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書籍詳細

はじめて学ぶ小児循環器診断と治療社 | 書籍詳細:はじめて学ぶ小児循環器

東京都立小児総合医療センター循環器科部長

三浦 大(みうら まさる) 編集

初版 B5判  176頁 2015年04月17日発行

ISBN9784787821249

定価:本体5,800円+税
  

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研修医・一般小児科医・小児循環器科医をめざす医師へ向けた,先天性心疾患から後天性心疾患まで,小児循環器を基礎から広く学べる入門書.先天性心疾患の血行動態模式図をはじめ,図や写真を豊富に掲載.また各章,日常診療で経験する一般的な症例を呈示したうえで,診療に必要なポイントを解説する構成となっており,症例呈示はカルテやサマリーの記載,小児科専門医や小児循環器専門医試験の症例要約の参考としても役立つ1冊.

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目次

推薦のことば 山岸敬幸
序 文 三浦 大
執筆者一覧

Ⅰ総論
A 診断のアプローチ
1.心雑音 山田浩之
2.胸 痛 三浦 大
3.心電図異常 山田浩之
4.失 神 中村隆広

Ⅱ各論
A 先天性心疾患
1.心室中隔欠損 三浦 大
2.心房中隔欠損 中村隆広
3.動脈管開存  福島直哉
4.房室中隔欠損 三浦 大
5.Fallot四徴 三浦 大
6.完全大血管転位 大木寛生
7.三尖弁閉鎖 三浦 大
8.純型肺動脈閉鎖 大木寛生
9.総肺静脈還流異常 三浦 大
10.大動脈縮窄・大動脈弓離断 三浦 大
11.内臓錯位 渋谷和彦
12.弁膜疾患 福島直哉
B 後天性心疾患
1.不整脈 三浦 大
2.川崎病 宮田功一
3.心筋炎・心筋症 横山晶一郎
4.肺高血圧 横山晶一郎


付録

器質的心疾患を認めない不整脈の学校生活管理指導ガイドライン
 (2013年改訂版)
学校心臓検診二次以降の進め方
川崎病急性期治療のアルゴリズム
心室肥大判定
学校生活管理指導表
略語一覧

参考文献

索引

▪血行動態模式図

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序文

推薦のことば

 「編者の若手教育への熱い思いが込められた珠玉の1冊」
 私が本書の原稿を拝読し,はじめに心にわき上がった感想です.

 小児科医のやりがいは,未来の社会を担う小さな命を守り,育てることです.小児は小さな大人ではない,その必然から,小児科学の中には,小児に特有の様々なサブスペシャルティ分野が体系化され,発展してきました.今や若き小児科医たちは,10の小児専門分野について学び,経験し,症例要約と試験に合格して,はじめて小児科専門医として社会貢献する時代となりました.
 小児循環器学は,命に直結する心臓・循環系を対象とし,胎児・新生児から学童・成人に至るまで幅広い患者さんを診る,小児専門分野の中でも重要な位置を占めます.それだけに,高度に専門化・体系化が進み,従来の教科書が詳しい専門書になりすぎてしまい,はじめて学ぶにはとっつきにくい分野になっている面があります.本書は,この「専門性」と「平易さ」のジレンマに敢えて挑戦し,小児循環器学の若手教育の理想を具現化した一つの形だと思います.
 本書にはそのタイトル通り,はじめて小児循環器学を学ぶ若手医師が,専門的な知識をわかりやすく学習できるように,様々な工夫が散りばめられています.まず,「総論」と「各論」に分け,「総論」では症状をテーマに,「各論」では疾患名をテーマにしたシンプルな構成になっています.特に「総論」では,「解説」に関連事項を幅広く網羅し,理論的な背景を含めてわかりやすく説明しています.また「各論」では,従来の教科書のように先天性心疾患に偏りすぎることなく,後天性心疾患の項目も充実しています.最大のポイントは,「総論」も「各論」も,すべて「症例」で始まる点で,典型的な症例の経過を要約して具体的にイメージしながら,「総論」では症状から診断に至るアプローチを,「各論」では各疾患の概念と診療について,実践的に学習することができます.この実践的なイメージにより,はじめて読んだ方でも,高度な知識でも非常に理解しやすい印象を受けることと思います.また,各「症例」に「患者・家族への説明・指示」が具体的に記載されている点には,現場で悩む若手医師に対する温かい教育と同時に,小児科医にとって患者・家族へのしっかりとした説明や指導がとても重要であることが示されています.
 “はじめて学ぶ医師のためにわかりやすく”の工夫は,図にも施されています.たくさんの典型的で鮮明な画像と明解なシェーマの組合せにより,効果的に学習できます.特に,先天性心疾患の病態の基本である血行動態を簡便に示したシェーマは,診療現場でもそのまま利用でき,家族に対する「わかりやすい病態説明」が可能になります.また各項の「解説」は,はじめて学ぶ医師に必要十分な知識を提供してくれますが,もう少し詳しく知りたい,という要求にもしっかり応えてくれる「Level up」の内容が本書の質を高めています.
 最後に,本書の執筆陣は,東京都立小児総合医療センター循環器科に所属し,臨床で活躍するスタッフです.若手医師も,編者の熱心な指導のもと,文献を精読し推敲を重ねたそうです.これこそ究極の小児循環器学教育です.こうして本書は,若手による若手のための「はじめて学ぶ小児循環器」として完成しました.これから小児循環器を学ぼうという方,小児循環器をサブスペシャルティとして考えている方,また,小児科医でなくても小児循環器を学んでみようという方など,ぜひ本書を1冊手元に置いて,診療に当たってみてはいかがでしょうか.

平成27年3月

山岸敬幸
慶應義塾大学医学部小児科准教授
周産期・小児医療センター副センター長




序 文

 小児の臨床のなかで大きなウエイトを占める循環器疾患に,苦手意識のある小児科医も少なくないようです.聴診での診断,心電図の判読,心エコーの描出などは高度な技巧にみえるのでしょうか.重症例を見逃すと致死的なこともあり得ますので,怖い感じがあるのかもしれません.苦手意識を克服する勉強法は,指導医に教わるか教科書で学び,臨床経験を積むことが王道です.
 従来の小児循環器の成書は,各分野に特化した本や全分野を網羅した専門書が多く,1冊で広い範囲を基礎から学べる本は少なかったように思います.そこで,研修医,一般小児科医,専門医をめざしている小児循環器医を主な対象とした入門書を企画しました.平易な記載を心がけましたので,看護師,技師,薬剤師などの方々にも参考になるはずです.
 総論として診断のアプローチ,各論として先天性心疾患と後天性心疾患に分け,各章では症例を呈示した後に,診療に必要なポイントを解説しています.症例は珍しいものではなく,日常診療で経験する一般的なものです.このような構成にした理由は,医学の勉強は症例に始まり症例に終わるからです.カルテやサマリーの記載,小児科専門医や小児循環器専門医の試験のための症例要約にも,役立ててください.
 われわれの勤める東京都立小児総合医療センターは,専門的な小児病院ですが,総合診療科が中心にあり,救命救急科とともに24時間救急診療を担っています.多くのシニアレジデントも循環器科をローテーションしてくれ,スタッフが熱心に教育しています.本書の執筆方針は,専門に偏らず一般小児科との連携を大切にする,このような当院の文化に根ざしています.小児循環器を,これから学ぼうという方,難しいと感じている方,習い直したいと思っている方が日々の臨床の現場で活用できるよう,当科の総力を挙げて書き上げました.
 本書を企画してからの約2年間,全面的にサポートいただいた坂上昭子様,土橋幸代様ほか診断と治療社の皆様,自宅での執筆活動を応援してくれた妻と娘達,たくさんの心臓病の子ども達とご家族,当院の各科の先生方,私にはじめて小児循環器を教えてくださり2014年9月28日に鬼籍に入られた恩師,小佐野 満 慶應義塾大学名誉教授など,多くの方々のおかげで本書が出来上がりました.心より感謝申し上げます.

2015年3月

三浦 大
東京都立小児総合医療センター循環器科部長