2015頭頸部エコーアトラス
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1耳下腺9まず,病変が耳下腺全体の変化か,限局性の変化かをみる.病変が全体に及んでいる場合は,炎症などのびまん性疾患によるものを考える.明らかに限局した腫瘍性疾患の場合は,腫瘍が良性か悪性かを診断基準に照らして判断する.しかし,結核などの特殊な感染症では腫瘤を形成するものがある一方,悪性リンパ腫やがんでもびまん性に病変が広がるものもある.疼痛の有無,顔面神経麻痺の有無,経過などの臨床症状も参考にしながら,慎重に診断することが重要である(図3).診断総論図2 正常耳下腺と耳下腺管正常像 Bモード(横断像)耳下腺は舟の帆を逆さにしたような逆三角形の形をし,内部は微細で均質な高エコーを呈する.咬筋の表面で前方に伸びた部分に,耳下腺管(→)が耳下腺横断像で確認される.図3 耳下腺疾患の診断皮下脂肪耳下腺管耳下腺被膜耳下腺咬筋下顎骨乳様突起耳下腺腫脹・腫瘤限局性の変化腫瘍性疾患耳下腺全体の変化(びまん性)びまん性疾患       炎症性疾患(急性耳下腺炎などの感染症, Sjögren症候群などの自己免疫疾患など)  感染症(部分的な炎症, 特殊感染症) 悪性腫瘍(耳下腺がん,悪性リンパ腫)  良性腫瘍(多形腺腫, Warthin腫瘍など) 悪性腫瘍(耳下腺がん,悪性リンパ腫)

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