2250薬剤性腎障害DKI診療QandA
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NSAIDsによる虚血性腎障害1) 発症機序 非ステロイド性抗炎症薬(non‒steroidal anti‒inflammatory drugs:NSAIDs)はアラキドン酸経路におけるシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)を阻害し,それによりプロスタグランジン(prostaglandin:PG)の合成を抑制する.腎のプロスタグランジンは糸球体の血流動態および尿細管機能の両者の重要な調節系として機能している.COX阻害によりPGE2やPGI2などによる腎血管拡張系が低下し,アンジオテンシンⅡやノルエピネフリンなどの腎血管収縮系が優位になることにより腎動脈が収縮し腎血流を減少させると考えられている.2) リスクファクター NSAIDs誘発性の急性腎障害に対する臨床的リスクファクターを以下に示す(表).これらの患者では腎血流が低下しており,腎のPGはホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしている.NSAIDsにより血管拡張作用をもつPGの腎保護効果がなくなり,抑制性の調節を受けることなく血管収縮が生じることから腎に対する虚血性障害がより強く誘発される1).3) 臨床病理学的特徴・予防・治療 NSAIDs使用開始から1か月以内に発症することが多く,糸球体濾過量の低下に加えナトリウム貯留,浮腫,高カリウム血症を伴うことがある.病理組織学的に虚血が持続した場合は急性尿細管壊死を呈する. 予防法は十分な水分補給など適切な腎血流の保持となり,発症した際の対処法はNSAIDsの中止と適切な腎血流の保持である.高度腎不全や尿量減少による体液過剰を呈した際には急性血液浄化療法が適応となる.早期に薬剤を中止した場合,NSAIDsによる急性腎障害は通常2~7日間で回復する1).急性腎障害の程度が重篤な場合であっても数日~数週間で回復することが多い.4) COX‒2選択阻害薬と腎機能障害 COXにはCOX‒1,‒2のアイソザイムが存在する.COX‒1が全身臓器に恒常的に発現する一方で,COX‒2は腎臓や脳等の一部の臓器でのみ恒常的に発現し,その他の臓器では炎症の際に誘導AQ各 論4416非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による腎障害にはどのようなものがありますか?非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による一般的な腎障害はシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害に起因する虚血性腎障害であり,急性腎障害を呈します.虚血性腎障害以外に,急性間質性腎炎,間質性腎炎を伴うネフローゼ症候群,急性尿細管壊死を発症することがあります.NSAIDs誘発性の急性腎障害に対する臨床的リスクファクター重篤な心疾患(うっ血性心不全)重篤な肝疾患(肝硬変)ネフローゼ症候群慢性腎不全高齢者脱水表

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