2222ナースのためのかんたん脳・脊髄画像の見かた・読みかた
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MRIの簡単な原理と注意点プロトンについて プロトンは本来陽子のことである.原子核を構成するものに,陽子と中性子があり,陽子はすべての原子核に含まれている.原子番号(元素の原子核に存在する陽子の個数)1番の水素原子は陽子1個(中性子がない)と電子1個で構成される.つまり,水素原子核は陽子=プロトンそのものである.MRIでは水素原子核が重要な役割を果たすため,プロトンというと,水素原子核を指す.簡単な原理 プロトンは,個々に回転運動をしていて微弱な磁場を発生しているが,それぞれまちまちな方向を向いており全体では打ち消しあっている.そこに,強力な静磁場をかけるとプロトンの回転運動の向きがそろう.この状態で電磁波を当てると,回転運動の向きが傾き,電磁波を止めると,平衡状態に戻る(緩和現象).静磁場の方向に対して縦方向の緩和がT1,横方向の緩和がT2で,緩和の速度はプロトンの状態や環境によって異なるので,この電磁波をとらえて画像にしている.進化する撮像方法 単純な断面の情報を得るだけではなく,様々な情報が得られるように日々進化している.MRA(MRアンギオグラフィ)による血管画像はもちろん,MRP(MRパーフュージョン)による脳血流測定,MRS(MRスペクトロスコピー)によって細胞の代謝活動を調べることも可能になっている.また,他の機器と画像を融合させて表示することも容易である.注意点 原理で説明したとおり,高磁場と電磁波に曝されることになる. 金属製品を室内に持ち込むことは禁忌である.明らかな金属製品と思われないものの中に,微量の金属が含有されていて,電磁波に曝されて発熱することがあるので注意が必要である.施設ごとにチェックリストを作成し,複数回のチェックを行う習慣をつけることが必要である.10

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