医療系のためのやさしい統計学入門
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 Excel で行う場合は関数CHITESTを用いますが,残念ながら一発で検定結果が出てくるようにはできていません.期待値*11を自分で算出してから検定を行うような手順を踏むことになり,使い方は若干複雑になります.通常,研究者がカイ 2 乗検定を行う際は統計ソフト(PASW Statistics(SPSS)など)を用いることが多いと思います.たとえば PASW Statistics(SPSS)だとサンプルデータを取り込むと数回クリックするだけでクロス表*12と検定結果が出てきます*13.*11 補足 2  つの変数の間に関連性がないと仮定した場合に予想される集計表の数値のこと.*12 補足 クロス集計とは,横断研究で得られたデータについて  2   項目を選んでクロスさせて集計するもので,両項目の関連性をみるものです.クロス集計による集計表はクロス表とよばれます.単純集計と異なる点は,クロス表は解析目的があって作成されるものだということです.*13 補足 ネットで検索すると,クロス表に数値を入れるだけで検定結果を計算してくれるサイトも見つかります.精度は定かではありませんが,ちょっと確認するのには便利かもしれません.しかし,学術論文に記載するには,「***のWebサイトで検定を行った」では査読でその結果を疑問視される可能性があります.論文作成の時は定評のある統計ソフトを使った方が無難でしょう.*15 補足 Excel  でピボットテーブルを作成するとこのような表になりますが,論文作成時は行を男,女の順に,列を  1,0  の順に記載することもあります.*14 column 次ページ下部に掲載●この表の  Excel  データは次のホームページに掲載されています. http://www.shindan.co.jp/Ⅱ章 統計手法の基礎について勉強しよう525223  = 0.522)に対して,女は 40.0 %(  10 ピボットテーブル*14という Excel の機能を使って次の集計表を作り,F,Gの列に記載してある計算式で期待値を求めます*15.最後にF18 にある関数CHITESTを用いて p 値を算出します.これが 0.05 より小さければ帰無仮説は棄却され,「統計的有意な差があった」ということになります.サンプルデータの場合 p = 0.398 で有意な差があったとはいえませんでした.しかし,クロス表をみると男で高血圧の家族歴は 52.2 %(  1225  = 0.4 )と,ある程度の差があるので,もっと対象者数が増えると検定結果でも有意な差になる可能性は十分にあると思います. サンプルデータを用いて Excel でカイ 2 乗検定をやってみましょう.男女で高血圧の家族歴の有無の割合の差はあるでしょうか?

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