2228小児急性脳症診療ガイドライン2016
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92けいれん重積を伴う急性脳症1けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)の診断と治療推奨1.けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)は日本の小児急性脳症で最も高頻度(約30%)である2.診断は二相性の臨床像と特徴的な画像所見による3.治療は支持療法を基盤とする4.現時点でエビデンスのある特異的治療・特殊治療は存在しないけいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)は,日本で1990年代後半から認識されはじめた新しい脳症症候群である.本症は二相性けいれんと遅発性拡散能低下を呈する急性脳症(AESD),またはけいれん重積型急性脳症(AEFCSE)として報告されたが,2015年に「けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)」として医療費助成対象の指定難病に認定a)されたこともあり,本名称で記載する.急性脳症の全国実態調査(2007年4月~2010年3月の3年間)1, 2)によると,AESDは日本の小児急性脳症のうち29%と最も頻度が高く,平均1.7歳(中央値1歳,男児41%),年間100~200名の発症が想定される.病態としてはサイトカインストームを主体とする急性壊死性脳症(ANE),hemorrhagic shock and encepha-lopathy症候群(HSES)とは異なり,興奮毒性による遅発性神経細胞死3, 4)が想定されている.診 断■1 診断基準a)臨床像①小児で,感染症の有熱期に発症する.頭部外傷など他の誘因に基づく病態,他の脳症症候群,脳炎は除外する.②発熱当日または翌日にけいれん(early seizure,多くはけいれん重積)で発症する.③3~7病日にけいれん(late seizure,多くは部分発作の群発)の再発,ないし意識障害の第6章推奨グレード該当せずMRI検査の推奨グレードB推奨グレードB推奨グレードなし解説

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