2268脳血管内治療の進歩2017
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6はじめに1 ステント併用コイル塞栓術は大型ないしワイドネック型脳動脈瘤に対する一般的なテクニックとなっており,支援用ステントとしてEnterprise(Cordis)とNeuroform(Stryker)が普及している.最近LVIS(Low-profile Visual-ized Intraluminal Support)Stent(Termo/Mi-crovention)が新たに導入されたので,その特性および使用上の注意点を説明する.適 応2 添付文書上LVIS Stentは,「外科的手術(クリッピング術など)または塞栓コイル単独のコイル塞栓術では治療困難な未破裂動脈瘤(最大径が5mm以上)を有する患者のうち,2.0~4.5mm径の親動脈にワイドネック型(ネック部が4mm以上またはドーム/ネック比が2未満)脳動脈瘤を有する患者に,コイル塞栓術時のコイル塊の親動脈への突出,逸脱を防ぐため使用される」とある.注目すべきは,動脈瘤の最大径がEnterprise/Neuro-formでは7mm以上であったものがLVIS Stentでは5mm以上に緩和されている点である.構 造3 LVIS Stentの基本構造を図1に示す.両端にあるフレアエンド部分2mmにはメッシュがないため有効長は全長よりも4mm短いことに留意する必要がある.このステントの特性を理解するには製造法を理解することが非常に大切である.ステントには金属円柱をレーザーで切断して作製されるlaser cut stentと金属ワイヤーを編み込んで作製されるbraided stentがある.Enterprise,Neuroform,Wingspan(Stryker)はlaser cut stent,LVIS Stentはbraided stentであり製造法が異なる.順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経外科・脳神経血管内治療学講座 大石英則脳動脈塞栓術支援用ブレイデットステント―LVIS Stent―2Essential Point◉ LVIS stentには適合血管径と若干構造が異なるLVISとLVIS Junior(Jr.)の2つのタイプがある.◉ LVIS stentはbraided stentであり,laser cut stentであるNeuroform/Enterpriseとの構造上の特性の違いを十分に知っておく.◉ LVIS stentの展開は,単純なunsheatheは行わず必ずPush & Pull techniqueを用いる.◉ LVIS stentは留置目的血管径に正確に合わせたサイズを選択する必要があり,“大は小を兼ねない”ことを肝に銘じておく.◉ LVIS は短縮率が非常に高いのでサイズ選択では十分に勘案する必要がある.I 基礎から最新知見まで

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