2093代謝性ミオパチー
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各論Ⅰ392.グリコーゲン代謝についてリン酸とUTPから生成される.  グリコーゲン分解(図3,4)グリコーゲンの分解には合成系と同様にα1→4結合とα1→6結合の分解にそれぞれグリコーゲンホスホリラーゼおよび脱分枝酵素がかかわる.ホスホリラーゼはグリコーゲンのα1→4結合を加リン酸分解し,グルコース1-リン酸を遊離する.グルコース1-リン酸はホスホグルコムターゼによりグルコース6-リン酸となり,解糖へ入る.しかし分枝部位であるα1→6結合部位から4グルコース残基まで分解すると,そこからはホスホリラーゼは作用しなくなる.そこに2つの活性部位を持つ脱分枝酵素のうち,α1→4グルカン転移酵素がα1→6結合部位に残った4グルコース残基のうち3残基を近傍のα1→4結合部位に転移させ,残ったα1→6結合のグルコースはα1→6アミログルコシダーゼで分解する.このときはグルコースが分離してくる.その後さらにホスホリラーゼと脱分子酵素が同様に働き,グリコーゲンが分解されていく.  グリコーゲン代謝にかかわる酵素の制御機構(図4)グリコーゲン分解と合成にかかわる酵素であるホスホリラーゼとグリコーゲン合成酵素は,アロステリックに調節を受けている.合成と分解という相反的に働く酵素が同じ細胞内でそれぞれ機能するには,両酵素に対する巧妙な制御機構で成り立っている.また正常グリコーゲンを合成するには,グリコーゲン合成酵素と分枝酵素の活性のバランスが重要である.グリコーゲン分解が生体に必要なときは(肝であればグルコースの供給または筋であればATP供給が必要なとき),ホスホリラーゼが活性化されて,グリコーゲン合成酵素は抑制される.また逆の場合は,グリコーゲン合成系が働き,グルコースをグリコーゲンとして貯蔵する.その際はグリコーゲン合成酵素が活性化される一方,ホスホリラーゼは不活性化される.このように逆の働きをする酵素がその必要性に応じて,活性化,不活性化が互いに相反するように制御されている.この活性化,不活性化には図4に示すように,ホスホリラーゼにはリン酸化された活性型ホスホリラーゼaと,不活性型のbがありそれぞれcAMP依存性プロテインキナーゼ,プロテインフォスファターゼの作用により変換される.一方グリコーゲン合成酵素はリン酸化されると不活性型となり,脱リン化された場合は活性型となることで,ホスホリラーゼとは相反的になっている.グルコース6リン酸,ATP,Ca2+,グルコースなどの細胞内濃度も両酵素に対して活性化,不活性化の調節している.解糖におけるATP産生,グルコース供給とその役割(図5)グリコーゲンは筋肉と肝臓が主な貯蔵庫で,グ  グリコーゲン分解2  グリコーゲン代謝にかかわる酵素の制御3図4 グリコーゲン合成および分解に関わる酵素グリコーゲン合成酵素aグリコーゲン合成酵素bホスホリラーゼaホスホリラーゼキナーゼbホスホリラーゼキナーゼaホスホリラーゼbプロテインホスファターゼプロテインホスファターゼcAMP依存性プロテインキナーゼグリコーゲングルコース1-リン酸UDPグルコースプロテインホスファターゼエピネフリン(肝臓,筋)グルカゴン(肝)cAMP5’AMP

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