1849内分泌代謝臨床研究マニュアル
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18●●●第2章 臨床研究の研究デザインの種類――B 観察研究る(図1).しかしこれがベストなのは偽陽性の損失と偽陰性の損失の価値が等しい場合だけである.実際の臨床現場で,偽陽性と偽陰性の価値は同じではない.偽陽性の損失が大きくこれを避けるのであれば特異度を高く設定すればよいし,偽陰性を避けるのであれば感度を高くする必要がある.偽陽性の損失と偽陰性の損失の価値が等しいという条件が妥当ならば,Youdenʼs indexを利用できる.再現性 一つの事象を観察したときにどれぐらい同じ観察結果が得られるかという性質である.たとえば5疾患群非疾患群検査陽性ab検査陰性cd感度sensitivity=a⊘(a+c)特異度specificity=d⊘(b+d)陽性予測値positive predictive value=a⊘(a+b)陰性予測値negative predictive value=d⊘(c+d)検査陽性時の尤度比={a⊘(a+c)}⊘{b⊘(b+d)}=sensitivity⊘(1-specificity)検査陰性時の尤度比={c⊘(a+c)}⊘{d⊘(b+d)}=(1-sensitivity)⊘specificity感度,特異度,陽性予測値,陰性予測値,尤度比1表3水準以上の検査結果に対する尤度比疾患群非疾患群尤度比検査結果1ab(a⊘m)⊘(b⊘n)検査結果2cd(c⊘m)⊘(d⊘n)検査結果3ef(e⊘m)⊘(f⊘n)検査結果4gh(g⊘m)⊘(h⊘n)合計m=a+c+e+gn=b+d+f+h尤度比は2×2表でなくても計算できる.この図では2×4表に基づいた.2表第1回目検査陽性陰性第2回目検査陽性ab陰性cd全体の数をn=a+b+c+dとするaセル期待値=(a+b)(a+c)⊘ndセル期待値=(c+d)(b+d)⊘nκ係数={a+d-(aセル期待値+dセル期待値)}⊘{n-(aセル期待値+dセル期待値)}κ係数の計算3表ROC曲線におけるYoudenʼs index最大の点Youdenʼs indexは(感度+特異度-1)であり,ROC曲線と対角線の縦軸方向の距離に該当する.これが最大となる点は,ROC曲線が傾き45°の直線と接する点である.この付近をROC曲線の「肩」ということもある.偽陽性と偽陰性の損失の価値が等しいという前提のもとで,この点に該当する検査値を陽性基準の閾値とすることができる.1図0.000.250.501-SpecificitySensitivity0.000.250.500.751.000.751.00

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