2204看取りの医療 改訂第2版
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3 小児緩和ケア105Ⅳ緩和ケアと看取りの医療 また,小児固形がんの別の家族は,化学療法などの積極的な治療が困難な段階から当院を利用,平日は姉の幼稚園や父親の仕事の関係で地元にいながら,週末だけを利用する形でした.永眠される前々日には,幼稚園の先生が友だちと一緒に作成した千羽鶴を持って訪れ,ひとしきり遊び,前日には,訪れた祖母とゆっくり遊び,部屋の中にあるお風呂に入浴するなど,ぎりぎりまで周囲との関係性や連続性を維持しておられました. 一般の病院においては,多くの母親は,悪性疾患をもつ子どもの傍らにいながらも,他のきょうだいたちや父親と一緒に過ごせない境遇に対し大変な苦痛を感じておられます.それが治癒の見込みのある期間であればまだしも,治癒する見込みが厳しく,治療の限られる最期の段階(end‒of‒life stage)においては,母親の苦悩は想像を超えた深さです.そういった家族が大切な時間を一緒に過ごすというという点においては,こどもホスピスのもつ可能性は大きいといえます.最近では,小児がんを含む難病の急性期の治療に携わっている多くの高次医療機関が,家族に配慮した療養環境を改善しています.こどもホスピスは,そういった高次医療機関との連続性を維持するなかで,なお患者や家族が求めるものを提供できる選択肢として存在していくべきであると考えられます. 小児緩和ケアという分野はいまでは一般的となり,病院内に小児緩和ケアチームが配置されている小児病院や大学病院も増えてきています.しかしながらその一方で,一般の病院においては,まだまだなじみが薄く,自分たちとは関係ないと考えておられる小児科医も多い現状があります. 以下に,小児緩和ケアのいくつかの原則を挙げました1).このなかでも示されていますが,小児緩和ケアにおいて重要で基本的な技能は,一般小児科でも不可欠な技能です.また,包括的な小児緩和ケアのガイドラインでは,一般の小児科医が小児緩和ケアについて知ることの重要性が述べられています.そして普遍的要素として,早期から各種連携施設が患者家族を中心に連携することの重要性に言及されています.さらに,最後に文化的問題について触れられていますが,欧米とは異なる日本独自の文化と歴史的背景のなかで,日本の現状にあった小児緩和ケアの構築が必要なことがわかります.すなわち,こどもホスピスという新たな形態は,決して単独では存在し得ず,患者およびその家族が生きてきた地域コミュニティおよび小児難病および悪性腫瘍をとりまく既存の施設やいままで住んできたコミュニティとの連携のなかで,初めて最大の効果を発揮することがわかるのです.4 小児緩和ケアの原則A 不可欠な技能 コミュニケーション,意志決定の援助,治療や病気に由来する混乱への対処,症状コントロール,患者および家族に対する精神的支援,死にゆく患者のケア.B 包括的小児緩和ケアのガイドライン

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