2171眼科開業医のための診療・連携ポイント30
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78 糖尿病網膜症(DR)殖DRである場合(硝子体出血,血管新生緑内障)はFAを施行せずに汎網膜光凝固(PRP)を行う.計画的にPRPを行う場合は,300~400発程度のレーザー照射を約2~3週間おきに行うことが多いが,すでに硝子体出血を起こしている症例や,血管新生緑内障では緊急にPRPを完成させる必要があることも多く,レーザー治療の回数,治療間隔は病状により様々である.閉塞隅角期で眼圧上昇のある血管新生緑内障では,1~2日でPRPを完成させることもある.通常は点眼麻酔下で行うが,点眼麻酔だけでは疼痛が軽減できない場合には,初回レーザー治療時にそれを判断し,2回目からは,治療前にテノン囊下麻酔注射を行ってからレーザー治療を開始する. 糖尿病黄斑浮腫に対する治療は,現在抗VEGF抗体の硝子体内注射,ケナコルトテノン囊下注射がおもに行われているが,前者は手術室にて,手術と同様の消毒のあとに行い,後者は外来処置室で行う施設が多い.硝子体手術は,約1~2週間程度の入院治療下で行われる.糖尿病患者では,入院中に,血糖だけでなく血圧などの経過観察・治療も行うため,入院治療の意義は大きい.Ⅴかかりつけ医に戻ってからの対処・対応❶生活指導:血糖・血圧の自己管理❷治療直後は1週間,病状安定時期は約3か月程度目安❸硝子体手術直後は感染に,その後は再出血に注意1生活指導の継続(血糖・血圧) 病院での治療が一段落すると,糖尿病患者は専門医での治療が終了し,糖尿病まで治ってしまったと勘違いしてしまうこともあるため,血糖値や血圧の継続的管理が重要であることを指導する.糖尿病手帳,糖尿病眼手帳だけでなく,ときには血圧管理手帳なども眼科で確認しながら,毎日の生活について励ましつつ頑張ってもらうことが,糖尿病患者の通院中断防止に役立つ.2PRP直後は1週間,その後は1か月ごとに経過観察 レーザー治療では,PRPが終了したあと,どのくらいの間隔で経過観察をするべきか,主治医により異なる.しかしPRPの終了直後に,かかりつけ医への通院が再開されるような場合は,黄斑浮腫の出現に注目し通常は治療終了後1週間程度,その後は約1か月に1回ずつの通院とし,経過観察を行う.黄斑浮腫に対する注射治療は,繰り返しが必要になることが多く,すぐにかかりつけ医への通院が再開することは少ない.ある程度黄斑浮腫の状態が安定してから,かかりつけ医への通院再開ということになるため,視力や黄斑部の所見(OCTがあれば検査)について慎重に経過観察する(図7).黄斑浮腫があると黄斑部病変ばかりに気を取られて周辺部の虚血病変を見落とすことがある.網膜症全体の状態に注意をはらう必要がある.図6  頸動脈狭窄患者の頸動脈エコーa:右総頸動脈分岐部に石灰化を伴うプラーク(*).b:同部位のcolor doppler,60%狭窄+.(黄色矢印)a*b

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