2264症例から考える針筋電図
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2総論Ⅰ針筋電図の基本Ⅰ.総 論 本章では次章以後の症例を理解する上で最低限必要な針筋電図の「基本となる知識」を簡単にまとめた.本章の内容はこれまでも筆者が繰り返し講義してきた筋電図のエッセンスのような部分である.章末に確認テストをつけておいたので,経験者はまずこちらを解答してから復習のつもりで読み始めていただくとよいと思う.なお実際の筋電図検査を行うにあたっては具体的な方法の学習も必要だが,本書の目的からは外れるので成書に譲る1~4).1) 筋線維の針電極による記録原理 針筋電図の第一歩は筋電図が何をどのように記録しているかを理解することから始まる. 通常用いられる同心型針電極は1本の針にみえるが,実際は二重構造をしており,先端中心部の導線(活性電極,関電極)と外筒(基準電極,不関電極)からなりたち,両者の間は絶縁されている.これと接地電極(いわゆるアース)が電位記録に必要である.いま活性電極(もっとも電位発生源に近い部分にある電極)の電位をA,基準電極電位をB,接地電極電位をCとすると,筋電計での実際の記録は,(A-C)-(B-C)として行われる.すなわちA,Bの電極と接 針筋電図の原理1針電極の記録原理同心型針電極では中心の導線の部分(図黒A)が活性部となり筋線維の活動電位が記録される.この際外筒(B)が基準電極となる.筋電図では電位差を記録するので,電位AーBを記録することになる.筋線維の活動電位の発生部(図赤)はAからみると近接して遠ざかる.外筒Bの表面はAに比べ活動電位発生部からの距離の遠い部分が大半である.外筒面は導体なので電位差は存在せず平均化されるため,Bでの平均記録電位はAに比べはるかに小さくなり,実際の記録電位A-BはAの電位とほぼ同じとみなせる.Cは接地電極の電位.図1AB筋線維活動電位発生部B-CA-CC(接地電極)皮膚

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