2165熱性けいれん診療ガイドライン2015
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各論36 2.熱性けいれん重積状態熱性けいれん重積状態の初期治療薬は何か推奨.けいれん発作が5分以上持続している場合,ジアゼパムまたはミダゾラムの静注を行うか,静注が可能な施設に搬送する.いずれも呼吸抑制には注意をするてんかん重積状態の治療について,熱性けいれんに限った報告は少ないため,てんかんなどほかの原因も含めた小児の発作の初期治療で用いられる第一選択薬について検討した結果を記載する.なお,総論3で述べたようにてんかん重積状態の持続時間の定義は30分よりも短くされる傾向があり,乳幼児においてはまだ十分なデータはないが,発作が5分以上持続している場合には薬物治療の開始を考慮すべきと考えられる.また,けいれん発作の後に,強直した姿勢や体の一部の動き,眼球偏位が続いている場合には,焦点性発作(部分発作)が持続している可能性と発作後の症状の可能性がある1,2)(▶ 4)いずれもレベル.ただし発作時脳波の記録なしで一般診療医が両者を鑑別するのは困難であり,発作が止まっていないと考えられれば抗てんかん薬の投与をすることはやむを得ないと考えられる.第一選択薬で止まらない場合の治療薬については本学会にて作成中の「小児けいれん重積治療ガイドライン」にゆずるとして,本ガイドラインでは取り扱わなかった.ジアゼパム静注前方視的ランダム化比較試験で小児の発作に対するジアゼパム静注とミダゾラム鼻腔投与または筋注,ロラゼパム静注を比較した研究において,ジアゼパム0.2~0.4mg/kg(体重)の静注で54~100%の発作は消失しており,熱性けいれんの報告では92%で発作が消失している3~6)(▶ 2)いずれもレベル.Mahmoudianらは受診時に発作が持続している小児70人においてジアゼパム0.2mg/kg静注かミダゾラム0.2mg/kg鼻腔投与を行い,全例で10分以内に発作は止まり,同等の有効性があると報告している6)(▶ 2)レベル.Chamberlainらは10分以上発作が持続している小児24人にジアゼパム0.3mg/kg(最大10mg)静注かミダゾラCQ2-11グレードA2グレードB解説

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