2176膠原病・リウマチ・アレルギー研修ノート
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第6章 膠原病・リウマチ・アレルギー疾患を診療する301膠原病・リウマチA換術が考慮される2).除痛効果,長期耐用性に優れた手術であるが,関節破壊の進行を放置し高度の関節不安定性,内外反変形,骨欠損,拘縮が生じた膝関節では習熟した手術手技が求められインプラントも表面置換型では対応できないケースも多々ある.これらのケースでは再建関節機能,長期耐用性の点で適切なタイミングで施行された人工膝関節置換術に比べ劣ることが多い.関節リウマチでは膝蓋骨置換も勧められる.3) 足部 足部の関節罹患は頻度も高く手術対象となることが多い.患者が足部の疼痛,変形を訴えているときは必ず履物を脱がせ,十分に診察することが肝要である.また周辺の多関節破壊が関与しているケースが多く,疼痛の原因,変形の病態をよく理解して手術計画を考えることが必要である.前足部,中足部,後足部に大別される. 足底装具など保存療法に抵抗する場合,手術を考慮する.前足部変形による有痛性胼胝に対しては中足骨頭が脱臼して足底に突出して生じているため皮膚科での処置ではなく整形外科的加療の適応であることを知っておかねばならない.高度な変形を放置すれば局所の皮膚障害などが生じ潰瘍や感染を引き起こすため手術のタイミングを的確に判断するべきである.第2~5足趾前足部変形に対しては以前より中足骨頭切除術,切除関節形成術が施行され,良好な成績が報告されているが,近年,tight control下での中足骨短縮骨切り術と関節温存(関節形成)術も広く施行されるようになってきた.外反母趾変形が認められるケースでは関節破壊の程度により骨性の矯正および関節形成術や高度破壊例ではSwanson人工関節置換術を考慮する. 中足部は画像上関節破壊が認められ疼痛が持続する場合に関節固定術を考慮する.関節破壊の進行が著しい場合,距骨が前方2) 膝関節 膝関節は比較的頻度の高い罹患関節であり,炎症滑膜の量もほかの関節に比べて多いことから,薬物療法効果にも影響することが多い.また滑膜炎症が持続すると関節破壊が進行するため,保存療法に抵抗する滑膜炎症に対しては滑膜切除術が考慮される.鏡視下で施行されることが多い.関節軟骨損傷が生じる前に施行されると高い手術効果が得られる.一方,関節破壊が生じ疼痛,歩行障害が生じた場合は人工関節置図2 手指伸筋腱断裂(カラー口絵No.17参照)

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