2213結節性硬化症の診断と治療最前線
7/10

91F 腎症状① ―血管筋脂肪腫第章3結節性硬化症の臨床症状検査・評価2腎のモニタリング TSC患者において両側腎に病変を認めない場合,もしくはごく小さな病変の場合,1~2年に1回の画像検査が推奨される.一方,明らかな病変を有する場合は半年~1年に1回の画像検査が推奨される.腎のモニタリングは小児期から開始し,成人になっても長期にかつ継続的に施行すべきである. TSC患者においては年齢とともにAML,腎囊胞等の腎病変が出現し増大する.これらをモニタリングするために定期的な画像検査が必要である8).放射線被ばくがなく,簡便な超音波検査が推奨される.加えて,詳細な評価のためにMRIやCTが行われる. Ewaltらは,TSC患者において思春期以前は2~3年に1回の画像検査でよいが,思春期以降はAMLが急速に増大することがあるため,年に1回の画像検査施行を推奨している9).Castagnettiら10)は,41例のTSC症例に対し腎病変の有無について検討している.その結果,7歳以下で19%,8~16歳で33%,17歳以上で62%に腎病変を認めたため,小児期からの腎のモニタリングを推奨している.また腎病変が増大する場合,半年~1年に1回の画像検査をすべきとしている10). 一方,成人期以降はAMLの増大速度は低下する.しかし,成人ではAML破裂の危険が高まるaこと,慢性的に腎機能が低下すること,RCCの発生頻度が高まることより,成人期以降も長期にわたる腎のモニタリングが必要である.腎機能評価 TSC患者においては,少なくとも年に1回血液検査を行い腎機能を評価する11).腎機能は血清クレアチニンやeGFRで評価するが,血清シスタチンCも有用である12).加えて,血圧も測定し高血圧の有無を評価する.経過観察中に腎機能障害や高血圧を認めた場合,腎臓内科医と連携し診療するのが望ましい.画像検査 AMLは主要構成成分別にclassic angiomyoli-poma(通常型AML),angiomyolipoma with mini-mal fat(脂肪成分の乏しいAML),epithelioid an-giomyolipoma(類上皮型AML)の3群に分類される.本項ではTSC症例のなかで最も高頻度に認められる通常型AMLの画像所見について解説する.1)超音波 AMLは脂肪成分を反映して,正常腎に比べて内部が均一な高エコー像を示す.AMLと正常腎の境界は明瞭で,腫瘍後方に増強エコーを認めることがある(図3).しかし5 cm以上の大きなAMLでは,必ずしも高エコー像として描出されない場合もあり注意が必要である.bc図1 両側性AMLのCT冠状断所見両側腎に巨大なAMLを認める.図2 出血時のCT所見左AMLから出血し,巨大な血腫を形成している.血腫内に造影剤を認める.

元のページ 

page 7

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です