2216EBウイルス関連胃癌
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458 EBウイルス関連胃癌の臨床像と上部消化管疾患 EBV関連胃癌の粘液形質に関しては,筆者らの自験例では,半数が胃型主体であり腸型は少数であった20).Baruaらは,EBV関連胃癌では,MUC2,CD10の発現はなく,大部分が粘液なしか胃型であったと報告している22).またHiranoらも同様に,EBV陽性の胃癌35例とEBV陰性の胃癌75例とで検討し,EBV陽性の胃癌では,胃型が25.9%,胃腸型2.9%,腸型8.6%,null(粘液なし)62.9%であり,nullが有意に多かったとしている.また彼らはさらに,EBV陽性の胃癌ではCdx2とMUC2の発現が有意に低く,EBV陽性胃癌では,時に胃型形質の発現をみるも腸型形質マーカーの発現は低いとしている23).さらにその後,Uozakiらは,3つの転写因子(SOX2,CDX2,hepatocyte nuclear factor 4 alpha—promoter 1)と粘液形質によってEBV関連胃癌を含む胃癌を検討し,EBV関連胃癌は転写因子による分類と粘液形質による分類の双方において特徴的なグループであったとしている.彼らの報告においても,粘液形質では粘液なしと胃型が大部分を占めている24). 実際のヒト胃粘膜の局所においてEBVの胃上EBV関連胃癌の粘液形質図5 症例5:60歳代男性,EBV関連0Ⅱa型早期胃癌症例 a ) 上部消化管内視鏡検査では,胃体中部大弯の後壁寄りに,0Ⅱa型病変がみられる.EUSでは,腫瘍深部の第3層(粘膜下層に相当)に,一見濾胞性リンパ腫様の低エコー腫瘤がみられる. b ) 腫瘍の表層部は分化型で胃型粘液(human gastric mucin)を有しており,深部で分化度の低下を認め著明なリンパ球浸潤を伴う未分化型の腺癌(CLS)の組織型を呈していた.〔文献20より改変引用〕カラー口絵6参照a低エコー腫瘤HGMCLS粘膜下層浸潤に伴う分化度の低下b分化型EBER1EBER1 未分化型CLSの部分

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