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医療系のためのもっとやさしい統計学入門 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:医療系のためのもっとやさしい統計学入門 改訂第2版

宇都宮市保健所/自治医科大学 名誉教授

中村 好一(なかむら よしかず) 編著

改訂第2版 B5判 並製 192頁 2023年11月01日発行

ISBN9784787826268

定価:3,300円(本体価格3,000円+税)
  

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医療系スタッフ・学生のための統計学入門書のロングセラー,待望の改訂です! 図表を多く使った丁寧な解説,統計手法を選ぶ際の道しるべとなるフローチャートなど,大好評の初版のわかりやすさはそのまま,最新の情報にアップデートしました.読むだけでは理解しづらい内容も,サンプルのExcelデータを使用して実際に解析を練習できるので安心! 初めての方にも統計学だけでなく,研究の始まりから発表までの流れがわかる1冊です!

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目次

 改訂第2版の序
 初版の序
 統計手法の選び方
 データ(変数)にあった統計手法を選ぶためのフローチャート
 本書内で扱うサンプルデータ
 執筆者一覧

Ⅰ章 研究を始める前に知っておきたいこと
 01 研究のアウトライン……山縣然太朗
  A はじめに
  B EBM
  C 因果関係
  D 根拠のレベル
  E 疫学や臨床疫学で使われる指標
 02 情報収集(文献検索)……小笹晃太郎
  A 情報収集の目的
  B 情報の種類
  C 情報の検索・収集
  D 引用文献の利用
 03 研究における倫理的配慮……尾島俊之
  A なぜ倫理的配慮が必要なのか
  B 個人情報保護法
  C 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針
  D インフォームド・コンセント
  E 倫理審査
  F 個人データの管理
  G 利益相反の管理

Ⅱ章 統計手法の基礎について勉強しよう―Excelでできることを中心に―
 01 代表値,ばらつき……定金敦子
  A データの種類
  B 質的データの記述統計
  C 数量データの記述統計
 02 記述統計としての相関係数,1次回帰,オッズ比……松原優里
  A 相関
  B 回帰
  C オッズ比
  D リスク比
 03 統計学的推論(推定と検定)……横川博英
  A 推定と検定
  B 統計学的推定(statistical estimation)
  C 統計学的検定 (statistical test)
 04 平均の差(推定と検定)……鈴木孝太
  A 平均の差における推定
  B 平均の差における検定
 05 割合の差(推定と検定)……早坂信哉,尾島俊之
  A 1つの母集団の割合
  B 2群の割合の差
 06 相関係数と1次回帰係数(推定と検定)……西 信雄,米倉佑貴
  A 相関係数
  B 1次回帰係数
  C これだけはやってはいけない

Ⅲ章 使えなくても理解できるようにしておこう―生兵法はケガのもと,専門家と組んで解析したい―
 01 交絡因子……松原優里
  A 交絡因子とは
  B 交絡因子の制御
 02 層化解析(マンテル・ヘンツェル法)……定金敦子
  A 層化とは
  B マンテル・ヘンツェル法
 03 ロジスティック回帰分析……松原優里
  A ロジスティック回帰分析の概念
  B ロジスティック回帰分析の2つのモデル
 04 生存分析……横川博英
  A カプラン・マイヤー法
  B 2群の生存確率関数の差の検定
  C コックス回帰分析
 05 分散分析,共分散分析,共分散構造分析……鈴木孝太
  A 分散分析
  B 共分散分析
  C 共分散構造分析(SEM)
 06 因子分析……尾島俊之
  A 主成分分析
  B 因子分析
  C 主成分分析と因子分析の違い
 07 一致性の検討(カッパ統計量)……西 信雄,米倉佑貴
  A カッパ統計量の求め方
  B 重みづけカッパ統計量の求め方
 08 ノンパラメトリック解析……松田晋哉
  A マン・ホイットニーのU検定
  B ウィルコクソンの符号つき順位和検定
  C クラスカル・ウォリス検定
  D ノンパラメトリック解析を行う際の留意点

Ⅳ章 研究結果を公表してみよう
 01 図表の描き方(グラフ,ヒストグラム,チャート)……山崎幸子,安村誠司
  A 図と表
  B 図
  C 表
 02 学会発表(演題申し込みから発表まで)……辻 一郎
  A どの学会で発表するか
  B 演題名を決める
  C 共同演者を決める
  D ポスター発表にするか口演発表にするか
  E 抄録の作成
  F 発表資料の作成
  G 予行演習
  H 発表そして質疑応答
  I 学会発表後に行うべきこと
 03 論文投稿(執筆から校正まで)……中村好一
  A 論文の主要部分の構成
  B 論文のその他の部分
  C 論文の順序
  D 著者を誰にするか
  E 投稿する雑誌をどれにするか
  F 論文完成から投稿まで
  G 投稿
  H 編集委員会とのやりとり
  I 論文採用後の対応
  J 論文刊行後

Ⅴ章 専門家との共同研究
 専門家と共同研究を行うにはどうすればよいか……松田晋哉
  A 研究計画の段階から相談する
  B きちんとした仮説をもつ
  C 問題の構造を図示する
  D 研究に正直であることを心がける
  E データの質に責任をもつ
  F 協力してくれた専門家には敬意を払う
  G 共同研究してくれる専門家を探す

 問題の解答
 Excel関数での決まりごと
 本書で用いるExcel関数一覧
 索引

■COLUMN
 タスキギー研究……尾島俊之
 動物実験の倫理……尾島俊之
 職員の学術研究のための個人情報ファイル……尾島俊之
 守秘義務……尾島俊之
 記名調査と無記名調査……尾島俊之
 臨床研究法,治験……尾島俊之
 研究不正……尾島俊之
 小数点以下の値の取り扱い……定金敦子
 常用対数と自然対数……定金敦子
 正規分布(normal distribution)……定金敦子
 「幾何標準偏差」……定金敦子
 等分散かどうか……鈴木孝太
 ピボットテーブル……早坂信哉,尾島俊之
 マクネマー検定……早坂信哉,尾島俊之
 「ライター所持」と「肺がん」の関係……中村好一
 多変量解析のデメリット……中村好一
 正規分布かどうかの判断……尾島俊之
 コクラン・アーミテージ検定とマンテル検定……松田晋哉
 自分のバイブルをもとう……松田晋哉
 文献検索におけるヒットを常に意識する……中村好一
 校正は慎重に……中村好一
 統計パッケージの選択……松田晋哉

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序文

改訂第2版の序

 医療系従事者(コメディカルスタッフ)や学生をターゲットとして2009年に刊行した本書の初版は,その売り上げ高から推測すると,一定の範囲で社会に受け入れられていると思われる.刊行から10年以上が経過し,改訂を試みた.
 統計に関する部分はそれほどの学問的な進化はなく(特に,本書のターゲットとする読者にとっては),若干の項目を改めたに過ぎない.一方,Ⅰ章(文献検索や倫理),Ⅵ章(学会発表や論文公表のあり方)は,世の中のデジタル化に伴い,大きく変化した.たとえば,現在では学会発表の申し込みや論文投稿などをかつてのように郵送で行うことは極めて例外的で,基本はインターネット経由である.したがって大幅な改訂が必要であった.これに伴い執筆者も若干の交代を行った.
 現場の医療従事者にとっては,現状の改善は欠かすことができない課題である.そして,そのためには統計を武器として活用する必要性は高い.このために,まずは学生時代に基本的な知識を身につけ,現場に出てからはこれを応用し,そしてその結果を社会共通の財産とするために学会発表や論文公表を行う.これらの一連の流れの補助として本書を活用していただければ著者一同,光栄である.
 最後になりましたが,改訂にあたりご尽力いただいた株式会社 診断と治療社の土橋,椎名の両氏に御礼申し上げます.

 2023年9月

 中村好一


初版の序

 先に株式会社 診断と治療社から刊行した「論文を正しく読み書くためのやさしい統計学」は主として医学研究者や医師をターゲットに執筆したが,結構評判がよいらしい.そこで今度は,前書の姉妹版として,医療系従事者(コメディカルスタッフ)や学生を対象とした本書「医療系のためのやさしい統計学入門」を企画した.
 統計学は難しいようで,基本をきちんと理解すればそれほど難解なものではない.しかしながら,何となくとっつきにくい印象を与えているのも事実である.その背景の1つに星の数ほどある難解な統計手法があると思う.しかし,通常使用する統計手法はその一部に限定されている.そしてその多くはExcelで何とかなるものである.本書ではスタンダードな手法のみしか紹介していないし,そもそも本書の執筆者のなかには,難解な統計手法を作り続けている「統計オタク」はいない(私が選んだのだから!).本書のⅡ章とⅢ章には明らかな違いがある.Ⅱ章で紹介しているものは「研究を行うからには,少なくともこの程度のことは使いこなしてほしい.使いこなせなくても『そのことは知っているよ』という程度でないと,研究は難しいかもしれない」というものである.これに対してⅢ章は,自分では使えなくても構わないから,たとえば論文を読んでいるときに,「そういえばこの手法はあの世紀の名著(この本のことですよ!)に書いてあったな.では,もう一度読んでみよう」程度のことでもよいのかもしれないものを紹介した.
 医療系従事者の場合,日常業務を行うなかで抱いた「現状を改善したい」という思いが研究につながるのだが,一方で「研究」や「学会発表」,まして「論文執筆」というと大上段にも構えているようで,興味はありつつも,多少「引いている」という状況が見え隠れする.このような状況を少しでも打破することができれば,という思いから,Ⅰ章とⅣ章,Ⅴ章を設けた.思っているほど難しくはないんだ,という印象をもっていただければ幸甚である.
 本書を何とか刊行にこぎつけることができたのは,迅速・丁寧に執筆・校正作業に取り組んでくれた執筆者と,株式会社 診断と治療社編集部の土橋,松本,両氏の尽力のおかげである.心から感謝する.

 2009年8月

 中村好一