2209整形外科研修ノート
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2421概念 変形性関節症(OA)は日常診療で頻繁に遭遇する中高年のcommon diseaseである.一般的には,OAは関節軟骨の変性・破壊とそれに伴う関節辺縁や軟骨下骨における増殖性変化を認める退行性疾患とされる(図1).実際の診断は,病歴,症状と画像検査,血液検査などをあわせて総合的に行う.わが国では超高齢化社会に伴って,本疾患の有病率は今後ますます増加してくる.2頻度 OAは男性よりも女性に多く,年齢とともに有病率は増加するが,各関節により,性別,年齢による発生頻度は異なる.特に,膝関節は罹患が多い関節で,年齢とともに有病率は増加し,60歳代では男性30%,女性50%,70歳以上では,男性50%,女性70%にのぼる.一次性が多く,その男女比はほぼ1:3である.変形性股関節症の発症年齢は平均40~50歳で,有病率は1.0~4.3%で,男性は0~2.0%,女性は2.0~7.5%と女性で多く,90%が先天性股関節脱臼の遺残変形や寛骨臼形成不全から発症する二次性変形性股関節症であるとされる.しかしこれに対し欧米ではほとんどが一次性である.遠位指節間(DIP)関節のOAはHeberden結節といわれ,40歳以上でみられ,男女比は1:10で圧倒的に女性に多い.近位指節間(PIP)関節では,Bouchard結節といわれる(図2).3病態 OAは病因によって一次性と二次性に分類される(表1).一次性は,年齢や肥満,遺伝,生活環境などの要因が考えられていA 運動器疾患関節疾患 1)変形性関節症1図1 変形性膝関節症の関節内所見大腿骨および脛骨内側顆に軟骨の象牙化および軟骨欠損を認める.骨棘形成も認める.図2 Heberden結節,Bouchard結節手指DIP関節の骨性隆起を認める.PIP関節にも変形,骨性隆起を一部認める. 変形性関節症は,日常診療で頻繁に遭遇する中高年のcommon diseaseである. 診断は,病歴,症状と単純X線撮影,採血などの検査も含め総合的に行う. 常に関節リウマチ,化膿性関節炎など他疾患との鑑別に注意を払う.DOs

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