去

12 中毒・環境因子による救急
 A 胃洗浄
 B 活性炭の使用
 C 体温調節の手法(*)

13 診断的手技
 A 腰椎穿刺(*)
 B 恥骨上膀胱穿刺

14 エコーガイド
 A 総論
 B 救急の現場で役立つエコー
  1.FAST
  2.皮下膿瘍,皮下異物
  3.新生児頭蓋内出血
  4.整形外科領域
  5.消化管エコー
  6.精巣捻転

15 critical procedure
 A difficult airwayへの対応
 B エコーガイド下中心静脈路確保
 C 体外ペーシング
 D 心嚢穿刺

◎索 引
 和文索引
 欧文・数字索引

◎附 録
 A PALSチャート
 B 救急で使える 小児のサイズ・薬用量・GCS

〔Tips〕
・自閉症の患児への対応
・医療者の態度も重要!
・カプノグラフィ
・怖がる子どもに対して
・経口エアウェイの挿入方法に注意!
・小児用経鼻エアウェイがない場合
・幼児,乳児では体位の工夫を!
・小児バッグマスク換気の注意点
・小児は成人よりも酸素の必要性が高い!
・乳児では鼻腔吸引が重要!
・もしも最初の気管挿管がうまくいかなかったら
・穿刺部位がみつからないとき
・骨髄針がうまく入らないとき
・胸骨圧迫の質
・除細動のJ(ジュール)数
・外傷後に斜頸がある場合
・穿刺部位
・胸腔ドレナージ
・正中神経ブロックのコツ
・手関節ブロック,肘関節ブロックでの注意点
・橈骨神経ブロックの注意点
・経腱鞘ブロックのコツ
・陰茎背神経ブロックのコツ
・小児の創傷処置をする際に
・感染リスクを減らすために
・小児の縫合の際に
・ステープラー使用時の注意点
・ダーマボンド(R)使用時の注意点
・新生児蘇生法の上達のために
・臍帯静脈路確保
・小児の眼科診察のコツ
・眼球異物の除去
・眼球洗浄時のポイント
・コンタクトレンズ除去時のポイント
・小児への眼帯使用時の注意点
・鼻出血の処置前後に確認すべきこと
・鼻骨骨折でX線よりも重要なこと
・鼻中隔血腫の疑い方,緊急性,フォローアップについて
・よりよく観察するためのポイント
・鼻腔異物除去の前後に確認すべきこと
・耳鼻科コンサルトのポイント
・咽頭異物では窒息の可能性を常に考慮する
・扁桃周囲膿瘍穿刺の注意点
・気管切開チューブ入れ替え時の注意点
・救急医,小児科医への提案
・食道異物除去のポイント
・鼠径ヘルニア整復時の注意
・直腸脱整復のポイント
・他病態との鑑別に注意
・尿道損傷に注意
・患児をねぎらって
・合併症予防のために
・忘れずチェック,骨折診療のポイント
・ERではシーネ固定!
・固定後の観察ポイント
・シーネ固定習熟への道
・いくつで使える松葉杖?
・肘内障整復の最良の方法は?
・有効なドレナージを行うには
・爪処置時のポイント
・抗菌薬について138
・絞扼の解除がむずかしいとき
・胃洗浄の工夫
・活性炭使用の工夫
・クーリングのその他の治療法
・ウォーミング
・膀胱穿刺とカテーテル導尿の比較
・小児に対するFASTの注意点
・皮膚・軟部組織エコーのポイント
・新生児頭蓋内出血の診察のポイント
・骨折,肘内障のエコー検査のポイント
・股関節評価のポイント
・消化管エコーのポイント
・精巣エコーのポイント
・difficult airwayにおける注意点
・成功のために最低限必要なこと
・ERでの心嚢穿刺のポイント

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序文

 救急室における手技について書かれた書籍は多くみられます.なかには小児患者への手技をテーマにした良書もありますが,成人患者との違いや成人患者を主に診療している医師に向けた書籍はなかなかみあたらず,本書を企画するに至りました.このたび,わたしたち子どもの救急医療にかかわるものたちが現場で実際に行っている子どもへの救急手技を紹介する「子どもの救急手技マニュアル」を皆様にお届けできることは,この上ない喜びでもあります.
 本書では,子ども特有の手技に特化して,できる限り,「子どもと大人で方法が異なる手技」「少しの工夫を加えることで子どもへの施行がより行いやすくなる方法」など,小児患者における手技の適応や禁忌,コツを紹介しています.実際の手技は写真やイラストを用い,わかりやすくまとめるように心がけました.
 本書のさらなる特徴は,①看護師の介助が必要な状況における,介助やケアのポイントなどを述べた“看護師からのひとこと”や,②小児患者に施行することはまれでも知っておかなければならない蘇生手技なども加えているところにあります.
 子どもに救急手技を行う場合,看護師の介助は非常に重要な要素です.ただ押さえつけて手技を行うのではなく,子どもの人格を尊重し,子どもに過度に不安を与えないように,子どもの視線で説明し,適切に抑制をして手技を行うことができれば,より質の高い手技を行うことができます.医師向けの手技の書籍に,このように看護師の視点を加えることは,これまでの他書にない試みでもあります.それだけでなく,この“看護師からのひとこと”は小児救急患者への看護を専門とする小児救急看護認定看護師が執筆しており,いわゆるハイスタンダードな内容でもあると自負しています.
 成人患者に対して比較的よく施行することはあっても,小児救急患者に対してはまれにしか施行しない手技は,成人患者との違いがわかるように,かつ簡単に確認ができるような記載を心がけました.また覚えることが困難であろうと思われる小児患者の蘇生アルゴリズムや救急で使用する体重別薬剤投与量もすぐに一覧できるよう配慮しています.
 本書が,子どもを診察する機会の多い救急医や,小児救急に取り組む若手医師をはじめ,一般小児科医や外科医にとっても,実際の診療に役立つ実践的な書籍となることを願っています.

 2014年10月

東京都立小児総合医療センター救命救急科
井上信明