2246ゴーシェ病UpDate
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C 臨床症状32 日本人の1型ゴーシェ病はユダヤ人の1型に比べて,重症かつ進行型であることが報告されている2,6).また,日本人の1型ゴーシェ病の一部は経過中に3型ゴーシェ病へ移行することが報告されており,神経学的検査や眼球運動に対するチェックを継続的に行う必要がある2,6). ゴーシェ病患者で悪性腫瘍を併発する危険性に関していくつかの報告があり,特に多発性骨髄腫との報告例8-10)が多くみられる.Rosenbloomらの報告では,ゴーシェ病患者2,742例を解析した結果,多発性骨髄腫の合併が10例にみられ,基本属性をそろえた健常者との比較による相対危険度は5.9(95%CI 2.8-10.8)であり,骨髄腫を併発する危険性を示唆する結果であった8).de Fostらは,1型ゴーシェ病患者131例のうち5例が血液腫瘍(骨髄腫)を発症し,相対危険度は12.7(95%CI 17.1-510.5)であり,同様に骨髄腫を併発する危険性を報告している9).Zimranらの報告によると,1型ゴーシェ病患者505例のうち20例に悪性腫瘍の合併がみられ,おもな腫瘍としては悪性リンパ腫と骨髄異形成症候群が3例,多発性骨髄腫が2例であった10).骨髄腫のほかに悪性リンパ腫の合併も複数報告されており,B細胞性リンパ腫の報告がみられる.現時点,関連性は不明であるが,今後の研究の発展により病態の解明が期待される.血液疾患との関連性症例提示症 例41歳(ERT開始時),女性.家族歴家族歴あり(姉がゴーシェ病).既往歴特記事項なし.現病歴 29歳時に感冒様症状があり,近医を受診した.このとき,脾腫,血小板減少症,貧血を指摘された.精査目的で血液内科に紹介され,骨髄検査,グルコセレブロシダーゼ活性よりゴーシェ病と診断した.以後,無治療で経過観察を行っていたが,36歳頃より脾腫の悪化を認め,貧血も進行してきたため,鉄剤を投与し赤血球輸血を行った.40歳頃より脾腫,腹部膨満感はさらに増悪し,41歳頃には腹壁静脈の努脹,および両下肢の浮腫が認められ,治療目的での入院となった7).身体所見身長/体重157 cm/51.5 kg眼 部結膜に貧血を認める.黄疸は認めない.頸 部リンパ節,甲状腺の腫大を認めない.胸 部心音,呼吸音に異常を認めない.腹 部著明な脾臓の腫大を認める.腹壁静脈の怒張を認める.臍部腹囲106 cm.下 肢両下肢に浮腫を認める.神経学的所見異常を認めない.検査所見一般血液所見WBC 3.3×103/μL(好中球52%,単球3%,リンパ球45%,RBC 2.36×106/μL,Hg 6.6 g/dL,Ht 20.6%,PLT 60×103/μL.血液生化学検査T‒Bil 1.1 mg/dL,AST 39 U/L,ALT 10 U/L,LDH 341 U/L,TC 81 mg/dL,BG 76 mg/dL,BUN 14 mg/dL,Cr 0.3 mg/dL,UA 6.5 mg/dL,Na 137 mEq/L,K 3.9 mEq/L,Cl 100 mEq/L,Ca 7.6 mEq/L,TP 5.9 g/dL,Alb 3.0 g/dL,血清酸性フォスファターゼ(ACP)94.7 IU/L,アンジオテンシン変換酵素(ACE)134.5 IU/L.骨髄検査有核細胞数259×103/μL,ゴーシェ細胞(図1)を認める.酵素活性測定培養皮膚線維芽細胞中のグルコセレブロシダーゼ活性の低下を認める(8.7 nmol/mg protein/hr,Control 81 nmol/mg protein/hr).遺伝子解析不明.腹部CT肝臓の腫大と,脾臓の著明な腫大を認める(図2).

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