2228小児急性脳症診療ガイドライン2016
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46全身管理と脳低温・平温療法2急性脳症の全身管理推奨1.中等症~重症の急性脳症に対しては,全身管理を行うための適切なモニター装置を使用し,全身状態をできうる限り改善・維持するための支持療法を行う1) PALS2010に準拠した初期蘇生2) 三次救急医療施設ないしそれに準ずる施設への搬送3) 必要な場合,集中治療室(ICU)への入室4) 呼吸,循環,中枢神経,体温,血糖・電解質,栄養を含む全身管理脳梁膨大部脳症(MERS)などの軽症例を除く中等症~重症の急性脳症の患者においては,タイプにかかわらず,全身状態をできうる限り改善しかつ維持するための支持療法が全身管理の基盤である.PALS2010a)に準拠して初期蘇生を行った後,中等症~重症の急性脳症が疑われたら緊密な連携を行いつつ三次救急医療施設ないしそれに準ずる施設への適切な搬送を考慮する1, 2).搬送の際は,蘇生・全身管理に精通した医療者の同乗を考慮する.急性脳症のタイプや重症度に応じた全身管理が行われることが推奨され,全身管理には呼吸管理,循環管理,中枢神経管理,体温管理,血糖・電解質管理,栄養管理が含まれる.呼吸管理呼吸器管理のモニター装置:パルスオキシメトリーと,PaCO2モニターないし呼気終末CO2モニター.意識障害時では,誤嚥・無呼吸などにより偶発する二次性脳損傷を回避するため,GCS 8以下,JCS 30以上では気管挿管により気道確保して呼吸管理を行うa, b).酸素飽和度94%以上に安定する状態を目標とするが,過剰な高酸素血症による脳障害への影響を否定できないため,動脈酸素分圧をモニターしながら,適切な酸素濃度投与と人工呼吸器の設定を行う.後述するような治療抵抗性を示す脳圧亢進に対する治療として過換気治療を第3章推奨グレードA解説

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