2093代謝性ミオパチー
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各論Ⅰ412.グリコーゲン代謝についてキソキナーゼででリン酸化し,グルコース6-リン酸として解糖に送る系がある.細胞へのグルコース移送については,グルコーストランスポーター(GLUT)が関与している.GLUT1は血液・脳関門に発現が見られ,GLUT2は肝細胞,GLUT3は神経細胞,GLUT4は骨格筋,脂肪組織,GLUT5は小腸上皮および尿細管細胞に発現している.解糖に関わる酵素でヘキソキナーゼ,ホスホフルクトキナーゼ,ピルビン酸キナーゼが触媒する反応は,非可逆的反応で,この経路を一方通行に進行させている.糖新生が活性化され,逆向きにグルコース産生に向かうときはこれらの三種類の酵素は活性が抑制され,フルクトースビスフォスファターゼターゼ,グルコース6-フォスファターゼが活性化され,糖新生の方向に解糖系が進行する.解糖と脂肪代謝・アミノ酸代謝解糖で生成されたピルビン酸はアミノ基が転移するとアラニンとなり,また有機酸へも変換する.肝臓では脂肪酸合成にもかかわっている.以上グリコーゲン代謝は複雑な制御機構の中で働く重要なエネルギー産生系であり,この過程での障害は様々な症状を呈することとなる.・ *Roach PJ, et al.: Glycogen and its metabolism:some new developments and old themes. Biochem J 441: 763-787, 2012・ *杉江秀夫:糖質代謝異常:概論.先天代謝異常症候群(第2版).別冊日本臨床 新領域別症候群シリーズ No19.日本臨牀社,pp7-13, 2012・ Graham TE, et al.: Glycogen: an overview of possible regulatory roles of the proteins associated with the granule. Appl Physiol Nutr Metab 34: 488-492, 2009・ Bender DA, et al.: Glycolysis and the oxidation of py-ruvate. Harper’s Illustrated biochemistry. McGraw Hill, pp170-177, 2012・ *Bender DA, et al.: Metabolism of glycogen. Harper’s Illustrated biochemistry. McGraw Hill, pp178-186, 2012杉江秀夫1),杉江陽子2)1)自治医科大学小児科,2)浜松医科大学小児科文献(*重要文献)図6 解糖経路におけるNADとNADH2の共役グリセルアルデヒド3-P乳酸ピルビン酸NADH2NAD1,3-ビスホスホグリセロール-P3-ホスホグリセリン酸2-ホスホグリセリン酸ホスホエノールピルビン酸

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