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書籍詳細

医療・心理・教育・保育にかかわる人たちのための
子どもの精神保健テキスト診断と治療社 | 書籍詳細:子どもの精神保健テキスト

青山学院大学教育人間科学部教育学科

古荘 純一(ふるしょう じゅんいち) 編者

初版 B5判 並製 176頁 2015年09月25日発行

ISBN9784787821256

定価:本体2,800円+税
  

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発達の遅れや愛着障害,ADHD,ASD,キレやすい子ども、不登校に非行など,日本の子どもをとりまく精神発達・精神医学には様々な問題があり,また昨今は,奇異性の高い少年犯罪やいじめ自殺,虐待相談件数の激増やネット依存など,その環境には大きな変化もあった.本書はそういった子どもの精神保健にかんする種々の問題の概念や現状,対策について,著者自身の臨床経験や医学的知見を基に解説.具体的な症例を提示し,医学関係者のみならず教育・心理学の学生や学校教員,保育士など,実際に小児に接する職種の方々にも広く役立てられるよう、子どもたちへのよりよい理解と支援につなげられることを目指した一冊.

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目次

はじめに…古荘純一
編者・執筆者

Ⅰ章 総論 ― 子どもの精神発達
 1.乳幼児期の精神保健①(保育・医療の側面から)…古荘純一,磯崎祐介
  乳幼児期の精神保健②(心理の側面から)…根本芳子
 2.学童期の精神保健…古荘純一,磯崎祐介
 3.思春期および移行期の精神保健…古荘純一,磯崎祐介
 4.医学の側面からみた親子関係…古荘純一
 5.QOL尺度からみた親子関係…根本芳子

Ⅱ章 各論 ― 神経発達症(発達障害)
神経発達症総論…古荘純一
①自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)
…古荘純一,磯崎祐介
②注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)…古荘純一,磯崎祐介
③限局性学習症/限局性学習障害(SLD)…古荘純一,磯崎祐介
④知的発達症(知的障害)…古荘純一,磯崎祐介
⑤吃音…古荘純一,磯崎祐介
⑥発達性協調運動障害とチック症…古荘純一,磯崎祐介
⑦神経発達症(発達障害)の二次合併症…古荘純一

Ⅲ章 各論 ― その他の精神病理
①食行動障害,摂食障害,排泄症,性別違和…古荘純一
②不安障害…古荘純一
③強迫性障害および強迫関連障害…古荘純一
④心的外傷およびストレス因関連障害…古荘純一
⑤うつ病と統合失調症…古荘純一,磯崎祐介
⑥睡眠障害…古荘純一
⑦心身症…古荘純一

Ⅳ章 子どもの心の診療関連の問題
 1.児童虐待…古荘純一
 2.不登校とひきこもり…古荘純一,内田景梧
 3.自傷・自殺…古荘純一
 4.少年非行と素行障害…古荘純一,神浦文香
 5.インターネット依存…古荘純一
 6.喫煙,飲酒,物質(薬物)関連障害…古荘純一
 7.子どもの攻撃性…古荘純一

Ⅴ章 支援環境 ― どのように対応するか
 1.環境整備の原則…古荘純一
 2.心理支援…古荘純一,磯崎祐介
 3.家族支援…古荘純一,磯崎祐介
 4.薬物治療…古荘純一

索 引

編者・執筆者
● 編者
 古荘純一 青山学院大学教育人間科学部教育学科

● 執筆者(50音順)
 磯崎祐介 青山学院大学大学院教育人間科学研究科教育学専攻博士後期課程
 内田景梧 青山学院大学教育人間科学部教育学科(2014年度卒)
 神浦文香 青山学院大学教育人間科学部教育学科(2014年度卒)
 根本芳子 昭和大学医学部小児科

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序文

 2002年4月に,医学部付属病院から大学の教育学科に異動し,「小児精神神経学」という講義を担当することになった.当時,医師を対象とした教科書はいくらか出版されていたものの,教育関係者向けで,医学・心理・保育学的な内容を含めた本はなかったため,筆者自身の大学病院小児科外来での臨床経験や医学的知見,学術書を基に,『小児精神神経学』『新 小児精神神経学』というテキストを作成した.このテキストは,アメリカ精神医学会の診断基準DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)を非医療職向けに解説した内容が中心であったが,専門用語の説明が不十分である,全体に難しい,という反省もあった.
 ここ10年余りの間,日本の子どもをとりまく環境に大きな変化があった.「特別支援教育」「奇異性の強い少年犯罪」「いじめ自殺」「ネット依存」「虐待相談対応件数の激増」などである.一方,ADHD治療薬の認可,診断基準の改定,種々の脳科学研究の知見など,子どもの精神医学の進歩もめまぐるしい.
 新しい知見や注目点をアップデートすること,ボリュームを大幅に増やすことなくわかりやすさを追求すること,そして講義向けのテキストとしても使用できる本を作ること,このコンセプトで新しいテキストを企画することは容易ではなかったが,診断と治療社の堀江編集部長のご理解を得て実現することになったのが本書である.
 ところで,「子どもの精神保健」といえば,どのようなイメージを持たれるだろうか? 乳幼児期は,発達の遅れ,通園しぶり,虐待・愛着障害,吃音など,学童期は,発達障害,キレやすい子ども,チック,いじめなど,思春期には,不登校,自傷行為,非行など,子どもの年齢により様々であろう.子どもにかかわる職種の人の場合,保育関係者では“早期発見”,教育関係者では“どのように気づいて連携をとるか”,心理・医療関係者では“具体的な対応”に関心が高いと考えている.
 様々なテーマや職種の人に読んでもらうべく,本書は「基礎理解」と「対策」の2章に加えて,臨床の記載を充実させた.臨床を「神経発達症(発達障害)」「その他の精神病理」「子どもの心の診療関連の問題」の3章に分類し,各節のはじめにポイントを作成した.症例や用語解説は,「コラム」でコンパクトに示すこととした.類似の多くのテキストは理論が中心であり,臨床や対策については事例をもとに紹介されていると考え,特に臨床・対応に踏み込んだ教科書の作成を心がけた.
 この本を刊行するにあたり,多くの皆さんにご協力をいただいた.学生のニーズやわかりやすさを確認すべく,ゼミ生や大学院生に意見を求めたが,当時ゼミ生だった神浦文香,内田景梧の二氏には実際に執筆をお願いした.大学院生の磯崎祐介君は,実際に発達障害当事者として企画,執筆に協力をいただいた.大学院生の斉藤奈穂さんには,貴重な意見をいただいた.臨床心理士の根本芳子さんには,基礎理論の一部を執筆いただいた.また,企画作成の段階からご協力いただいた,診断と治療社編集部の方々の協力がなければ,この本は完成しなかったであろう.関係の方々に深謝申し上げたい.
 この本が,心理,医療,教育,保育を学ぶ学生さんのみならず,実際に子どもにかかわる皆さんの役に立つこと,そして子どもたちのよりよい理解と支援につながることになれば幸甚である.
 
 2015年9月
古荘純一