2093代謝性ミオパチー
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36各論Ⅰ 筋型グリコーゲン代謝異常症・Muscle glycogenoses(筋型糖原病)グリコーゲン/グルコース代謝(glycogenolysis/glycolysis)は,エネルギー産生の重要な役割を担い,またアミノ酸,脂肪酸などとの代謝経路を共有し生体内で大きな役割を果たしている.またエネルギー消費の最も大きな臓器である脳では,食事性あるいは解糖,糖新生などで産生されたグルコースが重要なエネルギー源となっている.グリコーゲンは生体では主に筋,肝臓に貯蔵されているが,腎臓,心筋,脳,脂肪組織でも少量ではあるが貯蔵されていて,合成,分解に関わる代謝系も備わっている.しかしそれらの臓器でのグリコーゲン代謝の役割はまだ十分には解明されていない.食事性に摂取されたグルコースはインスリンの作用で細胞内に取り込まれ,グリコーゲン合成され貯蔵される.一方血糖が下がった場合はグルカゴンの働きにより肝臓でグルコース6-リン酸まで生成され,その後グルコース6-ホスファターゼによりグルコースとして利用される.グリコーゲン/グルコースの代謝経路である解糖経路からは,最終産物のピルビン酸からアセチルCoAへの変化がミトコンドリア内で行われる.アセチルCoAは脂肪代謝,アミノ酸代謝の交点,つまり“metabolic hub”として重要な位置を占めている(図1).この概論では,糖質代謝の基礎と生理的な側面および特徴について概説する.糖質の種類(表1)糖質あるいは炭水化物は (CH2O)nと表現され,加水分解でそれ以上は分解されない糖質単位を単糖と呼び,構成されている炭素数により3炭糖(トリオース)から9炭糖(ノノース)まで存在する.単糖はグリコシド結合によって結合し,二糖類2.グリコーゲン代謝について各論Ⅰ2グリコーゲン代謝について図1 解糖系とmetabolic hubH2OCO2NADH2FADH2ミトコンドリア呼吸鎖グルコースTCAサイクル脂肪酸Metabolic HUB食事G-6-Ppyruvate乳酸アセチルCoAglycogenG-1-Pオキサロ酢酸クエン酸PEP

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