2191基礎からわかる女性内分泌
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63ホルモンの基礎知識第2章 エストロゲンは,エストロゲン受容体に結合してホルモン作用を示す化合物の総称である.生体内で生合成される天然物のほか,化学反応により人工的に合成されたものが多数存在する(図1).エストロゲンには,骨格にステロイド環をもつステロイド系化合物ともたない非ステロイド系化合物とがある. ヒトのエストロゲンは炭素数が18のステロイドで,A環は3位に水酸基を有する芳香環である.水酸基数が1つのエストロン(E1),2つのエストラジオール(E2),3つのエストリオール(E3)などがあるが,エストロゲンとしての生物学的作用はエストラジオールが最も強い.エストロンの作用は,生体内では主としてエストロンから転換されたエストラジオールの作用による.ウマでは,B環にも二重結合をもつエストロゲン(エクイリン)が合成される.牝馬尿を原料とするエストロゲン製剤(プレマリン®)にはエクイリンが含まれており,ヒトではエストロンを経てエストラジオールに転換され作用を示す. 植物では,ステロイド構造をもたないフラボ構造第2章 ホルモンの基礎知識エストロゲンの構造と生合成生水真紀夫13 図1 エストロゲンの構造StilbeneHHHmestranolH3COOHCHH3CHOHHHestradiol benzoateOOH3CHOOHHestradiol valerateHOH3CHHHestrone sulfateNaO3SOOH3CHHequilin sulfateNaO3SOOH3CHHOH17α−dyhydroequilin sulfateNaO3SOH3CH結合型エストロゲンエステル化エストロゲンエチニルエストロゲンフィトエストロゲンスチルベン系HHHethynylestradiolHOOHCHH3CgenisteinHOOHOHOOdiethylstilbesterolclomifeneresveratrolHOOHdaidzeinHOOHOOequolHOOHOOHHOOHCIONHHHestrone(E1)HOOH3CHHH17β−estradiol(E2)HOOHH3CHHHestriol(E3)HOOHOHH3C

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