2138養護教諭のための発達障害児の学校生活を支える教育・支援マニュアル
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37① けがの手当て  けがの背景に発達の偏りが存在するか見極める専門力 発達に偏りにある子どもたちへの保健教育や保健指導の方法については,現在もあまり研究が進んでいない状況にある.そのため,発達障害の子どもたちに対しては症状の背景にどのような健康問題があるのか,養護教諭のアセスメント力や知識力,対応技術が不十分である場合が多く,処置の仕方や指導のポイントが適切でなかったり,間違っていたりする場合がある.その原因としては,発達障害の子どもがもつ身体問題の特性に対する理解不足がある.また背景に発達の偏りを理解していたとしても,どのような指導を行えばよいのか,その対応に苦慮しているのが現状である.専門性を高めるためには,まず,発達障害の子どもたちがもつ身体の特質を理解し,特に繰り返し起こるようなけがが起きているときは,背景要因を丁寧に分析することが大切である.日々の記録やその分析を丁寧に行うことによって,背景を見極める感性を磨くことができる.事例から捉える支援のポイントポイント発達障害の身体問題の特性を理解するけがの背景に発達障害に起因した原因がないか,けがの起きた状況を丁寧に分析する救急処置時には皮膚などの過敏性がないか個々の特性を捉え,医薬材料に配慮し救急処置を行うけがが起きた状況などが自分で説明できるように,またけがをしたときの対応スキルを学ぶなど,けがを通じて社会性を育てるけがをした子どもの周囲にいた子どもからの情報収集を必ず行う2.応急処置各論1 イベント別事例1けがの手当て 中学校1年生のAさん(男子)はバスケット部に所属している.たびたび突き指をして保健室に来室していた.部活顧問からはもう少しボールを上手にキャッチできる事 例1

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