2204看取りの医療 改訂第2版
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3 小児緩和ケア101Ⅳ緩和ケアと看取りの医療あれば20 mg/kg/回または1,000 mg/回まで増量考慮.服薬が困難な子どもにはアセトアミノフェンの注射薬も考慮. ② 中等度以上の疼痛の場合:強力オピオイドで対応し,痛みに応じ増量します.軽度の疼痛の際に用いていたNSAIDs(Non‒Steroidal Anti‒Inflammatory Drugs)は可能ならば継続します. 【強力オピオイド】 ◎モ ルヒネ 0.02~0.03 mg/kg/h オピオイドの代表,鎮静作用もあります.もっとも一般的に用いられますが,便秘の副作用を認める場合がほとんどです. ◎フ ェンタニル 0.5~1μg/kg/h 注射薬,貼付剤,頬粘膜吸収製剤,舌下錠,キャンディ錠等の製剤があります.吐き気,便秘の副作用は他の2剤に比較して軽度です. ◎オ キシコドン 0.01~0.03 mg/kg/h 活性代謝産物がほとんど生じないために,腎不全の場合でも使用しやすいです.(2)不穏への対応 年長児ではメジャートランキライザーとよばれる,ドパミンD2受容体を遮断することにより作用薬剤が用いられますが,乳幼児では下記のような副反応があり,使用経験は限られます.乳幼児ではむしろ抗ヒスタミン薬や睡眠導入剤や抑肝散などの漢方薬が用いられます.時には,次の項で述べる抗けいれん薬を鎮静作用を期待して用いられることもあります. ◎ハロペリドール 0.015 mg/kg(~0.03 mg/kg)8~12h毎 ◎ リスペリドン 5歳未満0.1~0.2 mg分1,5~18歳0.1~0.5 mg分1,最大1 mg/日(<20 kg),2.5 mg/日(20~45 kg)3.0 mg/日(45 kg<) 副反応は悪性症候群,錐体外路症状,遅発性ジスキネジア,口渇,イレウスです.(3)けいれんへの対応 ◎フ ェノバール 4~6 mg/kg/日 抗けいれん作用に加え,鎮静作用もあります.座薬製剤や注射薬もあり経口摂取が困難な場合にも使用可能です. ◎カ ルバマゼピン 4~10 mg/kg/日 抗けいれん作用に加え,感情調整作用もあります.おもに部分発作に使用されます. この他に,経口薬ではバルプロ酸Naやレベチラセタムも一般的によく使用されます.全般発作が急に生じた場合にはジアゼパムやミダゾラムを静脈注射で投与,鎮痙を図ることが一般的ですが,乳幼児では呼吸抑制を生ずることが多く注意が必要です.部分発作を頻回に起こす場合にはアレビアチンの注射を用いる場合もあります.2)患児および家族の心理的支援 コミュニケーション・スキル(communication skill)は小児のホスピスケアにおいて医療スタッフに要求されるもっとも重要な技能のひとつです.なぜなら子どもや家族は,他者との

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