HOME > 電子メディア > 電子書籍 > 電子書籍詳細

書籍詳細

子どもの学びと向き合う
医療スタッフのためのLD診療・支援入門 改訂第2版 電子版 診断と治療社 | 電子メディア | 電子書籍 | 電子書籍詳細:医療スタッフのためのLD診療・支援入門 改訂第2版 電子版

電子書籍

大阪医科薬科大学小児科名誉教授/大阪医科薬科大学小児高次脳機能研究所・LDセンター顧問

玉井 浩( たまい ひろし)  監修

藍野大学医療保健学部看護学科

若宮 英司 (わかみや えいじ ) 編集

2022年12月12日リリース

本書は電子書籍です. 書籍版の詳細はこちら


3,850円(税込)

※価格は書店により異なる場合がございます.


(外部サイトに移動します)

(外部サイトに移動します)

学習障害(LD)の定義と解説,実際の症状と受診タイミング,新たな検査と評価,診断,支援の実際を解説した.15例のケースとQ&Aで一連のプロセスが分かる!合理的配慮とICT活用例が追加され, より活用しやすくなった.小中学校の教員,養護教諭などの教育関係者,特別支援教育士・言語聴覚士・作業療法士など専門職を含むLDの診療と支援に携わるすべての方におすすめしたい一冊.

ページの先頭へ戻る

目次

 改訂第2版 監修の序  玉井 浩
 初版 監修の序  玉井 浩
 編集の序  若宮英司
 執筆者一覧
 本書の用語について

第1章 LDとは
A 診断基準と定義  若宮英司
B 視覚関連機能,協調運動,注意集中が学習に及ぼす影響  若宮英司
C ID,ADHD,ASDと学習  柳生一自,岩田みちる
D 言語障害と学習  永安 香,福井美保
E 脳の発達と脳機能  関あゆみ
F 合理的配慮について  竹下 盛

第2章 LDの具体的症状と診断・検査の実際
A 読字・書字障害の特徴  関あゆみ
B 算数障害  若宮英司,栗本奈緒子
C 診察の実際  若宮英司
D 協調運動の診察  柏木 充
E 聴力に関する訴えと言語障害の診察  福井美保,永安 香
F 視覚関連の機能に関する訴えの聞き取り方と症状の整理  奥村智人,三浦朋子
G 診断年齢別の対応のポイント  田中啓子
H 本書における各検査のカテゴリーと位置づけ  奥村智人,三浦朋子
I ICTの活用についてー実際の機器についてー  竹下 盛

Q&A
Q1 保護者から「言葉の発達が遅いことが心配だ」と相談を受けました.
  どのように対処すればよいでしょうか  田中啓子
Q2 保護者から「子どもがLDではないか」と相談を受けました.
  どのように対処すればよいでしょうか  田中啓子
Q3 発達障害で受診している子どもの保護者から,学習面の相談を受けました.
  どのように対処すればよいでしょうか  島川修一
Q4 学習困難の評価に関する紹介先の選択のポイントについて教えてください  若宮英司
Q5 子どもの学習困難を母親以外の家族(父,祖父母,きょうだい)が理解しないという相談への
  対応方法を教えてください  中尾亮太
Q6 保護者が子どもの学習困難を学校に相談する際の医療者の役割を教えてください.
  診断を伝えてその子どもが不利になることはないでしょうか  中尾亮太
Q7 投薬の適応と効果的な使い方について教えてください  島川修一

第3章 LDの子どもの支援プログラム
A 大阪医科薬科大学LDセンターでの取り組み  栗本奈緒子

CASE
CASE 1 幼児期より,読みの弱さを疑われていたAくん  竹下 盛
CASE 2 小学校入学後に,担任に読みの困難を指摘されたBくん  栗本奈緒子
CASE 3 視覚認知に弱さがあり,漢字書字の習得がむずかしかったCくん  水田めくみ
CASE 4 意味理解に弱さがあり,正しい漢字が書けなかったDくん  水田めくみ
CASE 5 読み書きの弱さが主訴で言語の弱さがあったEくん  栗本奈緒子
CASE 6 文章問題や長文読解が困難だったFくん  水田めくみ
CASE 7 数概念の弱さから計算に困難があったGちゃん  栗本奈緒子
CASE 8 文章問題理解に弱さのあったHくん  竹下 盛
CASE 9 学習困難を主訴として受診した中学生Iさん  栗本奈緒子
CASE 10 視写が苦手であったJちゃん    三浦朋子,奥村智人
CASE 11 形を捉えることが苦手であったKちゃん  三浦朋子,奥村智人
CASE 12 姿勢保持や机上操作が苦手であったLくん  芳本有里子
CASE 13 ADHD(不注意優勢)による学習困難のあったMくん  栗本奈緒子
CASE 14 ASDにより文章表現に困難のあったNくん  竹下 盛
CASE 15 読み書きの弱さに対しICTの活用が有効だったOくん  竹下 盛
COLUMN 発達障害の特性を考慮した学習指導について  水田めくみ

第4章 家庭生活・学習環境づくりと学校生活における支援
A 子どもとの接し方  金 泰子
B 二次障害への対応  金 泰子
C 教育機関との連携  鳥居深雪
D 療育施設との連携  松尾育子
E 作業療法士との連携  尾藤祥子,丹葉寛之
F 生活活動の管理・長期休暇の過ごし方  中尾亮太

Q&A
Q1 本人への告知について留意点を教えてください  金 泰子
Q2 受験準備や就職,社会適応の相談にどう対処すればよいでしょうか  中尾亮太
COLUMN 専門機関と学校との連携の重要性  竹下 盛

資料
 相談機関・ウェブサイト  若宮英司,鳥居深雪

索引

ページの先頭へ戻る

序文

改訂第2版 監修の序

 医療と教育,福祉の狭間に取り残された学習障害(LD)の子どもに医療からの光を当ててきた本書の初版は2016年に発行されましたが,その後反響も大きく,認知科学の進歩,ICTを取り入れた学習支援の進歩も著しいため,今回改訂第2版を発行することになりました.
 発達障害診療のなかでも,医療者が取り組みにくいLDの診療には,教育関係者との連携や,言語聴覚士,作業療法士など学習技能に直結する分野の専門家との連携を必要としています.
 医療者がこのLD診療でキーパーソンである理由は,単に自閉スペクトラム症(ASD)や投薬を必要とする注意欠如・多動症(ADHD)との併存が存在しうるという理由だけではなく,その子どもが診断のもとに今後の人生の方向性が決まってしまうほどの岐路に立っているからです.
 医療スタッフのために検討された本書の構成は,多くのケースとQ&Aを提示しているため,分かりやすく,教育関係者にも読んでいただきたいと考えています.
 今では,LDは教育の問題であって,医療の問題ではないといいきる医療者は少なくなっていますが,教育者と医療者の間で意見が違って,どうすればいいか困惑している保護者はまだまだ多くいます.こういった家族がなくなるように,そして結果的に子どもたちが適切な支援に行き着くように願って本書を世に送り出したいと思います.

 2022年9月
大阪医科薬科大学小児科名誉教授
大阪医科薬科大学小児高次脳機能研究所・LDセンター顧問
玉井 浩


初版 監修の序

 医療と教育,福祉の狭間で取り残されている学習障害(LD)児に医療からの光を当て,診療への新しい切り口を開く本書は,大変意欲的なガイドブックに仕上がっているものです.
 これまで医療は治療法のある疾患には,症状,検査,鑑別診断,そして治療に至るまで医療体系がしっかり整備されていますが,まだ治療法のないものに対しては症状と病名のみの記載にとどまっていることが多く,正確な診断がなされていないばかりか,その誤った診断をもとにした指導がされている可能性もあります.これは多くの医師が学生時代には学習してこなかった領域であり,卒業後も学習する機会もなく自分たちの領域ではないと思っていたからです.
 一方で,認知科学の進歩はめざましく,発達性ディスレクシアを含む学習障害についても,新しい知見が見出されています.しかし,診断基準,疾病分類が複数存在し,用語の混乱も加わって,LDは混沌としたまま放置されていたのが現状です.
 本書は,認知の知識をベースにLDの症状からはじまって,診断,検査の実際,支援プログラム,学習環境,家庭生活への支援のあり方まで述べていて,この分野ではこのような成書はまったくなかったものです.医療スタッフにとっては,聞きたいことだが,どこに/だれに聞いたらいいかわからなかったことが本書には盛り込まれています.ぜひ多くの医療関係者に手に取っていただきたいと思います.

 2016年4月
大阪医科大学小児科/LDセンター長
玉井 浩


編集の序

 今回,第2版を世に出す運びになり,子どもの学習の悩みに対して多様な領域の支援が必要との思いが広く受け入れられたことを喜びつつ,初版に対する読者の皆様の支持に感謝いたします.
 今版では,各項の刷新に加え,日本版が未発表のため英語表記になりましたがICD-11の内容について触れ,教育現場へのICTの浸透を踏まえて相応する項目を付け加えました.
 引き続き本書が皆様の実践のお役に立つことを祈っております.

 2022年9月
藍野大学医療保健学部看護学科
若宮英司


■ 初版 編集の序
 医療に携わるものにとって「学習障害」は馴染みがうすい障害です.「ADHDやASDなら知っているし,実際に診療している.学習障害? 名前は知っているけれど,内容はよくわからない.そもそも学習障害は学校が対処すべき問題で,医療は関係ない」というのが一般的な感想ではないでしょうか.他の発達障害に比べて病態に関する知見が少ない,使われる用語が認知に関するものでわかりにくい,知的障害やASDの症状を学習障害と呼ぶ混乱がみられたなど,学習障害の理解を阻む状況が長いあいだ続いたことが,医療関係者の学習障害に消極的な姿勢につながったかもしれません.
 幸い(?)クリニックで学習の問題の相談を受けることはあまりないかもしれません.ADHDやASDなどの診療中に「何か困っていることはないですか?」と問いかけると,本人や保護者の頭の中には「学習の悩み」が浮かんでも,一般的に学習の話題はクリニックの場にふさわしくないという暗黙の了解のもと,スルーされてしまいます.もし「勉強のことでお困りではありませんか?」と突っ込んで尋ねたら,「とても困っています」という答えが返ってくることは少なくないはずです.
 最近になって,学習障害の概念がわかりやすく整理されてきたこと,わが国でも学習技能を客観的数値として測定できるツールが出てきたことなど,学習障害の診療環境が整ってきています.学習は子どもの成長過程でかなり大きなウェイトを占めています.単に成績のよし悪しではなく,学校適応や成人後の生活に直接大きな影響を及ぼします.学習の悩みに医療の立場から応えることができれば,それも子どもの健やかな成長の手助けのひとつではないでしょうか?
 一般的には発達障害の診断を前提として,診断名から学習困難を理解しようとすることが多いのですが,そうすると関連性に矛盾が生じ,よくわからなくなってしまいがちです.いったん,診断名と距離をおいて,機能単位,たとえば「文字と音韻の関係性」や「上肢の巧緻性」から学習の問題を考えると理解しやすく,理解を進めていくうちに診断との関係がわかってきます.
 本書は,医療関係者の学習の問題点への「取っつきにくさ」を少なくしたいという考えのもとに編まれています.子どもたちに医療が手を差し伸べる領域がひとつ増えることを祈って.

 2016年4月
藍野大学医療保健学部看護学科
若宮英司