2212診療実践小児神経科
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Pプラダーrader-・Wウィリーilli症候群,Wウィリアムズilliams症候群,Aアンジェルマンngelman症候群,22q11.2欠失症候群は,特徴的な症状を理解するとFISH検査での診断確定ができる機会が増加する(表1).また,新生児期の呼吸障害や摂食障害があり,全般的発達遅延を示し,三角形の口をしている場合は,母親の顔にも注意し,母親の叩打性ミオトニー,把握性ミオトニーを検査する(先天性筋硬直性ジストロフィー). スクリーニング検査として,血液一般,検尿,肝機能,腎機能,甲状腺機能,尿酸,CK,血清銅,乳酸,ピルビン酸,CTを行う.スクリーニング検査で異常がない場合,乳児期の中等度~重度の全般的発達遅延は知的発達予後が不良であり,早期に入院精査して,眼科,耳鼻科などの精査,MRI,脳波,電気生理学的検査(SSEP,ABR,NCV),尿・血液での有機酸やアミノ酸のスクリーニングなどを行うことが望ましい.診断,予後や合併症を告知するとともに,外来での育児支援・医療的ケア支援,療育施設への紹介を行う.2) 新生児期〜乳児早期に身体的・神経学的異常を伴う疾患 身体的所見で肝脾腫,頭囲の異常や特異な神経学的異常を伴い,発達全体が停止・退行していく可能性のある疾患を表2に示した.表には記載していないが,点頭てんかんなどの脳波の高度な異常,けいれんを繰り返すことで,発達の停止や退行が起こることもある. 進行性の疾患が疑われる場合は,身体的診察,神経学的診察,スクリーニング検査だけでなく,診断確定を目的として入院精査とする.入院精査で,特定の酵素活性の検査,遺伝子検査を考慮する.通常の精査で診断がつかない場合は,小児神経学に関するセミナーや,小児神経学会地方会などで,他施設の医師からの意見を求めることが望ましい. 診断確定後,可能な治療を行い,起こりうる予後や合併症を告知するとともに,外来での育児支援,在宅医療支援,療育施設への紹介を行う.3) 運動発達の遅れ(motor delay) 乳児期からの運動発達の遅れの場合,筋緊張は低下し,フロッピーインファントを示すことが多い.運動のみの遅れで,視線はよく合い,よく笑うようなFISH法の適応となる所見と疾患名おもな症状疾患全般的発達遅延,心雑音,厚い唇,歯芽低形成,高カルシウム血症Williams症候群全般的発達遅延,笑った大きい口,舌を出している,色白,けいれん, 脳波:高振幅2~3 Hz棘徐波Angelman症候群全般的発達遅延,乳児期のチューブ栄養,筋緊張低下,色白,泣かないPrader-Willi症候群言語発達遅延,鼻声,心雑音,二分口蓋垂(粘膜下口蓋裂),口角下制 筋低形成,低カルシウム血症22q11.2欠失症候群全般的発達遅延,けいれん,広いおでこ,薄い上唇,脳回形成障害Miller-Dieker症候群表14

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