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子どもの保健演習ノート 改訂第3版追補診断と治療社 | 書籍詳細:子どもの保健演習ノート 改訂第3版追補

お茶の水女子大学名誉教授

榊原 洋一(さかきはら よういち) 監修

白梅学園大学子ども学部教授

小林 美由紀(こばやし みゆき) 執筆

改訂第3版追補 B5判 並製 216頁 2019年03月15日発行

ISBN9784787824073

定価:2,200円(本体価格2,000円+税)
  

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時代の流れとともに,保育所が地域開放や一時預かりなど外部に開かれるようになり,保育士には子どもを育てる専門家としての様々な役割が求められてきている.本書は,最新の統計や知見を収載するとともに,子どもの健康や病気・障害・事故について,具体的事例を通して指導者と一緒に考えられるよう工夫した実践の書である.「講義」の他、「演習」として様々な課題を提示することで考えを深め,また学習内容を確実なものとする「おさらいテスト」を各章ごとに付した.子育てパートナーが現場でも役立てられる実習テキストとしてご活用いただきたい.

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目次

改訂第3版追補の序
改訂第3版の序
改訂第2版の序
初版の序
執筆者紹介

第1章 子どもの発育を知ろう
A 胎児の発育
B 胎児の発育に影響する因子
 1)一般的因子 2)病的因子
C 身体発育の測定
 1 乳幼児の身体計測の仕方
  1)体重 2)身長 3)頭囲 4)胸囲 5)体表面積
 2 発育の評価の仕方
  1)パーセンタイル値 2)発育指数 3)SD値(SDスコア)4)発育速度
Column  母子健康手帳
演習(課題)
おさらいテスト

第2章 子どもの発達を知ろう
A 運動機能の発達とその評価について
 1)運動機能の発達の一般的原則 2)原始反射
 3)粗大運動の発達 4)微細運動の発達
B 精神機能の発達の測定とその評価について
 1)言葉の発達 2)知能の発達 3)情緒の発達
 4)社会性の発達 5)精神機能の発達の評価
 6)発達年齢の検査法
演習(課題)
おさらいテスト

第3章 子どもの健康状態を知ろう
生理機能の発達
1体温
 1)子どもと成人の体温の比較 2)体温の測定の仕方
 3)体温に影響する因子 4)発熱
2呼吸
 1)呼吸の型 2)呼吸数
3循環
 1)脈拍 2)血圧
4体液調節
 1)体液(水分)量 2)体液の組成 3)尿量の測定と尿検査
5免疫
6感覚
 1)視覚 2)聴覚 3)嗅覚 4)味覚 5)触覚
Column  集団生活と感染免疫  48
演習(課題)
おさらいテスト

第4章 日常における養護の方法
A 子どもの抱き方
B おんぶの仕方
C 食事の与え方
 1)母乳と人工乳 2)母乳の与え方 3)冷凍母乳の与え方
 4)人工乳の作り方 5)白湯の与え方 6)離乳食の進め方
 7)成長に伴う栄養所要量
D 口腔内の衛生
E 衣服の着せ方
F 排泄のさせ方
G 沐浴・入浴のさせ方
H 寝かせ方
I 外出時に注意すること
J おもちゃと固定遊具
K 自転車の乗せ方
L 子どもへの声掛けの仕方
演習(課題)
おさらいテスト

第5章 子どもの保育環境づくり
A 施設環境
 1)屋内の衛生管理 2)屋外の衛生管理
B 日常の健康管理
C 健康診査(健診)
 1)1か月健診 2)3〜4か月健診 3)1歳6か月健診
 4)3歳健診 5)学校健診
Column  シックハウス症候群
Column  保育者の健康
演習(課題)
おさらいテスト

第6章 よくかかる病気について知ろう
A 病気についての基礎知識
B 体調不良時の症状別対応
 1)発熱 2)嘔吐 3)下痢 4)便秘 5)咳
 6)鼻水,鼻づまり 7)発疹
C よくかかる感染症
 1起因病原体別感染症
  1)麻疹 2)風疹 3)突発性発疹 4)水痘・帯状疱疹
  5)単純ヘルペス感染症 6)手足口病 7)伝染性紅斑
  8)流行性耳下腺炎 9)インフルエンザ 10)咽頭結膜熱
  11)ヘルパンギーナ 12)乳幼児嘔吐下痢症(急性胃腸炎)
  13)EBウイルス感染症(伝染性単核症)14)ブドウ球菌感染症
  15)溶連菌感染症 16)百日咳 17)マイコプラズマ感染症
  18)蟯虫症 19)伝染性軟属腫 20)頭じらみ
 2臓器別感染症
  1)急性気管支炎 2)肺炎 3)喉頭炎 4)細気管支炎
  5)胃腸炎 6)食中毒 7)尿路感染症 8)髄膜炎
  9)中耳炎 10)結膜炎
 3季節別の流行疾患
D 感染症の予防
 1)出席停止期間の基準 2)予防接種
E 薬の投与の仕方
 1)シロップ 2)粉薬 3)坐薬 4)貼り薬
 5)塗り薬 6)点眼薬
F 病院受診時の対応
 1)病院にかかるとき 2)救急病院を紹介してもらうとき
 3)救急車を呼ぶかどうか判断に迷うとき
 4)誤飲,誤嚥への対応を知りたいとき
Column  川崎病 
Column  予防接種の変遷/解熱薬の使用/蚊を媒介とする感染/ペット感染
演習(課題)
おさらいテスト

第7章 よく起こる事故について知ろう
A 子どもの死因統計
B 子どもの事故の特徴
C 年齢別のけがや事故の種類と発生場所
D 事故防止
 1)室内 2)屋外
E 事故後の精神的支援
F 安全への配慮
G 安全管理
H 安全教育
 1)身体的特性 2)知的特性 3)精神的特性
I 子ども虐待
 1)子ども虐待の現状 2)身体的虐待の特徴
 3)ネグレクトの特徴
Column  事件・災害の予防と対応
演習(課題)
おさらいテスト

第8章 いざというときの応急処置について知ろう
A 子どもの応急処置における留意点
 1)重症のけがや意識がないとき 2)心肺蘇生法
 3)子どものAED(自動体外式除細動器)の使用方法
B 急病時の応急処置
 1)けいれん 2)呼吸困難
C 傷害時の応急処置
 1)出血 2)切り傷,刺し傷,擦り傷 3)骨折,脱臼
 4)肘内障 5)頭部打撲 6)火傷 7)溺水
 8)誤飲 9)誤嚥 10)熱中症 11)アナフィラキシー
 12)凍傷 13)電撃傷
Column  子どもの新しい心肺蘇生指針
演習(課題)
おさらいテスト

第9章 慢性疾患や障害をもつ子どもの保育について知ろう
A 慢性疾患や障害をもつ子どもの保育
B 医療費などの援助
C 子どもの在宅医療支援
D 低出生体重児・早産児で生まれた子どもの養護
E アレルギー性疾患をもつ子どもの養護
 1)食物アレルギー 2)アトピー性皮膚炎 3)気管支喘息
 4)花粉症 5)アナフィラキシー
F 神経・筋疾患をもつ子どもの養護
 1)脳性麻痺 2)てんかん
G 肢体不自由児の養護
H 吸障害児の養護
I 天性心疾患をもつ子どもの養護
J 尿器疾患をもつ子どもの養護
 1)糸球体腎炎 2)ネフローゼ症候群
 3)血管性紫斑病(アレルギー性紫斑病)
K 血液疾患をもつ子どもの養護
 1)貧血 2)血友病
 3)血小板減少性紫斑病
L 内分泌疾患(糖尿病)をもつ子どもの養護
 1)糖尿病 2)下垂体性小人症 3)性的マイノリティー
M 悪性腫瘍(悪性新生物)をもつ子どもの養護
N 視覚障害児の養護
O 聴覚障害児の養護
P 発達障害児の養護
 1)知的障害 2)自閉症スペクトラム症,自閉症スペクトラム障害(ASD)
 3)注意欠如多動症(AD/HD) 4)限局性学習症
Q 心身症のある子どもの養護
 1)チック 2)神経性頻尿
Column  喘息治療薬 
演習(課題)
おさらいテスト

第10章 子どもの生活習慣について考えてみよう
A 生活習慣病の予防
B 肥満とやせ
C 食生活
D 就寝時刻と起床時刻
E 遊びと体力づくり
F 心身症
G 思春期のリプロダクティブ・ヘルス
演習(課題)
おさらいテスト

第11章 世界の子どもの保健をながめてみよう
A 子どもの保健の国際協力
 1)国際連合(国連) 2)世界保健機関(WHO)
 3)国際連合児童基金(ユニセフ)
B 日本の子どもの保健の現状
 1)子どもの死亡率の変遷 2)子どもの死亡率改善の原因
 3)出生率の減少
C 在日外国人の子どもの保健の現状
D 海外渡航者の健康
 1)予防接種 2)海外の医療情報 3)海外での感染症
E 発展途上国の子どもの保健の現状
演習(課題)
おさらいテスト

各章の演習課題とおさらいテストの解答(例)

索 引

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序文

改訂第3版追補の序

 昨今の子どもたちの環境は,目まぐるしく変化しつつあります.少子化は未だ改善の兆しが見られていませんが,子どもの問題が社会問題として取り上げられることが増えつつあります.子育ての情報が溢れる中で,子どもの健康を守り育てることにも,質が問われる時代となっているのではないでしょうか.
 「子どもの保健演習ノート」の改訂第3版を発行してから3年がたち,資料の差し替えや本文の記載の修正を行いました.子どもの命を守るという思いは,昔も今も変わりないと思いますが,色々な背景を持った子どもの一人一人を大切に育てるには,多くの分野の知見と協力が必要となってきています.子どもの保健演習での学びがその一端を担うだけでなく,様々な分野を繋いで,実践を共有する積み重ねをしていきたいと思います.
 子どもに関わる方が,子どもたちに思いを寄せる方が,一人でも多くなることで,子どもたちのよりよい未来が切り拓かれていくことを願ってやみません.

2019年2月 小林美由紀


改訂第3版の序

 新版の『子どもの保健演習ノート』を刊行してから,5年が経ちました.この間,子どもの保育における環境も少しずつ変化してきています.保育士養成課程で子どもの健康について学ぶ科目が,「子どもの保健」となってから,子ども全般のさまざまな生活の場面における健康について,より身近に考えられるようになりました.
 子どもたちの発育発達状況,健康状態も時代の流れとともに少しずつ変化しており,それに合わせて子どもの発育を評価する成長曲線,母子健康手帳,育児用品も改変されてきています.その背景にある子どもたちの家族関係,社会環境を考慮していくことは,これからの子どもの育ちを考えていくことために大切です.また,ここ数年予防接種の状況も変化してきており,それによって,子どもの感染症の様相も変化していくと思われます.
 最近は,待機児童問題が社会的話題となっていますが,子どもが育つ環境の質の追究も大切なことです.保育所が,地域開放や一時預かりなどで,家庭で子育てが難しい子どもだけでなく,広く地域に開かれるようになり,子どもを育てる専門家としての役割が求められてきています.障害のある子どもたちが同年齢の子どもたちと一緒に育つことを経験できるのも,保育の現場ならではの体験です.「気になる子ども」だけでなく,医療的ケアが必要な子どもも一緒に生活する環境もできています.今まで,保育所が「保育に欠ける」子どものためにという場所として位置づけられてきていましたが,これからは子育てに悩む親子の交流の場や,障害のない子もある子もより良い育ちを育む場所になっていくでしょう.
 今回の改訂では,子育てパートナーとして,時代の動きのなかで,今まで以上に子どもたちを見守れるように,子どもの健康や病気・障害・事故について,具体的事例を通じて一緒に考えながら,概説しています.
 未来を支える子どもを育てるためには,実際に関わっている方々だけでなく,多くの方々による協力と知恵が必要です.今後も,子育てを身近なものとして,社会全体で考えられるよう,子育てパートナーの充実を願っております.

2016年12月 小林美由紀


改訂第2版の序

 6年前に『小児保健実習ノート』を刊行し,2年前に新版として『子どもの保健演習ノート』を発行してから,子どもたちがさまざまな生活の場面で,より良く育っていくようにと,ともに考えていくことが,少しずつ広がっている雰囲気を感じています.
 子育てパートナーになろうという人も,家族やプロの保育者だけでなく,地域のなかでも関心を持つ方が増えてきています.社会の動きとともに,子どもたちをより良く見守れるように,『子どもの保健演習ノート』をこのたび改訂することとなりました.
 子育てパートナーを目指すときに必要な,子どもの健康や病気・事故について,どんな視点や課題があるかは変わりないのですが,予防接種や感染症にかかったときの出席停止日数が変更になってきているように,病気や事故が起きてからの対応のみならず,予防の視点が大切となってきています.また,アレルギーは時代の変遷とともに,子どもたちの生活のうえで配慮が欠かせないものになっています.さらには,障害のある子どもや慢性の病気を抱えている子どもが,通常保育で一緒に毎日を過ごすようになってきています.保育者が限られた施設だけで必要とされているのではなく,地域の子どもたちのアドバイザーとして,重要な役割を期待されている時代となっています.
 子どもたちの豊かな感性と健やかな成長は,時代の動きとともに,社会の大きな財産となっているのです。このことを共有できることは,子育てに関わる保育者にとって大きな楽しみと喜びです.
 今後も,より多くの子育てパートナーとともに,考えていただきたいと思っております.

2013年12月 小林美由紀


初版の序

 4年前に『小児保健実習ノート』を刊行してから,子どもたちの環境も少しずつ変化しています.保育士養成で必修だった「小児保健」が「子どもの保健」と名称を替え,子ども全般をさまざまな生活の場面より,健康を考えていくようになりました.
 子育てパートナーも,社会の動きとともに子どもたちを見守れるように,このたび新版として,『子どもの保健演習ノート』を発行することとなりました.前書と同様,子育てパートナーを目指すときに必要な子どもの健康や病気・事故について,どんな視点や課題があるかを中心に概説しています.
 子どもの成長を見るときには,身体を計測して正常範囲内にあるかどうかだけではなく,その背景にある子どもの家族関係,社会環境,心理状況を考慮していくと,子どもたちの未来の健康の姿が見えてくるかもしれません.子どもの発達は,ただ単に,通過点の確認だけでなく,一人ひとりをきめ細かに観察すると,今後の脳科学の進歩とともに,新たな知見に気がつくかもしれません.子育てパートナーとなるということは,すなわちその最も魅力的な体験を最初にできるということにつながります.
 今回の新版では,母子健康手帳が時代とともに変化してきたように,保育者の視点を取り入れて,「子どもの保育環境づくり」を独立して充実させました.また,事故の予防においても,安全管理や安全教育の方法について,日常から行う大切さを考えました.変遷している予防接種や「発達障害」の子どもたちへの対応も,情報の共有と多くの方々の協力が必要です.
 東日本大震災では,子どもたちへの大きな影響を懸念しつつ,子どもの生きる力に大人が励まされている現実があります.子どもたちを豊かに育てるというだけでなく,ともにより良い社会をつくっていく仲間として,子どもたちの存在は,私たちの大きな力の源となるのではと思います.
 今回も,さまざまな方々から,アドバイスをいただき,より身近な子育てパートナーとなることをともに考えていただいていることは,望外の喜びです.子どもたちの成長とともに育てていただければと思っております.

2011年12月 小林美由紀