2204看取りの医療 改訂第2版
10/22

8Ⅰ 総 論 厚生労働省のガイドラインでは,とくに患者の意思確認ができない場合には,次のような手順により,医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要があります. ①家族が患者の意思を推定できる場合には,その推定意思を尊重し,患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする.②家族が患者の意思を推定できない場合には,患者にとって何が最善であるか家族と十分に話し合い,患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする.③家族がいない場合及び家族が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には,患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする.3)侵襲的治療介入の制限・差控え・中止を考慮する病態とは? それでは,医療の現場で侵襲的治療介入の制限・差控え・中止を考慮する状態とはどのような病態でしょうか? 2004年の英国小児科学会によるガイドラインでは,治療の差し控え・中止が考慮されうる5つの病態として,①脳死,②植物状態,③回復可能性がない状態,④治療目標がない状態,⑤これ以上治療が耐えられない状態の5つの状態が挙げられています22).これらの状態に対して,本人の最善の利益のためにどこまで侵襲的治療介入をやり続けるのがよいのか,現在問われています. 一方新生児医療の現場において「倫理的・医学的意思決定」の対象と考えられる疾患群は,(1)無脳症,(2)ポッター症候群,(3)D(13)‒トリソミー,E(18)‒トリソミー,(4)重度の頭蓋内出血,(5)重度の低酸素性虚血性脳症,(6)在胎23週未満の超早産児などです23). こうした予後不良な児に果たしてどこまで侵襲的治療介入を加えるのが倫理的に許されるのかという視点も必要であり,これらの疾患群は,「こどもの最善の利益」を中心に法的代理図2●倫理的・医学的意思決定のプロセスと対応(通常の医療行為の範疇)▶人生の最終段階における医療とケアの話し合いのプロセス患者の意思が確認できる患者と医療従事者とが十分に話し合い,患者が意思決定を行う十分な情報の提供家族が患者の意思を推定できる患者の意思が確認できない・家族が患者の 意思を推定できない・家族がいない患者の推定意思を尊重し,患者にとって最善の治療方針をとる患者にとって最善の治療方針を,医療・ケアチームで慎重に判断(※家族がいる場合は十分に話し合う)人生の最終段階における医療とケアの方針決定・病態などにより医療内容の決定 が困難・家族の中で意思がまとまらない などの場合 →複数の専門家で構成  する委員会を設置し、  治療方針等の検討や助言

元のページ 

page 10

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です