1909不随意運動の診断と治療 改訂第2版
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197筋痙攣(けいれん)第13章1.概  念 筋痙攣(けいれん)(cramp)自体はほとんどの人が経験している現象である.正常高齢者では35~60 %で筋痙攣(けいれん)を経験したとの報告がある.また筋痙攣(けいれん)が種々の全身疾患や神経疾患に伴って発現することもある. 筋痙攣(けいれん)の定義としては,制御できない筋の短縮と筋の硬直を伴う激しい痛みを指すが,必ずしも痛みを伴わない場合も少数に認められる. crampと名前はついているが,writer’s crampは動作特異性のジストニアであり,狭義の筋痙攣(けいれん)とは区別して考えるべき疾患であり,「第2部:ボツリヌス治療」の章で詳しく述べる.2.原因疾患 表1に筋痙攣(けいれん)を起こしうる条件をまとめた.圧倒的に多いのは正常人でみられる運動中または運動後に主として下腿に起こる本態性筋痙攣(けいれん)である.また就眠時に起こることも多く,足の底屈姿勢が持続的な筋短縮をきたすことが原因の一端かと考えられる. 種々の神経疾患も筋痙攣(けいれん)をきたしうることがあり,筋萎縮性側索硬化症やポリオをはじめとする運動ニューロン疾患,Charcot-Marie-Tooth病や糖尿病性ニューロパチーなどの末梢神経障害,神経根障害などでみられることが多い.有痛性攣縮・線維束性収縮症候群(cramp-fasciculation syndrome)は主として下肢筋にみられるcramp,線維束収縮(fasciculation)(DVD 10-12,13),ミオキミア(myokymia)(DVD 10-6〜8,14),運動不耐(exercise intolerance)をきたす良性の疾患であり,筋萎縮性側索硬化症と鑑別を要する1).電気生理学的に末梢神経の興奮性亢進が認められることと,カルバマゼピンに対する反応性が特徴的である. 二次性の筋痙攣(けいれん)は多くの疾患でみられ,以下に述べるように神経周囲環境の変化に伴うものと考えられる.妊娠に伴うものは妊娠の後期になるほど進行し,典型的には夜間に下腿の筋痙攣(けいれん)を起こす場合が多い.腎不全,肝不全,血液透析,甲状腺機能低下症,副腎機能低下症などの代謝性疾患や,脱水などでも筋痙攣(けいれん)は起こりうる.筋痙攣(けいれん)の分類疾  患本態性(正常)運動中/運動後神経原性運動ニューロン病ニューロパチー神経根病変有痛性攣縮・線維束性収縮症候群(cramp-fasciculation syndrome)神経周囲環境の変化による二次性妊娠代謝性疾患(腎不全,肝不全,甲状腺機能低下,副腎機能不全)電解質異常脱水筋痙攣(けいれん)を起こしうる疾患表1

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