医療系のためのやさしい統計学入門
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B統計学的推定(statistical estimation)……μはミューσはシグマ 分散とはデータの分布の広がり幅(ばらつき)をみる  1  つの尺度で,データの平均値との差(偏差)を  2  乗することで計算できます[(x−xn)2]. 標準偏差は,分散と同じようにデータの分布を確認する際に用います.分散の平方根をとることで求めるので,尺度としては平均と同じ次元で評価することができます[(x−xn)2  ].(詳しくは「 1 .代表値,ばらつき」(20ページ参照)x  はエックス・バー3.統計学的推論(推定と検定)3535標本1標本2標本x母集団母平均μ母分散σ2母標準偏差σ母集団平均μ分散σ2標準偏差σ標本x1標本x2標本x3標本xn標本平均x標本分散 s2標本標準偏差 s統計学的推定・検定抽出推定1)点推定(point estimation) 点推定とは,調査した標本から得られたデータをそのまま母集団のデータとして推定する(あてはめてしまう)ことです.喫煙と肺がんの発生に関する症例対照研究を例にすると,標本において曝露(喫煙)に対する疾病(肺がん)発生のオッズ比が 3.51 と観察された場合,母集団のオッズ比も 3.51 と推定することです. 冒頭で,母集団と標本との関連について紹介しました.標本の情報から母集団の特徴を推し量る推定には,点推定と区間推定があります. まず,推定に必要な要素について確認しましょう. 推定には,各標本の平均(標本平均 x),各標本分散の平均(標本分散 s2)および各標本の標準偏差の平均(標本標準偏差 s)を求めておく必要があります. それでは,母平均μを求めてみましょう. 点推定では,標本平均を母平均にそのままあてはめてしまうので,各標本の平均から求めた平均が母平均μになります.つまり,n 個の

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