2015頭頸部エコーアトラス
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8II 各論耳下腺1図1 耳下腺の観察耳介,耳垂の直下で下顎骨,下顎枝の表面より探触子を水平にあて,耳下腺横断像を描出する.▪耳下腺の描出の際には,探触子を下顎角から下顎枝の表面皮膚に水平にあてて観察する.▪ びまん性の病変か,腫瘍のような限局性の病変かを鑑別する.▪両側性か,片側性かということも重要なため,必ず両側を観察する.▪びまん性の場合,血管拡張,血流増加,導管拡張の有無を観察する.▪ 腫瘍性疾患の場合,腫瘍の形状,境界,内部エコー,腫瘍内外の血流に着目することが,多形腺腫とWarthin腫瘍の鑑別や悪性腫瘍の診断に役立つ.Point!耳下腺は大唾液腺の1つで,左右の耳下部に1つずつ存在する.排泄管は耳下腺管(stensen管)とよばれ,咬筋の表面を前方へ走行し,咬筋の前縁に沿って口腔側に向かい,頰筋を貫通し,上顎第二大臼歯の高さで口腔前庭に開口する.顔面神経は耳下腺内を枝分かれしながら走行し,耳下腺を浅葉,深葉に分けている.しばしば耳下腺は一部分離し,副耳下腺となる(図1).超音波検査で耳下腺を観察するには,耳介,耳垂の直下で下顎骨の表面皮膚より探触子を水平にあて,耳下腺横断像を描出するとよい(図2).この断面で耳下腺管も観察される.耳下腺は舟の帆を逆さにしたような逆三角形の形をしており,これに浅葉前方の咬筋と接する部分が加わる.後方は胸鎖乳突筋と接し,内方は副咽頭間隙へ続く.筋肉との境界は比較的明瞭だが,脂肪組織との境界は不明瞭である.内部エコーは微細で高エコーレベル,均質である.下顎後静脈が深部を走行する.耳下腺の観察顎下腺耳下腺管耳下腺咬筋舌下顎骨下顎骨舌下腺胸鎖乳突筋

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