2252やさしくわかる胎盤のみかた・調べかた
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51 4 胎盤1 臨床情報2 臍帯3 卵膜単胎胎盤の調べ方Ⅱ章多胎胎盤の調べ方Ⅲ章胎盤の病理検査Ⅳ章Ⅰ章胎盤検査の目的・手順・考え方4-1 胎盤/肉眼4-2 胎盤/病理絨毛間腔フィブリン沈着絨毛膜下や絨毛周囲へのフィブリン沈着はしばしば認めるが,少量の場合は臨床的な意義はない.いわゆるmaternal oor infarctといわれるようなフィブリン沈着が絨毛の半分以上を占めるような病変や,巨大な絨毛膜下フィブリンのような大型の病変は,早産や胎児発育不全(FGR)さらには子宮内胎児死亡(Intrauterine fe-tal demise:IUFD)の原因となる.大量のフィブリン沈着は胎盤の肉眼所見で診断できるので,病理学的にはそれらがフィブリン沈着であることであることを確認し,フィブリンに巻き込まれていない残存絨毛の状態を確認する[4-1)胎盤の肉眼所見 p.33参照].絨毛実質絨毛実質には以下にあげる様々な変化が認められる.いずれも頻度は高くないが,見落としてはいけない所見である.【絨毛線維化】絨毛線維化(villous brosis)は胎盤梗塞,絨毛周囲フィブリン沈着および胎児血管血栓など様々な病態において生じる.ここでいう線維ef絨毛間腔の低酸素に伴う絨毛萎縮とsyncytial knotの増加,梗塞,血管病変(血管壁のフィブリノイド変性,アテローシス),常位胎盤早期剝離,脱落膜血管病変,および胎盤発育障害がある(図4-30).臨床的にPIHと診断されている場合,これらの所見の有無を検索し,いずれかの所見があれば病理学的に矛盾がないと診断する.ただし,病的所見の多さ,程度の重さが臨床病態と必ずしも一致しないことに留意する. 妊娠高血圧症候群症例にみられた胎盤梗塞A:割面にて白色調の梗塞を多数認める.梗塞部の下に新たな出血(☆)も認められる.胎盤早期剝離の原因となりうる.B:syncytial knotの高度増加(HE染色).C(卵膜),D(胎盤母体面):脱落膜内母体血管の壁のフィブリノイド変性とアテローシス★.臍帯血管周囲にはリンパ球浸潤がみられる(de-cidual vasculitis).図4-30ACBD★★☆

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