HOME > 書籍詳細

書籍詳細

子どもの食と栄養 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:子どもの食と栄養 改訂第2版
健康なからだとこころを育む小児栄養学

日本子ども家庭総合研究所 客員研究員

水野 清子 (みずの きよこ) 編著

慶應義塾大学 名誉教授

南里 清一郎 (なんり せいいちろう) 編著

大正大学人間学部 教授

長谷川 智子 (はせがわ ともこ) 編著

慶應義塾大学保健管理センター 主務

當仲 香 (とうなか かおる) 編著

実践女子大学 名誉教授

藤澤 良知 (ふじさわ よしとも) 編著

島田療育センター 栄養管理部長 兼 NST室長

上石 晶子(かみいし あきこ) 編著

第2版 B5判 並製 256頁 2014年11月28日発行

ISBN9784787821423

定価:本体2,300円+税
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


保育士養成課程のカリキュラムに完全対応し,小児の発育と発達,栄養素についての基本的知識,新生児期・乳児期,幼児期,学童期・思春期などの成長段階に対応した食と栄養のポイントなどをわかりやすく解説したテキスト.現代の育児環境を踏まえ,子どもの健康増進に資する食育を詳述し,加えて食育や生涯発達,妊娠期の栄養と食生活や成長とこころの関係,生涯発達についても解説.「日本人の食事摂取基準(2015年版)」にも対応した改訂版.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

編著者一覧
改訂の序
初版の序
本書の目的・使い方

第1章 子どもの健康と食生活の意義
1 子どもの心身の健康
A 子ども期の区分
1)胎生期  2)新生児期  3)乳児期  4)幼児期  5)学童期
6)思春期  7)青年期
B 変わる健康観・健康意識および健康状態
1)健康観・健康意識および健康状態の変化  2)家族の変化と食生活
3)生体リズムと食生活

2 子どもの食生活の現状と課題
A 国民健康・栄養調査からとらえた子どもの栄養・食生活の実態
B 家庭における子どもの食生活の実態
1)生活リズムと食事時刻  2)朝食の欠食  3)食事環境
4)間食(おやつ)  5)夜食  6)若い女性のダイエット
C 子どもの健全育成と食生活支援
1)国の施策  2)地域における食育支援

第2章 栄養に関する基本的知識
1 ヒトのからだと食物・食物のゆくえ
A 栄養と栄養素
B 糖質
1)糖質を含む食品  2)糖質の構成  3)糖質の働き
4)糖質の消化と吸収  5)糖質の摂取過剰と不足
C 脂質
1)脂質を含む食品  2)脂質の構成  3)脂質の働き
4)脂質の消化と吸収  5)脂質の摂取過剰と不足
D たんぱく質
1)たんぱく質を含む食品  2)たんぱく質の種類と構成する物質
3)たんぱく質の働き  4)たんぱく質の消化と吸収
5)たんぱく質の摂取過剰と不足
E 無機質(ミネラル)
F ビタミン
G 食物繊維
1)食物繊維を含む食品  2)食物繊維の種類  3)食物繊維の働き
H 水分
1)水分の働き  2)水分の必要量  3)水分の摂取過剰と不足
I エネルギー代謝
1)基礎代謝  2)安静時代謝  3)活動時代謝  4)特異動的作用

2 食事摂取基準
A 食事摂取基準の沿革・意義・用途
B 策定方針
C 策定の基本的事項
D 活用に関する基本的事項
E 使用にあたっての留意点
F 策定された食事摂取基準

第3章 子どもの発育・発達と食生活
1 子どもの発育・発達
A 発育・発達の基本的な考え方
1)発育・発達とは  2)発育・発達のリズムと成長スパート
B 身体の発育・発達
1)発育・発達の原則  2)身長  3)体重  4)胸囲・頭囲
5)四肢・骨  6)プロポーション  7)食べる機能の発達
8)消化吸収機能の発達  9)脳神経の発育・発達  10)免疫機能の発育・発達
C 運動機能と睡眠機能の発達
1)運動機能の発達  2)睡眠機能の発達
D こころの発達
1)対人関係の発達  2)知能の発達  3)情緒の発達
4)基本的生活習慣の発達

2 栄養評価(アセスメント)
A 発育の評価
1)発育パーセンタイル曲線  2)BMI  3)カウプ指数
4)ローレル指数  5)肥満度と標準体重  6)発達検査
B 栄養評価
1)食生活・食事摂取調査の方法  2)栄養評価

第4章 成長期に対応した栄養と食生活
1 妊娠期の栄養・食生活
A 妊娠と胎児の発育
1)妊娠と栄養・食生活の重要性  2)胎児の体格評価
B 妊娠中の母体の変化と注意点
1)妊娠中の母体の変化  2)妊娠期における望ましい体重増加量
C 妊娠期における栄養・食生活の実際
1)妊娠期における食事摂取基準  2)妊産婦のための食生活指針
3)各期における食生活
D 妊娠中にみられる症状別栄養・食生活の対応
1)貧血  2)妊娠肥満  3)妊娠高血圧症候群  4)妊娠糖尿病
E 胎児期の低栄養とDOHaD仮説
1)DOHaD仮説

2 新生児期・乳児期の発育・発達と食生活
A 新生児期・乳児期のからだの発育・発達の特徴
1)生歯  2)消化器官の発育・発達  3)食事の形態,食べる機能の発達
B 新生児期・乳児期のこころの発達の特徴
1)新生児の感覚能力  2)授乳時のコミュニケーション
3)言語発達:初語を話すようになるまで
C 乳汁栄養
1)母乳栄養  2)人工栄養  3)混合栄養
D 離乳期における栄養・食生活
1)離乳の必要性  2)離乳食の役割  3)離乳に関する言葉の定義
4)離乳の進め方  5)離乳食調理  6)ベビーフード
7)離乳食の与え方
E 低出生体重児の特徴と栄養
1)低出生体重児とは  2)低出生体重児の特徴
3)低出生体重児の栄養管理  4)栄養状態の評価方法
5)低出生体重児の栄養の方法
F 乳児期の栄養・食生活上の問題
1)ミルク嫌い  2)嚥下困難  3)離乳の進行:食事回数  
4)食欲不振  5)ベビーフードへの依存  
6)離乳食と家族の食事との連携  7)アトピー性皮膚炎と除去食

3 幼児期の心身の発育と食生活
A 幼児期のからだの発育・発達の特徴
1)からだの発育・発達  2)運動機能の発達  3)消化吸収機能の発達
4)免疫力  5)食べる機能の発達
B 幼児期のこころの発達の特徴
1)幼児期のアタッチメント  2)言語の発達:文章を話すまで
3)幼児期における食事中の母親とのやりとり  4)子どもの肥満と母親の関わり
C 幼児期における栄養・食生活
1)食生活の特徴  2)栄養・食生活の実際  3)間食(おやつ)  
4)気になる食事行動

4 学童期・思春期の心身の発育と食生活
A 学童期・思春期のからだの発育・発達の特徴
1)からだの発育・発達  2)運動機能の発達  3)心身の健康上の問題  
4)喫煙,飲酒,薬物
B 学童期・思春期のこころの発達の特徴
1)学童期の対人関係  2)学童期の孤食  3)思春期のこころの特徴  
4)楽しい思い出は食のレパートリーを広げる
C 学童期・思春期における栄養・食生活
1)栄養・食生活の特徴  2)食事摂取基準と食品構成
3)栄養・食生活における問題  4)学校給食
D 健康教育の一環としての食育

5 生涯発達と食生活
A 生涯発達についてのとらえ方
B 成人期・老年期のからだの発育・発達の特徴
1)成人期・老年期とは  2)からだの発育・発達
3)健康寿命とライフスタイル
C 成人期・老年期のこころの発達の特徴
1)成人期初期  2)壮年期  3)老年期
D 成人期・老年期における健康と栄養・食生活
1)肥満と食生活  2)脂質異常症と脂質の摂取  3)高血圧と食塩の摂取
4)糖尿病  5)骨粗しょう症  6)低栄養  7)飲酒と健康
8)歯周病と生活習慣病

第5章 食育の基本と内容
1 食育における養護と教育の融合
A 食育の意義と理念
1)食育とは何か  2)食育基本法と食育  3)疾病構造の変化
B 食育の現状とその問題点
1)保育現場における展開  2)年齢・発達段階別の食育のテーマ
3)保育所の食育の実態(事例)
C 内閣府の食育ガイド

2 食育の内容と計画および評価
A 食育の展開
1)食育実践活動の進め方  2)食育実践活動の手順(対象の把握から評価まで)
3)食育と面接(カウンセリング)の技法
B 保育所の食育実践活動の実態
C 保育所から家庭へのアプローチ
1)保育所と家庭の連携
2)早寝早起き朝ごはんの習慣化
3)保育所給食を家庭・地域につなげる

3 食育のための環境
A 保育所・幼稚園における食育指針
1)保育所における食育指針(楽しく食べる子どもに)  2)保育所保育指針における食育
3)幼稚園教育要領における食育
B 学校における食育の推進
1)食育の視点から給食を考える  2)学習指導要領における食育
3)児童中心の食育実践の計画
C 子どもの食育における保護者,教育関係者の役割

4 地域の関係機関や職員間の連携
A 保育所職員の研修と各職員間の連携
B 地域の関係機関との連携
1)地域の子育て支援の関係機関  2)保育所・小学校などの教育機関
3)保健所などの医療・保健関係機関
C 家庭(保護者)や地域との連携の重要性

5 食生活指導および食を通した保護者への支援
A 体験的な食育のすすめ
1)もっと自然体験,生活体験を  2)栽培給食(自家菜園)のすすめ
3)食事はそろって楽しく
B 保護者への食生活指導
1)望まれる家庭での生活習慣  2)早寝早起き朝ごはんの習慣化
3)子どものための台所教育
C 幼児期からのこころの教育の重要性
1)子育ての基本は愛情(こころを育てる食育を)  
2)子どものこころを育てる行事食・郷土食  3)食べものを大切に
D 「食」の精神的・文化的・社会的意義

第6章 家庭および児童福祉施設における栄養と食生活
1 家庭における栄養と食生活
A 保護者の養育力の現状
B 女性の食意識と家庭における食生活の現状(保護者の意識)
C 現代の「食」の構築手段と問題点
1)外食・調理済み食品への依存  2)サプリメント(栄養補助食品)の利用
D 「食」に関する支援

2 児童福祉施設における栄養と食事
A 児童福祉施設における給食形態
B 児童福祉施設における給食のあり方
C 児童福祉施設における給食の運営
D 食事の提供および栄養管理
1)食事計画の基本的な考え方  2)食事計画の策定にあたっての留意点
3)食事計画の実施上の留意点
E 児童福祉施設における給食の実際
1)保育所  2)乳児院  3)児童養護施設  4)児童自立支援施設
5)知的障害児施設  6)盲ろうあ児施設  7)肢体不自由児施設
8)重症心身障害児施設

第7章 特別な配慮を要する子どもの食と栄養
1 疾病および体調不良の子どもへの対応
A 症状別
1)嘔吐・下痢・脱水  2)便秘  3)腹痛
B 疾病別
1)肥満  2)小児メタボリックシンドローム  3)やせ・思春期やせ症  
4)糖尿病 1 5)鉄欠乏性貧血  6)清涼飲料水ケトーシス  
7)アフタ性口内炎,口腔カンジダ症  8)先天代謝異常

2 アレルギーのある子どもへの対応
A 食物アレルギー
1)食物アレルギーとは  2)食物アレルギーの原因  3)食物アレルギーの症状  
4)食物アレルギーの対応
B その他のアレルギー
1)アトピー性皮膚炎  2)小児気管支喘息

3 障害のある子どもへの対応
A 障害のある子どもの栄養・食生活
1)障害とは  2)小児期の摂食機能に影響を与える代表的な基礎疾患
3)障害児の栄養評価と栄養給与量
B 障害児の食生活への対応
1)摂食・嚥下機能の発達とその障害  2)口腔機能に合った食形態と食事の与え方
3)精神・心理的な要因による摂食障害とその対応

資料
A 健康づくりのための食生活指針について
B 食育の推進について
1)食育基本法  2)食育推進基本計画の概要
3)「食育推進基本計画」に基づく子どもの健康づくりのための食育の推進について
4)「食育推進基本計画」に基づく保育所における食育の推進について
索引

ページの先頭へ戻る

序文

改訂の序


 初版を出版させていただいてから,2年半余りの歳月が流れました.この間,以前と変わらない少子化,高齢化傾向に国民の多くが一様の憂いを抱いているのではないでしょうか.
 日本人の平均寿命は男性80.21歳(世界8位),女性86.61歳(2年連続で世界1位),男女ともに伸び率は過去最高となりましたが,諸手を上げて喜べない状況にあると思われます.
 通常の寿命に対し,日常生活に健康上の制限がなく,自立して元気に過ごせる期間を「健康寿命」としています.厚生労働省の調査によると,その年齢は男性70.42歳,女性73.62歳です.平均寿命に比べ,その差は男性で約10年,女性で13年となり,最期を迎えるまでに10年以上,自立した生活が難しくなり,この間,医療や介護が必要になるなど,社会的に大きな問題になっています.今後,健康寿命をいかに延ばすかが重要な課題になっていることは言うに及びません.
 この問題には,日常の生活や食生活習慣も関わっていることが指摘されています.とくに長い間に身につけた食生活習慣は,問題が生じてから直ちに改善することは難しいでしょう.毎日とる食物,食習慣,食環境には,人間のからだとこころを健康にすることも,逆に健康を阻害することもできる不思議な力が潜んでいるのです.
 生まれてくる一人ひとりの子どもが生涯を通してそれぞれの可能性を存分に開花し,心身ともに健全な大人に成長して社会に貢献し,豊かな余生を送ることができれば,そんな幸せなことはないでしょう.
 それには,子どもたちが食の自立を図るまで,社会,地域,身近な大人のサポートが必要です.そのはじめとして,子どもに関わる周囲の大人が成長段階における心身の発育・発達を正しく理解し,「子どもの食と栄養」に関する適切な知識を習得することが求められます.私たちは栄養・食生活を通して子どもの心身の健康づくりを求めて本書を書かせていただきました.
 このたび日本人の食事摂取基準が改定され,平成27年度から向後5年間,これが児童福祉施設等での食事提供,個別の栄養評価などの基本として使用されます.また,厚生労働省,文部科学省,内閣府等からの最新の調査結果に基づいて本書の内容にも改訂を加え,さらにサイドコラムを追加し,内容の一層の充実を図りました.
 今後も引き続き内容の充実を図っていきたいと思いますので,教育・保育などの現場でお使いいただく方々の忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いに存じます.
 編著者一同 




初版の序


 これまでも,その時代によって子どもの栄養・食生活に関する問題はさまざまに現れ,改善に向けて栄養・食生活の重要性が論じられてきましたが,今日ほどその重要性が広範囲から論じられることはなかったように思います.
 生活リズムおよび食事リズムの乱れから派生する欠食や孤食,食習慣の乱れによる不適切な間食や夜食の摂取,偏食などにより,子どもの食事内容に偏りが生じています.その結果,生活習慣病の若年化が進行し,子どもの現在そして将来の健康に国民の多くは危惧の念を一層強くしています.
 日本は世界一を誇る長寿国ですが,少子化傾向に歯止めがかからない現状に際し,国民は一様に憂いを深めています.近い将来,少ない子どもたちが多くの高齢者の生活を担わなければならない時代の到来を思うと,一人ひとりの子どもが身体的にも精神的にも強靱な大人にならなければならないでしょう.このような現状を踏まえ,2005(平成17)年に「食育基本法」が制定され,「食育」が国民運動の一環として進められるようになりました.
 従来の小児栄養学は,発育と栄養の面を中心に論じられることが多かったように思います.しかし,人間の栄養や食事行動を考えるとき,内面(こころ)との関連を抜きにして論じることはできません.今日では以前にもまして「こころを育む食生活の営み」の重要性が強調されています.そこで本書では,ライフステージごとに「からだ・こころ・食と栄養」の3領域から,それぞれの時期の特徴と実際を交差させながら論じることを試みました.また,2011年度入学生から適用された保育士養成課程において,従来の「小児栄養」は「子どもの食と栄養」という科目名称に変更されています.現状において人間の栄養・食生活のあり方を考えるとき,これまで以上に心理面との関わりが重要になっているように思います.したがって,本書は新規のカリキュラム内容に合致していると申せましょう.
 今回,編著者一同はこのような考え方をもとに執筆をいたしましたが,その内容は前身となる既刊書『新 育児にかかわる人のための小児栄養学 改訂第3版』を土台とし,新たな形に生まれ変わらせての上梓となりました.初版より多大なご尽力をいただきました山口規容子先生(恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター長,現・愛育病院名誉院長)に心より感謝申し上げます.また,既刊書にて山口先生が執筆された「母乳栄養」の原稿を受け継がせていただきました.ここに重ねて深謝する次第です.
 編著者一同 




本書の目的・使い方


各章において,以下に示す内容を理解させたい.
1「子ども」について理解する(→第3章 子どもの発育・発達と食生活)
 ・一言で「子ども」「小児」といっても,大人のミニチュアでなく年齢的な特徴やさまざまな発育・発達過程があり,小児科学や発達心理学の見地から,さまざまな概念で分類されている.同じ月年齢の子どもでも,それぞれがどういった発育・発達の過程にあるのかを,多角的な視点で観察しなければならない.
 ・それぞれの子どもの発育状況,BMI,肥満度などの体格指数や肥満とやせの判定基準は,栄養評価の基本となる.
 ・人間のこころにおける対人関係,知能,情動の領域がどのように発達していくのか,そのプロセスを多面的に学習する.
 ・子どもの日常生活では,さまざまな発達の領域が関わり合いながら生活習慣が獲得されていく.基本的生活習慣の獲得時期を学ぶ.
2子どもの生活・食生活の実態を把握する(→第1章 子どもの健康と食生活の意義)
 ・社会情勢の変化が,保護者の健康観や健康意識を変え,それに伴って食生活が変化していることは否めない.食事リズムの乱れ,朝食の欠食,孤食,間食や夜食,ダイエットなどの問題が台頭しており,これらの食習慣がさまざまな健康問題の発生の引き金になっている.
 ・保護者の生活環境,食意識の変化により,低年齢時からサプリメントが使用され,「食」の構築手段も外部化の方向に進んでいる.健全な食生活の確立に向けた家庭への支援が求められている.
3食品・栄養に関する基礎知識を培う(→第2章 栄養に関する基本的知識)
 ・順調な発育の促進と,健康の維持・増進を図り,生涯にわたって生活の質(QOL)を高めていくためには,日常の食生活の営みが重要となる.どのような食品をどのように摂取すればよいか,種々の食品の栄養特性を学び,食品に含まれる栄養素等の特徴,消化・吸収過程を理解する.
 ・健康を維持・増進していくために,「食事摂取基準」を土台に個々の食生活のあり方(エネルギーおよび栄養素のとり方)を構築する力を養う.
4各ライフステージにおける発育・発達,食と栄養の特徴を理解する
(→第4章 成長期に対応した栄養と食生活)
①妊娠期
  ・子宮や乳腺,内分泌の代謝など,母親のからだが大きく変化する.母体の栄養状態は母体のみならず,胎児の発育,および分娩,授乳を含めた周産期においても重要となる.
  ・妊娠初期は胎児の細胞分裂が活発な時期であり,特定のビタミンの過不足が胎児の発育に影響を及ぼすことを認識する.
  ・適切な栄養・食生活管理により,貧血,妊娠肥満,妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病の予防を心がける.
②新生児期・乳児期
  ・とくに新生児期や乳児期は発育・発達がめざましく,それぞれの月齢において変化していく.したがって,充実した授乳栄養,適切な離乳食供与が必要となる.
  ・この時期は,母と子の相互作用(アタッチメント)によって人間関係の基礎を築いていく大切な時期でもある.食に関係する感覚やコミュニケーションを中心に,新生児期・乳児期の特徴を学ぶ.
  ・近年,低出生体重児が増加しており,その原因として,若年女性のやせ傾向,高齢出産の増加などが指摘されている.未熟の程度に応じて,さまざまな合併症や栄養上の問題が生じる可能性があることを理解する.
③幼児期
  ・生理機能,運動機能,精神機能の発達が著しい時期であるが,摂食能力,栄養の消化吸収機能は未熟である.
  ・対人関係,言葉の発達および食に関する母子関係について学習する.情緒の発達により,食事場面でさまざまな気になる食事行動が出現することを理解する.
  ・子ども期の栄養・食生活は,生涯にわたる健康と健全な生活の基礎をつくる大切な時期である.
  ・発育・発達に応じた食物選択や調理法を考慮し,それに併せて子どもの感性,豊かなこころを育むために,豊かな食事環境の構築が求められる.
④学童期・思春期
  ・身体発育が急速になり,性の成熟過程が始まり,歯は永久歯が生えそろう.消化吸収機能が高まり,運動能力も発達し,食欲は旺盛になる.
  ・こころの発達の面では,食と人間関係について意識しながら,それぞれの時期の特徴をとらえることが求められる.
  ・発育が旺盛な時期にみられる欠食,不適切な間食,夜食,買い食い,ダイエットなどは,健康上の問題となる.これらが不定愁訴,貧血,ミネラル欠乏などを引き起こすことも多い.
  ・さまざまな「食」に関する問題が出現するなかで,学校給食の果たす役割が大きいことを理解する.
⑤成人期・老年期
  ・人間は,人生のうちの多くを成人として過ごす.成人期は体の発育・発達がほぼ完了し充実した時期となり,壮年期は社会的には充実した時期であるが,基礎代謝や各種適応能力の減退に加え,代謝能力が低下し,生活習慣病を発症しやすい時期である.からだの機能低下をできるだけ穏やかにする(疾病予防)ためには,栄養と食生活のあり方がその鍵となる.
  ・成人期・老年期におけるこころの状況には,心理的なストレス,喪失感などが複雑にからみ合うことを理解する.
5食育の基本と内容,実践について理解する(→第5章 食育の基本と内容)
 ・「食」に関するさまざまな問題が存在し,慢性的な運動不足による生活習慣病予備軍の子どもの増加により,食の見直しが求められている今日,食育の役割は非常に大きい.
 ・食育基本法では,食育は知育・徳育・体育の基礎として位置づけられており,保育における養護と教育の質をいかに高めるかが課題である.
 ・食育を展開する際には,対象について発育・発達,栄養・食生活評価を行い,Plan→Do→Check→Actionの循環過程(PDCAサイクル)で段階的に進めることが望ましい.
 ・食育のためのさまざまな環境づくりが試みられている.
 ①保育所における食育指針「楽しく食べる子どもを目指して5つの姿(像)」(厚生労働省,2004)
 ②改定「保育所保育指針」(厚生労働省,2008).第5章の「健康及び安全」において,食育が「食育の推進」「食を営む力」の基本として位置づけられている.
 ③幼稚園における食育は,幼稚園教育要領(文部科学省,2008)で「健康」の領域に位置づけられ,育てたい食育として「食べる力」「感謝の心」「郷土愛」などがあげられている.
 ④小学校学習指導要領(文部科学省,2008)では,各教科における食育指導がうたわれ,総合学習では体験学習,問題解決学習を重視している.
 ・子育ての成果をあげるためには,子育て支援の関係機関である保健所,地域子育て支援センター,保健センター,児童館,子育てサークル等との日常の業務連携,および地域・家庭との連携が必要になる.それに加え,体験学習のできる環境を整えたい.
6児童福祉施設における栄養と食生活のあり方を学ぶ
(→第6章 家庭および児童福祉施設における栄養と食生活)
 ・種々の児童福祉施設の特徴,入所する子どもの養育歴や養育環境を把握し,適切な給食のあり方を理解して子どもの発育・発達に即応した食事の提供を心がける.
 ・児童福祉施設での食事の提供を通して,さまざまな食育の実践が可能である.さらに,子どもたち全員が一緒に食事をとり,楽しむことは情操教育の一助となり,また人間関係や社会性の構築の場ともなる.
 ・昼食と間食を提供する保育所では,家庭との連携が必須であり,今日では延長保育,体調不良児・病後児,食物アレルギー児など,さまざまな対応が求められている.
7疾病および体調不良の子ども,および特別な配慮を要する子どもへの対応を学ぶ
(→第7章 特別な配慮を要する子どもの食と栄養)
 ・疾病が直接あるいは間接的に食行動や消化吸収機能に影響を与え,子ども期の食生活や栄養状態が不適切になることがある.栄養状態が密接に関連する疾病について,エネルギーや栄養素がどのような影響を与えるかを学ぶ.とくに年少児にみられる食物アレルギーへの適切な対応を学ぶ.
 ・障害についての理解だけでなく,摂食・嚥下機能の発達について理解を深めたうえで,栄養・食事供与の方法を考えることが重要である.
 各節の末尾に演習問題を提示した.これらの取り組みを通して,学んだことが一層実りあるものになるであろう.そして本書を通して備えた健全な心身の健康観と食生活観を日々の生活に活かしながら,保護者および次世代を担う子どもたちに,たすきリレーで連綿と伝えていただければ望外の喜びである.そのことが,強靱なからだと折れないこころを備えた子どもを育て,そして彼ら/彼女らが不確かで試練に満ちた未来を生き抜くことにつながっていくと考える.
 (水野清子)