2212診療実践小児神経科
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 顔貌異常は,多くの先天異常や染色体異常の診断の決め手となるが,習熟するには長年の経験が必要である.特異顔貌である場合は臨床遺伝専門医へのコンサルトが診断への近道である. 先天性の顔面非対称で最も多いのは口角下制筋欠損・低形成である.泣いた顔(表4)4顔面の非対称・筋力低下が診断に重要なおもな神経疾患先天性口角下制筋欠損・低形成*泣いたときに患側の口角が下がらない,22q11.2欠失症候群顔面神経麻痺(片側)分娩外傷*の他,Goldenhar症候群,Poland奇形,22q11.2欠失症候群顔面神経麻痺(両側)Möbius症候群*,Chiari奇形顔面筋の筋力低下先天性筋疾患(筋強直性ジストロフィー,ミオパチー,筋ジストロフィー)先天性筋無力症候群,先天性両側性傍Sシルヴィウスylvius裂症候群(con-genital bilateral perisylvius syndrome)*後天性顔面神経麻痺Bell麻痺*,Hunt症候群*,Miller-Fisher症候群,Guillain-Barré症候群神経筋接合部異常重症筋無力症(眼筋型)*筋疾患顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー,筋強直性ジストロフィー腫瘍脳腫瘍*その他反復性顔面神経麻痺(Melkersson-Rosenthal症候群)*,頭蓋内圧亢進*:顔面の非対称・筋力低下が単独で生じるもの.表4口角下制筋欠損(A)と顔面神経麻痺(B)口角下制筋欠損・低形成(A)では,泣いたときに左口角が下がらない(➡).顔面神経麻痺(B)では,右口角の左右差(右が下がっている;⇨)の他に右鼻唇溝が浅く(➡),右眼の閉眼が不完全(➡)である.図3AB46

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