2189デジタル脳波の記録・判読の手引き
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88852第2部 指針に基づいた実例提示いと記載されている2)が,デジタル脳波計では記録設定と同じ最大の高周波フィルタに設定することに相当する.筋電図の雑音が多いためにさらに高周波フィルタを下げると,脳波の速波部分と,筋電図や交流信号などのアーチファクトの鑑別がむずかしくなる.表示感度は成人の場合は10μV / mmを標準として,必要に応じて増減する.(第1部 1-3.デジタル脳波計のフィルタ構成とフィルタ条件の選択:ベーシック(p.12),1-4.記録の最中の注意点:ベーシック 3)低域遮断フィルタ(p.16),4)高域遮断フィルタ(p.17),5)表示感度(p.17)).[場面5] 患者が脳波検査室に来たら,技師は,患者から直接必要な情報を収集する.一般的解説 検査の際に患者に確認する情報としては,最終食事の時刻,内服薬,特に前夜の睡眠薬内服(ベンゾジアゼピン系薬剤は速波の振幅や出現頻度に影響を与えるため)などがあげられる1).なお,その後の電極装着時には,頭蓋骨の欠損や手術創の有無はbreach rhythm(ブリーチリズム)の出現や部分的な速波の振幅増高など脳波に影響を与えるため,注意をする.またその旨を検査報告書に記載する必要がある.[場面6] 患者に上記の必要事項を聞いたあとに,電極を装着し,インピーダンスチェックを行い,脳波記録を開始する*3.*3 文献2では,インピーダンス10kΩ以下.デジタル脳波ではデータの二次解析が可能となるにはできれば5kΩ以下が望まれる2). まず矩形波による標準較正波形の記録,ついでシステムリファレンスを基準とした誘導(=システムリファレンス誘導)で記録を行う(図1-1).システムリファレンス誘導は,アナログ脳波計でのbiological calibration(=記録開始前の矩形波での較正記録後に,すべてのチャンネルにFp1-O2等の脳波信号を入力して,生体信号での増幅器の相同性を確認すること)に相当して,実記録のモンタージュで各記録電極レベルでの記録データの欠損が本当にないかを確認する(第1部 1-4.記録の最中の注意点:ベーシック 5)較正記録(p.15)).デジタル脳波の解説 脳波計の矩形波による較正波形は,アナログFp1-SRFp2-SRF3-SRF4-SRC3-SRC4-SRP3-SRP4-SRO1-SRO2-SRF7-SRF8-SRT3-SRT4-SRT5-SRT6-SRFz-SRCz-SRPz-SRA1-SRA2-SRECG50μV1sec図1-1 システムリファレンス誘導(第1部 図1-2再掲)

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