2171眼科開業医のための診療・連携ポイント30
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糖尿病網膜症の病診連携は,里親制度! 75Ⅱ紹介するポイント❶網膜出血が増加したとき❷視力が低下したとき❸硝子体出血が起きたとき1網膜出血の数,範囲の拡大,眼圧上昇 網膜出血は,虚血の進行(増殖化)の重要なサインである.国際重症度分類の重症非増殖網膜症の4-2-1のルール(4象限に20個以上の網膜出血)においても,網膜出血の重要性が示されている(図1). 血糖コントロールの不良な患者では,網膜出血が増加し,出血範囲が拡大しているとき,増殖化を強く疑う.また,眼圧が上昇している場合は,血管新生緑内障(図2)の可能性を考え,精査が必要である.2かかりつけ医が気づく視力の異変 視力低下には,眼局所要因(角膜症,白内障,虹彩炎,硝子体出血,黄斑浮腫,網膜剝離,視神経症)に加え,大血管障害としての脳梗塞などと数多くの要因が考えられる.様々な可能性の精査のために紹介する. 血糖コントロール状態だけではなくて,年齢,高血圧の有無なども重要な因子である.また,白内障が進行した場合は,今後眼底検査が不可能になることを考え,手術治療を検討する.図2 虹彩ルベオーシス瞳孔縁の新生血管は散瞳薬を点眼するとみえなくなるので,必ず散瞳前に虹彩と瞳孔縁を拡大して観察する(黄色矢印).図1 4-2-1ルール(AAO国際重症度分類)4:4象限の各20個以上の網膜出血2:2象限以上に静脈の数珠状拡張1:1象限以上に網膜内最小血管異常(IRMA)上記のいずれ➡1年後約50%が早期増殖網膜症.15~45%はハイリスク増殖網膜症網膜出血4静脈の数珠状拡張2IRMA1

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