2235筋強直性ジストロフィー 改訂第2版
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75第10章 現在での対処と治療の薬物と同様に毒性があることがあるのを忘れないでください。キツネノテブクロ(ジギタリス)やイヌホウズキ(ベラドンナ)がいい例です。 食事はすでに3章で,過度の体重増加(肥満)について述べました。栄養素が特別に筋力を増強する証拠はありません。栄養に全般的に富む食事は適当ではあるのですが,筋肉がつくことを期待して特別な食品にお金をかけても,まず何にもなりません。 運動については尋ねられることが多いのですが,これまでにも述べました。だいたい健康で動けるようにしていることは確かに大切です。けれども長距離を走るとか,バーベルを上げるとか,激しい運動をするのは,まず害はあっても益はありません(ただし,この点については客観的な証拠はほとんどないといわざるをえないのですが)。水泳は,水の中では体が軽くなるのでよいことは多くの人が気付いています。体重を減らすのに,カロリー摂取量を減らす代わりに,運動量を増やそうとはしないでください。めったに成功するものではありませんから。 自分の筋肉を強くすることはできなくても,少なくとも慎重に計画すれば,筋肉の負担をいくらかでも軽くすることはできます。常識的な手段に立ち戻ります。常識的手段がいかにとられていないかは驚くべきことです。一般的な移動に関して,筋強直性ジストロフィーの患者さんのニーズは,ほかの筋肉の病気の患者さんとある程度までは同じですので,その方面の専門家に評価してもらうのがよいです。ふつう,理学療法士と緊密に働いていることが多いのですが,作業療法士になります。作業療法士は,診療所よりも容易に,ニーズを十分に評価でき,器具や補助用具が試せるような施設,センターにいることが多くみられます。筋強直性ジストロフィーでは体重がかかる大きな筋(訳注:殿筋などを指すのであろう。まず保たれる筋は下肢を挙上する腸腰筋であるが)よりもふつうは下肢と足の筋力低下によって動きにくくなることを誰もが知っていることが大切です。必要な方法が変わることにもなります。 筋力低下のために長距離が歩けず,公共の交通機関も少ないのであれば,車は特に重要です。車が自分に合うように変更が必要かどうかは注意して考えなくてはなりません。変える前には,最も適したタイプについて専門家のアドバイスを受けてみてください。頸部の筋力低下には,うまく支えるヘッドレストが特に重要になります。これは運転する場合でも,乗せてもらう場合でも同様です。

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