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小児腎疾患の臨床 改訂第6版診断と治療社 | 書籍詳細:小児腎疾患の臨床 改訂第6版

国立成育医療研究センター理事長

五十嵐 隆(いがらし たかし) 著作

改訂第6版 B5判 並製 332頁 2015年12月15日発行

ISBN9784787822253

定価:本体5,800円+税
  

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小児腎臓病学の決定版,待望の改訂第6版.小児科医や小児腎臓病の専門家を対象に,小児腎臓病学の正しい知識をわかりやすく解説.国内外の小児腎臓病学や,腎臓病の基礎・臨床の最新知見から厳選した重要情報,また治療手技や臨床のコツまでを網羅した一冊.

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目次

改訂第6版の発刊に際して   
著者紹介   
腎臓の形をした赤色豆(fagioli rossi kidney)[前見返し]
おもな遺伝性腎疾患の原因分子の腎における局在 [後見返し]

 第1部 総  論
 A 腎の発生と分化
  1. 腎の系統発生と三つの腎系  
     前腎/中腎/後腎
  2. 尿管芽   
  3. ネフロン  
  4. 蛋  白  
  5. 腎発生の分子メカニズム   
 B 腎機能と排尿機能の発達,およびその特徴
  1. 腎機能の発達   
     胎児期の腎の発達/出生後の腎の発達
  2. 排尿機能の発達   
     蓄尿と排尿/自覚的排尿
 C 腎の形態と機能
  1. 腎の形態   
     腎の血管系/糸球体の構造/尿細管の構造/傍糸球体装置
  2. 腎の機能   
     糸球体機能(濾過機能)/尿細管機能(分泌再吸収機能)/代謝機能
 D 腎疾患の主要症状
  1. 臨床症状   
     浮腫/高血圧(体高血圧)/尿毒症/腎外所見
  2. 尿の異常   
     血尿/蛋白尿/白血球尿(膿尿)と細菌尿/糖尿/尿量の異常/排尿異常
  3. 血液生化学の異常   
     クレアチニン,シスタチンC,β2-ミクログロブリン,血液尿素窒素,尿酸/電解質/酸塩基平衡
 E 診断法
  1. 尿検査から何がわかるか   
     外観/尿試験紙を用いた尿定性あるいは半定量検査/尿沈渣/定量検査と精密検査/
     尿培養/尿試験紙を用いた尿検査の原理と妨害反応の原因/その他
  2. 尿保存法の実際   
     室温放置による尿中成分の変化/尿中成分の適切な保存法
  3. 糸球体機能検査   
     腎血漿流量の測定/糸球体濾過率の測定/ RI物質を用いたGFR測定法/小児の腎機能障害の診断と
     小児CKDステージ判定のアルゴリズム
  4. 尿細管機能検査   
     近位尿細管機能検査法/遠位尿細管,集合管検査法/レニン-アンギオテンシン-
     アルドステロン系の機能検査法/その他
  5. 画像検査   
     X線検査/レノグラム,腎シンチグラム/腎超音波検査/CT検査/MRI検査/
     腎血管造影検査
  6. 腎生検   
     種類/適応/禁忌/経皮的腎生検の実施法
  7. 骨塩定量法と骨生検   
     骨塩定量法/骨生検
  8. 分子生物学的検査法   
     遺伝子クローニングとその応用/遺伝子発現の解析/トランスジェニック動物による
     解析/遺伝子病の分子生物学的解析/遺伝子診断の基礎知識/腎疾患の遺伝子診断/
     機能性蛋白の解析法/バイオインフォマティクスの利用/エピジェネティクス解析
  9. 質量分析   
 F 治療法
  1. 一般的治療法   
     食事療法/運動制限
  2. 血清電解質と酸塩基平衡の異常に対する治療法   
     電解質異常
  3. 透析療法   
     腹膜透析/血液透析
  4. 腎移植   
     適応,術前検査/組織適合検査とその意義/予後
 G 腎疾患の早期発見と対応――尿異常を呈する患児にはどう対処するか
  1. 胎児閉塞性腎疾患の診断と対応   
     胎児の尿路はいつから評価できるか/胎児閉塞性腎疾患/胎児閉塞性腎疾患の治療
  2. 乳幼児腎検診   
  3. 学校検尿   
     検尿システム/尿異常の頻度
  4. 腎臓病検診有所見者に対する指導と対応   
     検診結果通達時あるいは腎臓検診にて異常を指摘されて受診した場合の指導/
     有所見者への対応
 H 慢性腎疾患の成人への移行
  1. 小児科医の守備範囲とあるべき立場   
  2. 成人に移行する腎疾患   
     慢性腎炎/泌尿器疾患/その他
 I 糸球体腎炎の発症機序   
  1. 免疫複合体の関与   
  2. 血管内皮障害性を有するIC以外の原因   
  3. 細胞性免疫と補体系の異常   
  4. アポトーシスの関与   
  5. 糸球体内浸潤マクロファージの関与   
  6. 基底膜構成成分の異常   
J 慢性腎不全への進展機序
  1. 増殖因子の関与   
  2. メサンギウム細胞の形質転換と細胞増殖・基質増加   
  3. 糸球体過剰濾過   
  4. 糸球体肥大   
  5. 高蛋白食   
  6. 高脂血症   
  7. 間質性腎炎   
  8. 尿細管細胞の線維芽細胞への形質転換と増殖   
  9. 蛋白尿   
  10. 尿細管間質病変   
  11. アルドステロンの腎障害作用   
  12. アンギオテンシンIIのpodocyte傷害   
  13. 糸球体障害発生時の年齢   
  14. 尿細管間質における慢性腎虚血   
  15. 尿中への酸排泄の増加   
 K 腎疾患患児への予防接種
  1. 積極的に予防接種をすべき疾患とその時期   
  2. 免疫能の低下している患児への予防接種施行時の注意点    
  3. 腎疾患患児への予防接種の方針   

 第2部 各  論
 A 糸球体疾患
  1. 急性糸球体腎炎   
  2. 慢性糸球体腎炎   
     無症候性血尿,無症候性蛋白尿/IgA腎症/メサンギウム増殖性糸球体腎炎(非IgA腎症)/
     巣状分節性糸球体硬化症/膜性増殖性糸球体腎炎/膜性腎症/ HBウイルス腎症/ HIV関連腎症
  3. ネフローゼ症候群   
     生後1年以内に発症するネフローゼ症候群(先天性ネフローゼ症候群)/
     特発性ネフローゼ症候群
  4. 急速進行性糸球体腎炎   
  5. 二次性糸球体腎炎・腎症   
     Henoch-Schönlein紫斑病性腎炎/溶血性尿毒症症候群/膠原病,自己免疫疾患による腎炎/
     腎症候性出血熱(重症アジア型)/ immunotactoid glomerulopathyあるいは
     fibrillary glomerulonephritis/チアノーゼ腎症/骨髄移植後の腎症
  6. 遺伝性腎症   
     Alport症候群/ nonmuscle myosin heavy chain IIA syndrome /良性家族性血尿/
     爪膝蓋骨(形成不全)症候群/ネフロン癆/ oligomeganephronia /リポ蛋白糸球体症/
     Cockayne症候群/ミトコンドリア異常症/ Fabry病/ C1q腎症/
     complement factor H-related protein 5 nephropathy /fibronectin腎症/Galloway-Mowat症候群/
     Schimke imuno-osseous dysplasia
 B 尿細管疾患
  1. 尿細管機能異常症   
     近位尿細管機能異常/近位あるいは遠位尿細管機能異常症/遠位尿細管機能異常症
  2. 尿細管間質性腎症   
     全身性疾患/感染症/薬剤,重金属/その他
 C 尿路感染症
  1. 起因菌   
  2. 起因菌の薬剤感受性と第一選択薬   
  3. Gram陰性桿菌の尿路感染成立機序   
  4. 診断,部位診断   
  5. 尿路異常の合併   
  6. 膀胱尿管逆流の病態生理   
     尿管膀胱移行部における正常な逆流防止機構/ VURの成因/排尿時膀胱尿管撮影によるVURの重症度判定/
     VURの予後
  7. 治療,管理   
     細菌性尿路感染症/腎周囲膿瘍,腎膿瘍,巣状細菌性腎炎と黄色肉芽腫様腎盂腎炎/
     急性出血性膀胱炎/アレルギー性膀胱炎/無症候性細菌尿/ Ochoa症候群/
     気腫様腎盂腎炎
 D 囊胞性腎疾患
  1. 腎皮質囊胞   
     単純性腎囊胞/糸球体囊胞症
  2. 多囊胞性異形成腎  
  3. 多囊胞腎   
     常染色体劣性多囊胞腎/常染色体優性多囊胞腎/Meckel症候群
  4. 遺伝性症候群における囊胞性腎疾患  
     結節性硬化症/ von Hippel-Lindau病
  5. 腎髄質囊胞性疾患   
     髄質海綿腎/髄質囊胞腎/口顔指症候群/腎囊胞と糖尿病の合併/ Bardet-Biedl症候群/
     Alström症候群
 E 腎尿路の形成異常
  1. 閉塞性腎疾患   
     水腎症/多囊胞性異形成腎
  2. 腎異形成,腎低形成   
     腎異形成/腎低形成/遺伝子異常が明らかになった腎尿路形成異常症
 F 代理Münchhausen(Munchausen)症候群   
 G 排尿異常
  1. 器質的排尿異常   
     排尿調節機構/排尿異常/蓄尿異常/器質的排尿異常と機能的排尿異常の鑑別/
     治療,管理
 H 急性腎不全(ARF)・急性腎傷害(AKI)
  1. 診  断  
     高窒素血症,血清クレアチニン高値/尿量,尿中ナトリウム濃度/その他
  2. 原因究明――腎前性腎不全か腎性腎不全か   
  3. 合併症   
     体液量の増加あるいは減少/電解質異常/高窒素血症/高血圧/感染症
  4. 治  療   
     透析療法
 I 慢性腎不全
  1. 概念,疫学   
  2. 病態生理   
  3. 治  療   
     方針/保存的治療
  4. 学校生活への適応   
  5. 慢性腎不全,透析,腎移植に関する医療情報の提供   
 J 高血圧
  1. 定  義   
  2. 原因疾患   
  3. 高血圧患者にどう対応するか  
     現病歴,家族歴等の問診/身体所見の診察/各種検査値の検討/
     血圧のスクリーニング測定の検討/病因の検討
  4. 二次性高血圧症の診断   
     大動脈狭窄症/体液量の増加/高レニン血症/カテコラミン過剰/
     コルチコステロイド過剰/甲状腺機能亢進症
  5. 治  療  
     一般的治療/薬物療法/外科的治療
 K 腎尿路結石
  1. 臨床症状   
  2. 種  類   
     カルシウム結石(シュウ酸カルシウム結石,リン酸カルシウム結石)/
     炭酸リン酸カルシウム結石/シスチン結石/尿酸結石,その他の結石
  3. 治  療   
     薬物療法/食事療法/外科的治療

 索  引
  和文索引  
  欧文索引

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序文

 改訂第6版の発刊に際して 

 「小児腎疾患の臨床」改訂第6版をここに上梓する.
 本書は1996年4月に上梓した「研修医のための小児腎疾患の臨床」を基に,2006年6月に書名を「小児腎疾患の臨床」に改め,現在に至っている.本書ははじめ,小児科の研修医や若手小児科医が小児腎疾患を診療する上で必要な最新の知識を提供することを目的に執筆した.小児腎臓病学では当時,難易度の高い腎生理学の概念,臨床検査,負荷試験などが多かったため,読者の理解を図るために図や表を多用してできるだけわかりやすく記載することを心がけた.その結果,本書は幸いにも多くの読者からの御支援を戴くことができた.そして,本書を初めて世に出して20年目を迎える節目の年に今回の改訂版を上梓できたことを著者としてとてもうれしく思う.2ないし3年ごとの改訂のたびに本書を愛読してくれた方に,心から感謝の意を表したい.
 小児腎疾患に関する基礎・臨床医学はこの20年間に極めて大きな進化を遂げた.本書を初めて上梓した頃は,患者さんの臨床像を詳細に観察し,腎生検や負荷試験などの検査を行い,治療することが臨床の中心であり,そのような地道な努力の積み重ねにより小児腎疾患に関する様々な臨床概念が確立されていた.しかしながら,その頃からわが国の臨床現場に導入された様々な分子生物学的手法により,数多くの糸球体・尿細管疾患の原因が遺伝子レベルで同定され,既成の疾患概念のスペクトラムが広げられ,さらに今まで知られていなかった様々な新しい疾患とその原因遺伝子が解明された.現在では原因遺伝子が解明された小児腎疾患は既に200以上に達している.分子生物学的手法を中心とした新しい研究手法は小児腎臓病学の基礎と臨床を格段に深化させたと言えるであろう.一方,IgA腎症やネフローゼ症候群に対する臨床研究が推進され,有効性の高い治療法が明らかにされてきた.また,効果的な免疫抑制薬が開発され,慢性糸球体腎炎,ネフローゼ症候群,腎移植の治療に利用され,優れた効果を上げている.また,これまでわが国では遅れていた小児への腎移植も普及してきている.
 しかしながら,特発性ネフローゼ症候群のように原因が解明されておらず,治療に用いられる薬剤の副作用が問題となる小児腎疾患も少なくない.その意味からも,小児腎疾患に関する研究は基礎と臨床の両面においてこれからも大いに必要とされている.これまでの小児腎疾患に関する臨床研究においてわが国の小児腎臓病専門医は世界的な貢献をしてきたが,基礎研究については臨床研究に比べ貢献度が低く,これからの発展を期待する.
 小児腎疾患の診療を担当する医師にとって本書が臨床を行う上での助けとなるだけでなく,本書を通じて小児腎疾患の基礎・臨床研究に興味を持ち,高い志を持って小児腎疾患の基礎・臨床研究に参画する方が増えることを願う.


2015年12月
五十嵐 隆