待望の第6版!大好評の「最新NICUマニュアル」が,約5年ぶりに刷新.第6版では,図表の数を増やし,NICUをもたない小児科でも活用できる基本的な新生児/早産児管理の方法や,近年進歩している急性期の呼吸・循環管理の考え方も分かりやすく解説.緊急時の初期対応だけでなく,日常診療でおきる問題解決にも役立つため,新生児医療に関わる方は必携の1冊.
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目次
巻頭のことば
序 文
執筆者一覧
序 章 NICUにおける大原則
第1章 新生児の管理
A 新生児蘇生法
B 新生児の診察
C 入院時の診療について
D 新生児マス・スクリーニング検査
E 栄養の管理
1.経腸栄養
2.経静脈栄養
F 輸液の管理
1.水分率(WQ)
2.輸液療法の原則
3.高カロリー輸液
G 退院前検査
H 退院支援
第2章 早産児の管理
A 在胎22~23週の児の管理
B 超低出生体重児(ELBWI)の急性期の管理
1.超低出生体重児(ELBWI)の管理の実際
2.先天代謝異常スクリーニング検査
3.退院前検査
4.退院支援
C late preterm
第3章 各疾患の総論,各論
A 呼吸器疾患
1.人工呼吸器管理法
2.新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)
3.呼吸窮迫症候群(RDS)
4.慢性肺疾患(CLD)
5.無呼吸発作
6.胎便吸引症候群(MAS)
7.新生児一過性多呼吸(TTN)
8.肺出血
9.空気漏出症候群(air leak syndrome)
10.呼吸器関連肺炎(VAP)
11.乳び胸
12.dry lung syndrome
13.肺低形成
B 循環器疾患
1.早産児における動脈管開存症(PDA)の管理
2.心不全
3.先天性心疾患
4.不整脈
5.ショック
C 中枢神経系疾患
1.脳室内出血(IVH)
2.くも膜下出血(SAH)
3.硬膜下出血(SDH)
4.小脳出血
5.脳室周囲白質軟化症(PVL)
6.新生児仮死
7.低酸素性虚血性脳症(HIE)
8.新生児けいれん
9.新生児脳梗塞
10.新生児薬物離脱症候群(withdrawal症候群)
11.鎮静・鎮痛薬
D 腎疾患
1.急性腎不全
2.先天性水腎症
E 代謝・電解質異常
1.低血糖
2.高血糖
3.低カルシウム血症
4.高カルシウム血症
5.低マグネシウム血症
6.高マグネシウム血症
7.低ナトリウム血症
8.高ナトリウム血症
9.高カリウム血症
10.低リン血症
F 消化器疾患
1.嘔吐と吐血・下血(血便)
2.壊死性腸炎(NEC)
3.限局性小腸穿孔(FIP)
4.胎便関連性腸閉塞(MRI)
5.腸回転異常症
6.胃軸捻転症
7.胃食道逆流症(GERD)
8.胎便性腹膜炎
9.ミルクアレルギー
G 血液疾患
1.新生児メレナ
2.多血症
3.未熟児貧血
4.血小板減少症
5.播種性血管内凝固(DIC)
H 高ビリルビン血症
1.生理的黄疸
2.病的黄疸の特徴
3.間接性高ビリルビン血症
4.胆汁うっ滞(閉塞性黄疸)
I 感染症
1.感染症の基本知識
2.敗血症・髄膜炎
3.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
4.真菌感染症
5.ヘルペスウイルス感染症
6.先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症
7.クラミジア感染症
8. B 型肝炎ウイルス(HBV)母子感染予防
9.C型肝炎ウイルス(HCV)母子感染対策
10.成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)母子感染予防
11.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)母子感染予防
12.RSウイルス感染予防
J 未熟児網膜症(ROP)
K 未熟児代謝性骨疾患(MBD)
L 母体疾患と新生児
1.糖尿病
2.新生児ループス(NLE)
3.甲状腺疾患
4.抗てんかん薬・向精神薬服用妊婦
5.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
M 染色体異常
N NICUから始まる在宅支援
第4章 基本手技
A 採血法
1.足底採血
2.静脈採血(針滴下法)
B ルート確保
1.末梢静脈ルート
2.PIカテーテル
3.臍静脈・臍動脈カテーテル
4.末梢動脈ルート
C 輸血
1.輸血前検査
2.赤血球液(RCC)
3.血小板濃厚液(PC)
4.新鮮凍結血漿(FFP)
5.新鮮血(院内採血)
6.アルブミン製剤
7.交換輸血
D 腹膜透析
E 胸腔穿刺
F 頭部エコー
1.冠状断
2.矢状断
3.脳血流ドプラー
G 心エコー
1.Bモード
2.Mモード
3.カラードプラー
4.パルスドプラー,連続波ドプラー
5.その他
H 腹部エコー
I 頭部MRI
J 聴力検査
1.聴覚障害のハイリスク因子
2.聴性脳幹反応
3.自動聴性脳幹反応
付録
A 新生児の分類に関する用語
B 入院中のルーチン検査
C NICUで使用する薬剤
D NICUでよく使う略語
E 小奇形チェックリスト
F Dubowitz 新生児成熟度判定法
G New Ballard 新生児成熟度判定法
H 重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン
索引
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序文
巻頭のことば
このたび「最新NICUマニュアル」は5年ぶりの改訂を行い,第6版を出版することになりました.1982年6月,京都府立医科大学附属病院に周産期診療部が開設されて以来,今年で35年目になります.当時NICUチーフであった長谷川 功先生が中心となって執筆した初版は,1998年9月に出版され,新生児医療に関わる医師,ナースの方々の実践書,座右の書として好評を博してきました.その後,医学・医療の進歩などに対応し,2001年,2005年,2009年,2012年と4回の改訂を重ねてきました.
今回の第6版では,第5版で充実させたNICUを持たない小児科でも活用いただける基本的な新生児管理に加えて,近年目まぐるしく進歩している急性期の呼吸・循環管理の考え方など,NICUにおける専門性の高い内容も充実させました.また,図・表の数を増やし,より見やすくわかりやすい実用的な書としました.
編集者の徳田幸子先生は,本学で2006年から本学附属病院小児科NICUチーフならびに周産期診療部副部長として,新生児医療に献身されてこられました.2016年からは共著者である長谷川龍志先生にNICUチーフを引き継ぎ,主にNICU退院後のフォローアップ外来に活躍の場を移されていますが,新生児科医の後進の指導を続けられています.長谷川龍志先生は小児神経専門医でもあり,低酸素性虚血性脳症などの急性期神経疾患のみならず,NICU退院後の神経学的予後を見据えた管理を考えてくれています.また,橋口加名栄先生,瑞木 匡先生はNICUグループメンバーとして,診療だけでなく新生児関連の研究や学生,研修医を含む後進の育成・教育に非常に熱心にあたってくれています.
大学病院に必要とされる「臨床」「研究」「教育」の経験をもとに,伝統ある小児科学教室とNICUスタッフの叡智を結集し,情熱を注ぎこんでまとめ,改良し続けている本書は,新生児医療に関わる現場の医師,看護師の方々必読の実用書として,また小児科医,新生児科医をめざす意欲ある研修医の教科書として,ますますご活用いただけるものと考えています.
2017年3月
京都府立医科大学大学院医学研究科小児科学
京都府立医科大学医学部医学科小児科学教室教授
京都府立医科大学附属病院小児科診療部長
細井 創
序 文
改訂第6版の執筆のお話しをいただいた時,小児科医にとって新生児医療の基礎作りをするための手助けとなったり,水準のさらなる向上を図れる1冊になることを目標に掲げました.今回も主治医目線を重視し,神経分野においては周産期専門医(新生児)と小児神経専門医の資格をもつ長谷川龍志先生に,呼吸器分野においては,実践を視野にいれた勉強会を行い,若手医師のスキルアップを目指している瑞木 匡先生にご協力をいただきました.また,基本手技と各論の一部においては橋口(旧姓 鍋島)加名栄先生にお願いし,計4名で充実した内容を目指しました.現在,臨床における役割はそれぞれ違いますが,日々,学びながら診療にあたっています.重症化,複雑化する児の病態に対して,どんどん進歩する新生児医療をどのように取り入れ実践していくのか,悩むことも少なくありません.子どもたちにとって一番いい治療を選択していきたい思いは,どの先生も同じだと思います.そのような時,このNICUマニュアルが,緊急時の初期対応や日々の診療,問題解決の糸口にと,お役に立つことができれば幸甚です.また,不足分はどんどん書き足していただき,「自分だけのNICUマニュアル」として活用していただけるのであれば嬉しい限りです.
今回,この改訂第6版の執筆の機会をいただきました細井 創教授,担当していただきました診断と治療社の土橋幸代氏, 渡邉直人氏に深謝いたします.そして京都府立医科大学附属病院周産期診療部NICUの歴代チーフの先生方,主治医を務めていただいた先生方,関連病院の先生方,関連各科の先生方,一緒に第6版を作り上げてくれた長谷川龍志先生,橋口加名栄先生,瑞木 匡先生など,多くの方々に支えていただきましたことを心より感謝御礼申し上げます.
2017年3月
京都府立医科大学大学院医学研究科小児科学客員講師
徳田幸子