1849内分泌代謝臨床研究マニュアル
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172●●●第8章 結果解析の実践 実際のソフトを使って 「ROCテーブル」では,感度,特異度,年齢のカットオフ値が表示される.感度と特異度の和が最大となる場合,つまり,「感度-(1-特異度)」が最大となるところが「*」で表示される.この場合の感度は65.85%,特異度は78.57%(1-0.2143=0.7857)である.そして,感度と特異度の和が最大となる場合の年齢のカットオフ値は54歳となる. しかし,検査の閾値は,感度と特異度を最大にするということだけで設定するものではない.偽陰性数を少なくしたい,つまり,見落としを避けたい場合は感度を高くする.一方,偽陽性数を少なくしたい,つまり,疾患がないのに検査で陽性となる例を少なくしたい場合は特異度を高くする.このように目的に応じて感度を高くしたり特異度を高くしたりしてカットオフ値を設定する.「*」印で閾値を設定するのは参考程度と考えた方がよい.■解析結果のまとめ APA摘出術1年後のCKDに対する年齢のAUCは0.74681により,年齢によりCKDの予測能がある程度可能と考えられた.年齢のカットオフ値を54歳とした場合,感度と特異度の和が最大となる.その時の感度は65.9%,特異度は78.6%であった.見落とし例を少なくするために感度を高くすることができる.たとえば,年齢のカットオフ値を52歳としたとき,感度は68.3%,特異度は71.4%であった.

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