2261内分泌性高血圧診療マニュアル 改訂第2版
3/6

3●●●Ⅰ 総論編どはその特徴的な身体所見に注目する.その他の多くの疾患は「身体所見ではわからない高血圧」である.内分泌性高血圧をきたす疾患の多くは高血圧に加えて耐糖能障害・糖尿病,脂質異常症,高尿酸血症などの代謝障害を合併する.これらはいずれも生活習慣病でもあるため,内分泌疾患の存在が見逃される可能性がある.また,レニン⊖アンジオテンシン,アルドステロン,コルチゾールの過剰を伴う疾患では,尿中カリウム排泄増加の結果,低カリウム血症を合併する.すなわち各種代謝異常,特に耐糖能障害・糖尿病や低カリウム血症の合併は内分泌性高血圧に認められる臨床的特徴といえるので,診断に際して注意する(表2).鑑別診断 内分泌性高血圧の診断における発見のきっか内分泌性高血圧の原因疾患 1 .下垂体疾患    ●先端巨大症    ○●クッシング病(および異所性ACTH産生腫瘍) 2 .甲状腺疾患    ●Basedow病 3 .副甲状腺疾患    副甲状腺機能亢進症 4 .副腎疾患     ○原発性アルドステロン症(アルドステロン産生腺腫,特発性アルドステロン症,糖質コルチコイド反応性アルドステロン症)    ○●クッシング症候群    褐色細胞腫(および傍神経節腫)    先天性副腎皮質酵素欠損症(○17α⊖水酸化酵素欠損症,○11β⊖水酸化酵素欠損症)    ○他のミネラルコルチコイド産生腫瘍(DOC,コルチコステロン) 5 .腎における病変    ○腎血管性高血圧    ○Liddle症候群    ○AME症候群    ○甘草摂取    ○傍糸球体細胞腫(およびその他のレニン産生腫瘍)※下線は耐糖能障害をきたす疾患,○印は低カリウム血症を伴う疾患,●印は特徴的な身体所見を伴う疾患2表身体所見発見のきっかけ内分泌性高血圧基礎値機能検査画像検査四肢先端の肥大GH ↑ IGF-I↑PRA ↓PAC ↑ARR>200PRA ↓PAC ↓PRA ↑PAC ↑カプトプリル試験レノグラム/レノシンチ腎CT腎MRI機能確認検査 ・フロセミド立位 ・カプトプリル ・生理食塩水負荷副腎CT副腎静脈サンプリングCa↑P↓PTH↑頸部エコーMIBIシンチ尿路結石・高カルシウム血症発作性高血圧副腎偶発腫瘍尿中 カテコールアミン↑ メタネフリン↑ ノルメタネフリン↑75g OGTTTRH試験下垂体MRI頸部エコー副甲状腺機能亢進症Basedow病褐色細胞腫傍糸球体細胞腫原発性アルドステロン症・11β-水酸化酵素欠損症 ・17α-水酸化酵素欠損症 ・甘草服用・DOC産性腫瘍  ・Liddle症候群腎血管性高血圧3DCT・MRA先端巨大症クッシング症候群デキサメタゾン抑制試験下垂体MRI副腎CTFT3↑ FT4↑TSH↓TRAb ↑ACTH(↑or ↓)コルチゾール↑クッシング徴候動悸・甲状腺腫低カリウム血症漢方薬服用歴家族歴腹部血管雑音副腎CT・MRIMIBGシンチ内分泌性高血圧診断の概要発見のきっかけ,ホルモン基礎値,機能検査,画像検査のフローチャートを示す.2図

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る