2093代謝性ミオパチー
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各論Ⅰ372.グリコーゲン代謝について(2個の単糖が結合),オリゴ糖類(3~10個の単糖が結合),多糖類(10個以上の単糖が結合)に分類される.この中でも重要な単糖はヘキソース(6炭糖)であるグルコースで,解糖の基本基質でありまた脳の代謝にとって必須の基質である.また同様のヘキソースであるガラクトース,フルクトースも肝臓でグルコースに転換されて利用される.二糖類は単糖が2個グルコシド結合で結合したものであり,それぞれ結合する単糖の種類によりラクトース(乳糖;ガラクトース+グルコース),スクロース(ショ糖;グルコース+フルクトース),マルトース(麦芽糖;グルコース+グルコース)がある.グリコーゲン代謝グリコーゲンは動物性のグルコースポリマーであり,グルコース残基がα1→4結合とα1→6結合により樹枝状につながった形態をしている(図2).グルコース鎖の平均長は13残基程度とされている.グリコーゲンは主に筋肉と肝臓で盛んに合成,代謝が行われ,筋では湿重量の約1~2%,肝では約5%含まれているが,運動量,食事摂取量,飢餓状態などでそれぞれグリコーゲン含量は大きく変動する.グリコーゲン利用の目的は,グルコースの供給と解糖系による代謝過程でのATP産生供給である.筋では筋収縮のためのATP産生,肝では脳,筋などへのグルコース供給を担っている.グルコースは細胞へ取り込まれる際にはグルコーストランスポーター(GLUT)を必要とする.さまざまなGLUTが発現しているが,GLUT1は広く臓器に存在し,GLUT2は主に肝臓に,筋肉にはGLUT4が発現している.グリコーゲンの分解と合成は生体内の必要性に応じて内分泌の関与もしながら複雑に,それぞれお互いに制御しあいながら独自に行われている.なおデンプンは植物性のグルコースポリマーでアミロースとアミロペクチンからなっている.  グリコーゲンの合成(図3,4)グリコーゲン合成には1つの重要なタンパクと合成系の酵素群が関わっている.グリコーゲンの合成にはその開始にグリコゲニン(glycogenin)が開始点となっている.グリコゲニンはautoglyco-sylating proteinで,そのチロシン残基にウリジン2リン酸(UDP)に結合したグルコース(UDPグルコース)からグルコースが付加されおおむね10~20グルコース残基を伸長し,それがプライマーとなって,α1→4結合にはグリコーゲン合成酵素が,分枝するα1→6結合には分枝酵素が作用し,樹枝状のグリコーゲンが生成される.グリコーゲン合成酵素によりα1→4結合のグルコース分子の伸長が11個以上になると,分枝酵素によってその半分を隣にα1→6結合で転移させ,同様な伸長・分枝が継続し,樹枝状に伸びたグリコーゲンが合成される.UDPグルコースはUDPグルコースピロホスホリラーゼにより,グルコース1  グリコーゲンの合成1表1 糖質の種類糖 質特 徴単糖類 グルコース生体の主要なエネルギー源 フルクトース肝臓でグルコースに変換されるか、そのまま代謝される ガラクトース肝臓でグルコースに変換される マンノース糖たんぱくの構成成分2糖類 イソマルトースグルコース+グルコース (α1-6結合) マルトースグルコース+グルコース (α1-4結合) ラクトースグルコース+ガラクトース ラクツロースガラクトース+フルクトース スクロースグルコース+フルクトース多糖類 デンプンアミロース+アミロペクチン:植物 グリコーゲングルコース(α1-6結合+α1-4結合):動物

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