1909不随意運動の診断と治療 改訂第2版
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34第1部 不随意運動自動運動(automatic movement)a 練習などで獲得された運動で意識的な努力なしに行うことができる運動である.(前向きの)歩行,しゃべること,まばたき,頭部のコントロールなどで,書字や音楽家の楽器の演奏なども大半はこれに入る.随意運動(voluntary movement)b 随意運動は意図的または計画的・自発的な運動(self-initiated movement)と,外的な刺激により誘発された運動(externally-triggered movement)に分類される.前者は運動に先行する運動準備電位(Bereitschaftspotentialまたはreadiness potential)が記録されることが特徴であるが,後者ではみられない5).一見自発的にみえる運動が随意的なものか不随意運動かを鑑別するためにこの記録が用いられる.しばしば,チックや舞踏症などの不随意運動をカモフラージュするために随意的な運動が不随意運動のあとに意図的に付け加えられたり,他の随意的に見える動作におきかわることがある.これをパラキネジア(parakinesia〈DVD 9-5〉)と呼ぶ.半随意運動(semi-volunary movement)または非随意運動(unvolunatry movement)c これらの用語は,長時間仕事をしていて思わず“伸び”をしてしまう運動や,かゆい部位を掻く運動,あくびをする,鼻をすすることなど,内的な感覚・欲求に誘発される運動のことをいう2).異常な運動としては,チックやアカシジア(静坐不能),むずむず脚症候群など,異常で不快な感覚を払いのけようとする運動もこのカテゴリーに入る.これらは少なくとも一時的には随意的に抑制できることが特徴である.不随意運動(involuntary movement)(狭義)d 狭義の不随意運動とは,(大半の振戦やミオクローヌスなどのように)通常抑制することができないか,部分的にしか抑制できない運動をいう5).通常睡眠中には症状が消失するが,口蓋振戦だけパーキンソニズム 無動(akinesia) 運動緩慢(bradykinesia) 筋固縮(rigidity)失行(apraxia)遮断性チック(blocking tic)カタプレキシー(cataplexy)カタトニー(catatonia)すくみ足(frozen gait), すくみ現象(freezing)甲状腺機能低下症筋痙攣(stiff-muscle, cramp)アテトーゼ(athetosis)ジストニア(dystonia)舞踏症(chorea)ミオクローヌス(myoclonus)チック(tic)バリズム(ballism)振戦(tremor)小脳失調 運動失調(ataxia) 協調運動障害(dyssynergia) 測定障害(dysmetria)静坐不能(akathisia)常同症(stereotypy)ミオリズミア(myorhythmia)病的驚愕反応(startle reaction, hyperekplexia)発作性ジスキネジア(paroxysmal dyskinesia)入眠時ジスキネジア(hypnogenic dyskinesia)痛む足動く指症候群(painful leg and moving toes syndrome; Spillane syndrome)むずむず足症候群(restless leg syndrome)筋線維束攣縮(fasciculation)ミオキミア(myokymia)筋痙攣(spasm, cramp)運動過小運動過多運動障害の分類表1米国の代表的運動障害クリニックでの疾患別の頻度表2Parkinson症候群ジストニア振戦チック舞踏症遅発性ミオクローヌス半側顔面痙攣運動失調発作性ジスキネジアステレオティピーむずむず脚sti-person心因性35.3%24.3%15.8%6.4%2.9%2.9%2.4%1.6%1.9%1.1%0.6%1.9%0.2%3.0%(Fahn, Jankovicらによる)

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