2235筋強直性ジストロフィー 改訂第2版
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23第4章 筋肉だけの病気ではないし,嚥下(飲み込むこと)の問題(次の項目を参照)により食物が「間違った道に行ってしまい」胸に入ってしまうことがあれば,さらにひどいことになります。もし,あなたが筋強直性ジストロフィーをおもちで胸部感染症になれば,呼吸筋の機能と嚥下の問題の可能性の両方について詳しく調べるべきで,そのためには特殊な検査が必要になるかもしれません。 呼吸筋の筋力低下の結果起こりうる2番目の問題は,血液の中の酸素のレベルが低下することで,これは特に夜間にあらわれ,そのために眠気や頭痛が起こります。これもまた,注意深い検査が必要な状態です。心電図のときと同様に,とても簡単な呼吸の検査を定期的に行うだけで,ひょっとしたら近い将来問題が起こるかもしれないことが示されますし,一方,結果が正常であればそういうことが起こりそうもないことがわかります。 多くの筋強直性ジストロフィーの患者は,顎や舌がときどきこわばり,そのために噛んだり飲み込んだりすることが難しいことに気付いています。また,ときどき顎は「本来でない場所にきてしまう」(訳注:顎関節脱臼といいます)ことがありえますが,たいていは自分で戻すことができます。この噛むときのこわばりは,これらの筋肉の筋強直によるものですが,これは嚥下の「不随意」の部分,つまり食物が口からさらに奥のほうに移動し食道を下降して胃に達するまでにおいて,あらわれる問題ほど重要ではありません。 ここでは,「不随意」あるいは「平滑」筋が問題の過程に関与しており,筋強直性ジストロフィーにおいて起こりうるように,いったんそれが障害されると,食べ物や液体がある場所にひっかかったり,胃ではなく肺のほうへいく管に入ってしまったりするかもしれません。これは,胸部感染症を引き起こす可能性があります(前項を参照)。しかし,このようなことがあると患者は食べたり飲んだりするときに咳をしたりゼロゼロ,ブツブツという音を立てるかもしれません。また,食物がひっかかったように思われ,何か液体を飲むことで洗い落とさなければならないかもしれません。もし,嚥下の問題が著しければ,特殊なX線検査で詳しく調べなければならないでしょう(訳注:嚥下造影検査といいます)。また,言語嚥下療法士(訳注:日本では言語聴覚士がその仕事をしています)の助言により助けが得られる可能性があります。これをどのように管理しようとしたらよいかについては第10章に示され嚥下の問題D

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