2135消化器研修ノート
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8DOs1隔離予防策のためのCDCガイドライン 感染予防の基本的な考え方は,米国疾病制御予防センター(Centers for Disease Con-trol and Prevention:CDC)の「隔離予防策のためのCDCガイドライン2007」に集約されている.その基本は,標準予防策(standard precautions:SP)と感染経路別予防策の2段階からなる1).a 標準予防策(SP)……………………… 血液,(健康な皮膚から出た汗以外の)患者のすべての体液・排泄物・傷のある皮膚・粘膜に触れる際には個人防護具(Per-sonal Protective Equipments:PPEs)によりバリアを築き感染予防する.SPは,①手洗い,②手袋装着,③マスク・眼の保護,フェイスシールドの使用,④ガウンの使用,⑤患者のケアに使用した器具の適正使用,⑥環境の消毒と清掃,⑦リネン類の適正処理,⑧血液媒介感染予防策(針刺し切創・血液体液曝露予防策),⑨患者病床配置から構成されている.b 感染経路別予防策…………………… 一部の感染予防策には,SPに加えて空気・飛沫・接触という主要な3つの伝播経路の遮断が必要である.1) 空気予防策 結核などの空気感染で伝播する感染症の予防:①空気感染隔離室での対応(陰圧空調で12回≧時間換気回数で排気時にはHEPAフィルタを通す),②医療従事者はN95タイプの呼吸器防護具を装着,③患者移送時には患者にサージカルマスクを装着.2) 飛沫予防策 インフルエンザなどの飛沫伝播する感染症の予防:①患者配置,②医療従事者が患者に1 m以内に近づく場合はサージカルマスクを装着,③患者移送時は患者にサージカルマスクを装着.3) 接触予防策 多剤耐性菌などの接触伝播する感染症の予防:①個室隔離,②手袋と手洗い,③ガウン装着,④移送は最小限に限定し環境表面や器具の汚染を最小限にする,⑤患者に使用した器具の除染(専用).c 針刺し切創予防策…………………… 血液媒介性ウイルス感染症として,B型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV),後天性免疫不全ウイルス(HIV)が重要である.1) HBVのHBワクチンによる感染予防①HBワクチンを三角筋に筋肉注射する.②ワクチン接種と免疫応答による対応:1クール3回のワクチン接種後に抗HBs抗体価が10 mIU/mLに達しなかった場合,追加接種.化学発光免疫測定法(CLIA)で抗HBs抗体価が100 mIU/mL以上ならば,十分な免疫記憶を獲得.B型肝炎の“発症予防”だけでなく,“感染予防”にも対応するには抗HBs抗体価を10 mIU/mL以上で維持.2) 標準予防策のためのPPEsの装着 検査時はサージカルマスク・ガウン・手袋・フェイスシールドを装着(手袋を装着 内視鏡検査実施時には標準予防策を徹底する. 開放性結核症の患者の検査は空気感染隔離室でN95マスクを装着し対応する. B型肝炎についてはワクチン接種による予防を徹底する.B 研修の概要自身の感染防御戦略2

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