2165熱性けいれん診療ガイドライン2015
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2.熱性けいれん重積状態37ム0.2mg/kg(最大7mg)筋注を行い,ジアゼパム静注群とミダゾラム筋注群それぞれ1人を除いて発作が消失したとしている4)(▶ 2)レベル.Appletonらは受診時に発作が持続している小児86人にジアゼパム0.3~0.4mg/kg静注(静脈ラインが確保できないときは注腸)かロラゼパム0.05~0.1mg/kg静注(静脈ラインが確保できないときは注腸)を行い,ジアゼパム静注では54%の発作が1回の静注で消失,ロラゼパム静注では70%の発作が1回の静注で消失し,ロラゼパムのほうが有効性は高かったと報告している3)(▶ 2)レベル.Lahatらは10分以上発作が持続している熱性けいれんの小児44人52機会にジアゼパム0.3mg/kg(最大10mg)静注かミダゾラム0.2mg/kg(最大10mg)の鼻腔投与を行い,ジアゼパム静注群26機会中24機会(92%),ミダゾラム鼻腔投与群26機会中23機会(88%)で発作が消失したと報告している5)(▶ 2)レベル.上記の報告において,発作持続以外でジアゼパム静注による呼吸抑制,徐脈などの副作用は認められていない3~6)(▶ 2)いずれもレベル.ミダゾラム静注てんかん重積状態の適応が承認されたミダゾラム静注薬が2014年12月に発売された.小児の発作に対するミダゾラム静注の前方視的ランダム化比較試験は文献検索でみつからなかったため,後方視的な観察研究による報告について述べる.Hayashiらは小児のてんかん重積状態に対する後方視的な観察研究を行い,第一選択でミダゾラムの静注をした70人においては74%の発作が消失したと報告している7)(▶ 4)レベル.吉川らはけいれん重積状態に対してミダゾラムの静注を行った小児の後方視的観察研究を行い,第一選択薬でミダゾラムの静注をした42機会のうち35機会(83%)で発作が消失したと報告している8)(▶ 4)レベル.Hayashiらの報告では10%の機会でミダゾラム静注によると考えられる呼吸抑制7)(▶ 4)レベル,吉川らの報告では89機会中1例で興奮状態,1例で呼吸抑制が認められた8)(▶ 4)レベル. 静注以外の投与法日本においてはジアゼパムの注腸用液剤,ミダゾラムの鼻腔投与,口腔投与は市販されておらず,ミダゾラムの筋注も麻酔前投薬としての承認のみであるため,推奨としては記載しないが,海外からはエビデンスの高い報告が多く,解説を行う.なお,ジアゼパムの固形の坐薬は有効血中濃度に達するのが投与後約30分と報告されており9)(▶ 4)レベル,吸収に時間がかかり液剤と同等には扱えないことに注意していただきたい.小児の発作に対するジアゼパム注腸とミダゾラム口腔投与の前方視的ランダム化比較試験では,両者の有効性や投与から発作が止まるまでの時間には有意差はなかったとの報告10)(▶ 2)レベル,またはミダゾラム口腔投与のほうが有効性が高いとの報告があ

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